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藤井聡太七段(17)今期竜王戦初対局 4期連続本戦進出を目指して3組1回戦で畠山鎮八段(50)と対戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 1月24日10時。大阪・関西将棋会館において竜王戦3組ランキング戦1回戦▲畠山鎮八段(50歳)-△藤井聡太七段(17歳)戦が始まりました。

 振り駒の結果、先手は畠山八段。戦形は角換わり腰掛銀の最新形となりました。昼食休憩前に畠山八段が桂を跳ねて仕掛け、今後は激しい変化が予想されます。

 持ち時間は各5時間。通例では、終局は夜となります。

重要なランキング戦1回戦

 ここまで竜王ランキング戦で16連勝中の藤井七段。デビュー以来6組、5組、4組と全て優勝して、3組まで来ました。

 竜王戦の各組ランキング戦では、1回戦の比重が非常に大きいと認識されています。まずここを勝てば降級の心配がなくなり、さらに決勝トーナメント(本戦)を目指して戦うことができます。

 ランキング戦で敗れた場合には昇級者決定戦(1組では出場者決定戦)に回ります。ランキング戦1回戦で敗れ、さらに昇級者決定戦1回戦で敗れると、降級となります。

 畠山鎮八段と藤井七段は過去に2局対戦しています。

 最初は2018年2月の王座戦二次予選2回戦(当時の段位で表記すると▲畠山鎮七段-△藤井聡太七段戦)

 畠山八段先手で、戦形は矢倉となりました。畠山八段がオーソドックスな堅さ重視の金矢倉に組んだのに対して、藤井七段は左の金を三段目に上がるバランス重視の指し方。畠山八段が角切りから先攻し、藤井七段が受けながら反撃の機会をうかがいます。ギリギリの攻防が続き、終盤では畠山八段がリードしたかに見えた場面もありましたが、最終盤で藤井七段が一気に抜き去って勝利を収めました。

 藤井七段はこの後、王座戦挑戦者決勝トーナメント(本戦)に進出。タイトル初挑戦が実現するのではないかと思われる勢いで勝ち進みましたが、準決勝で斎藤慎太郎七段に止められました。斎藤七段は畠山鎮八段の弟子にあたります。斎藤七段はその後、中村太地王座(当時)に五番勝負で挑戦して、王座のタイトルを獲得しています。

 2回目は2019年2月の銀河戦本戦トーナメントEブロック8回戦(当時の段位で表記すると▲藤井聡太七段-△畠山鎮七段戦)。棋譜は公式ページで公開されているのでご覧ください。

 藤井七段が先手で角換わりに進むかと思われた序盤から、畠山八段が角交換を拒否。藤井七段は現代的な雁木に組み上げました。駒がぶつかる前に千日手を思わせる手順があった後、藤井七段が打開して仕掛けていきます。角交換の後、自陣に角を据えて攻撃の拠点とし、リードを奪いました。終盤では飛車を取らせる間に寄せ形を作り、快勝を収めています。

 藤井七段はこの勝利も含めて銀河戦本戦で6連勝。決勝トーナメントに進出し、1回戦で久保利明九段に敗れています。

 畠山鎮八段は順位戦では現在B級1組に所属。残留を目指す戦いが続いています。昨日は11回戦の一斉対局がおこなわれ、畠山八段は空き番でした。

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 昨日の対局の結果、菅井竜也七段が初のA級昇級、及び八段昇段を決めました。

 

 菅井新八段は竜王戦では3組に所属。1回戦では北浜健介八段に勝っています。

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 菅井新八段は前期は4組で、ランキング戦決勝で藤井七段と対戦しています。

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将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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