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C級1組順位戦最終戦 既に昇級決定の藤井聡太七段(17)全勝なるか? そしてあともう1人の昇級者は?

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 3月3日。東西の将棋会館にわかれてC級1組最終10回戦がおこなわれます。

 成績上位陣の対戦カードは以下の通りです。

【大阪】

△藤井 聡太七段(9勝0敗)-▲真田 圭一八段(3勝6敗)

【東京】

△佐々木勇気七段(8勝1敗)-▲宮田 敦史七段(5勝4敗)

▲及川 拓馬六段(8勝1敗)-△高崎 一生六段(4勝5敗)

▲石井健太郎五段(8勝1敗)-△西尾  明七段(5勝4敗)

 B級2組へと昇級できるのは、成績上位2人です。

 9勝0敗の藤井七段はすでに昇級、および1位通過まで決めています。

 もし最終戦で勝てば今期C級1組は10戦全勝(順位戦通算29勝1敗)となります。

 藤井七段と対戦する真田圭一八段は、現在3勝6敗。全36人が所属する今期C級1組では、成績下位7人に入ってしまうと、降級点を取ってしまいます。真田八段はもし敗れると、降級点の可能性があります。

 真田八段は現在47歳。1994年にC級1組に昇級して以来、ずっとこのクラスに所属しています。1997年には竜王戦で挑戦権を獲得し、七番勝負で谷川浩司竜王(当時)に挑戦したこともありました(結果は0勝4敗で敗退)

 真田八段、藤井七段は過去に対戦がなく、これが初対局となります。

 昇級の残り1枠をめぐる争いは熾烈をきわめています。候補はしぼられて8勝1敗の3人です。

 勝てば昇級という「自力」の権利を持つのは佐々木勇気七段(25歳)です。2014年、19歳でC級1組に昇級してきた佐々木七段は今期で6期目。毎年好成績を収めています。

 特に2017年度は9勝1敗ながら、千田翔太六段(現七段)、永瀬拓矢七段(現八段)というライバルに競り負け、次点に泣いています(別表参照)。その時は最終戦、他力の状況でした。今期は自力、勝てば昇級という点が違います。

 及川六段、石井五段は勝って順位上位が負けた場合には昇級できるという「他力」の状況。ともかくも勝つより道はなく、勝って「キャンセル待ち」としたいところです。

 昇級候補者と対戦する宮田七段、高崎六段、西尾七段は、いずれも実力者です。どのような星となってもおかしくはないでしょうし、いかにもドラマが生まれそうなカードのようにも思われます。

 C級1組順位戦の持ち時間は各6時間(チェスクロック使用)。通例では夜遅くに決着がつきます。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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