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藤井聡太七段、佐々木勇気七段らが昇級を争うC級1組順位戦 これから終盤の8回戦

松本博文将棋ライター
2017年、竜王戦で藤井聡太現七段の29連勝を止めた佐々木勇気現七段(撮影筆者)

 1月14日。東西の将棋会館に分かれて、C級1組一斉対局がおこなわれます。

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 昇級を争う成績上位者同士の戦いでは、

佐々木勇気七段(6勝1敗)-西尾 明七段(5勝2敗)

及川 拓馬六段(6勝1敗)-千葉幸生七段(5勝2敗)

 などが注目されます。

 藤井聡太七段(7勝0敗)と小林裕士七段(2勝5敗)の対局は14日ではなく、16日におこなわれます。

将棋界屈指の熾烈なレース

 今期は36人がわずか2つの昇級枠を争うC級1組。数字の上では、52人が3つの昇級枠を争うC級2組よりも競争率が高いことになります。

 毎年熾烈な競争が繰り広げられ、前期2018年度は9勝1敗で4人が並びました。

 来年度からはついに昇級枠が3人と増えますが、その前に今期のレースを制するのは、果たして誰と誰でしょうか。

 6回戦が終わった時点では、藤井七段、佐々木七段、石井五段が6連勝でトップに並んでいました。そして前回7回戦では佐々木七段、石井五段に初めて土がつき、藤井七段が単独でトップに立っています。

 藤井七段は成績上位者中、順位も最上位のため、あと2勝で昇級決定。ほぼ当選確実の情勢のようにも思われます。しかし最後まで何が起こるかわからないのが順位戦です。

 2位につけている佐々木七段は、C級1組は今期で5期目。2017年度は9勝1敗の好成績を挙げたものの、少年時からのライバルである永瀬拓矢現二冠に順位の差で競り負けたこともありました。

 今期は1敗勢中の4人中、順位は上位。藤井聡太七段に次いで「自力」の位置につけています。この後の3戦は西尾明七段、片上大輔七段、宮田敦史七段と実力者が控えていますが、3連勝すれば他者の成績にかかわらず昇級が決まります。一方で西尾七段は佐々木七段より順位が1枚上のため、ここで勝てば逆転昇級に望みをつなげることになります。

 佐々木七段に続く1敗勢の3人は及川拓馬六段、佐藤和俊七段、石井健太郎七段。3者の順位が32、33、34と並んでいるのは、前期C級2組で昇級を決め、今期がC級1組1期目のためです。

 佐藤和俊七段がC級1組、B級2組と連続昇級を達成するならば、これは順位戦史上に残る快挙です。過去の例では、全クラスを通じて、四十代以上の棋士が連続昇級した例は、片手で数えるほどしかありません。

 2敗勢はあと3戦を全て勝って、届くかどうか、というところでしょうか。

 青嶋未来五段は関西将棋会館で村田顕弘六段(2勝5敗)と対戦します。青嶋五段は13日、叡王戦本戦2回戦(準々決勝)で斎藤慎太郎七段に勝利しました。

 青嶋五段にとっては叡王戦、順位戦と2日続けての連戦となります。

 C級1組では成績下位7人に降級点がつきます。降級点を2つ取ってしまうと、C級2組陥落となります。

 現在5勝2敗の高野六段は、降級点を1つ抱えています。前期はきわどいところをしのいで降級点を免れ、残留を果たしました。今期はあと1勝して勝ち越しの6勝目を上げると、規定により降級点が消えます。そのあたりもまた、順位戦の見どころの一つと言えるでしょう。高野六段は8回戦で堀口一史座七段、9回戦で藤井七段と対戦します。

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将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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