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竜王戦七番勝負第5局1日目 暖房設備不調で30分中断後、再開

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 12月6日9時。島根県津和野町、藩校養老館において竜王戦七番勝負第5局▲豊島将之名人(29歳)-広瀬章人竜王(32歳)戦が始まりました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 将棋界の頂上決戦となった七番勝負は豊島名人3連勝の後、広瀬竜王が1勝を返しています。

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【前記事】

広瀬章人竜王(32)さすがの終盤力でカド番をしのぎ1勝を返す 竜王戦七番勝負第4局

 本局で豊島名人が勝って4勝目を挙げれば初の竜王位獲得。

 広瀬竜王が勝てば再びカド番をしのいで、防衛に望みをつなぐことになります。

暖房設備不調のアクシデント

 対局がおこなわれるのは旧津和野藩の藩校養老館です。

 先後が替わって、第5局は豊島名人の先手。初手は飛車先の歩を伸ばす、大方の予想通りの一手でした。その後は角換わりへと進みます。

 35手目、36手目。豊島名人と広瀬竜王がそれぞれ中央に銀を上がる「腰掛銀」(こしかけぎん)に構えました。そのあたりで、両対局者が対局場である剣術教場の上の方を見上げ、関係者があわただしく出入りする様子が見られました。

 対局場では、暖房設備不調というハプニングがあったようです。電気ストーブを入れるなどして、対局が30分中断されました。

 タイトル戦は全国いろいろなところでおこなわれるので、こうしたアクシデントはまま起こります。まだ開始からほどないところなので、対局全体にそれほど大きな影響はないのかもしれません。

 再開後、豊島名人は腰掛銀を前に進め、互いの銀がぶつかりました。対して広瀬竜王は上がった銀をバックして、受けに専念する方針です。

 豊島名人はさらに桂を跳ね出しました。「桂の高跳び歩のえじき」の格言通り、この桂はすぐに歩で取られてしまうのですが、桂1枚と歩2枚の交換で、後手陣がやや乱れるため、バランスが取れているようです。

 47手目。豊島名人が前に出た銀を再び元の腰掛銀に戻した局面で、広瀬竜王が1時間半ほどを使い、12時30分、昼食休憩に入りました。

 持ち時間は各8時間。対局は2日にわたっておこなわれ、通例では明日2日目の夕方から夜に決着します。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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