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渡辺明三冠(35)史上4人目のA級全勝達成! 順位戦通算21連勝! はずみをつけて4月から名人に挑戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 2月27日。静岡市・浮月楼においてA級順位戦最終9回戦▲三浦弘行九段(46歳)-△渡辺明三冠(35歳)戦がおこなわれました。

 9時に始まった対局は19時41分に終了。結果は74手で渡辺三冠の勝ちとなりました。

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 渡辺三冠はこれで9戦全勝。中原誠16世名人、森内俊之九段、羽生善治九段に続いて史上4人目のA級全勝を達成しました。

 また順位戦連勝記録を史上2位タイの21連勝に伸ばしました。

 渡辺三冠は4月に開幕する名人戦七番勝負で豊島将之名人に挑戦します。

 三浦九段は4勝5敗で今期順位戦を終えました。

渡辺三冠、完勝で大記録達成

 先手は三浦九段で、戦型は相掛かりとなりました。

 序盤の20手目。渡辺三冠は47分を考えて横歩を取りました。互いの大駒の利きが相手陣によく通って、一触即発の中盤戦となりました。

 進んで、三浦九段は中段に桂を2枚並べ、中住居の渡辺玉の頭をねらいます。渡辺三冠は自陣に桂を打って慎重に対応しました。そこで三浦九段の継続手が難しく、渡辺三冠がリードを奪ったようです。

 三浦九段が手段を尽くして手を作ろうとするのに対して、渡辺三冠は自然に応対。自然にリードを広げて、勝勢を築きました。

 最後は三浦九段が攻防ともに見込みなしと見て、74手で、19時41分に終局。比較的短手数、早い時間での終局となりました。そして感想戦も30分ほどで終わっています。

 2019年度絶好調の渡辺三冠。最近はややブレーキがかかって4連敗となっていましたが、ここで再び白星をあげ、ラストスパートの態勢に入ったというところでしょうか。

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 年度がかわって、4月に開幕する名人戦七番勝負。豊島将之名人(竜王)と渡辺明三冠の対戦は、現代将棋界の頂上決戦と言えるでしょう。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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