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谷川浩司九段(57歳)得意の角換わりで勝利 歴代単独3位の通算1325勝達成

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 9月12日、関西将棋会館においてB級1組5回戦▲谷川浩司九段(57歳)-△松尾歩八段(39歳)がおこなわれました。

 対局は10時に始まり、谷川九段得意の角換わり腰掛銀に。谷川九段が終始攻め続ける展開となりました。最後は松尾八段の玉を受けなしに追い込み、谷川九段の玉は詰まない形。23時50分に終局し、117手で谷川九段の勝ちとなりました。

 谷川九段の通算勝数はこれで1325勝(853敗、勝率0.608)。加藤一二三九段(79歳、引退)を抜いて、歴代単独3位となりました。

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29歳で600勝達成

 谷川九段は1976年、14歳8か月で四段に昇段しました。これは藤井聡太現七段(14歳2か月)、加藤一二三現九段(14歳7か月)に史上3位の年少記録です。

 1983年には史上最年少の21歳で名人位を獲得。

 1991年12月31日、王将戦挑戦者決定戦で中原誠名人(当時)に勝ち、29歳で通算600勝(294敗、勝率0.671)を達成しています。

 将棋界では通算600勝を達成した際に「将棋栄誉賞」が贈られます。谷川九段は当時17人目(現在、男性棋士で55人)の同賞達成者でした。

超多忙な棋士の月間記録 大山康晴15世名人は15局、谷川浩司九段は12勝

https://news.yahoo.co.jp/byline/matsumotohirofumi/20190827-00140093/

 谷川九段は1991年12月、現在でも歴代最多となる月間12勝(1敗)をマーク。1991年度終了時にはタイトル七冠のうち四冠(竜王、棋聖、王位、王将)を占める活躍を見せました。

40歳で通算1000勝達成

 谷川九段は1997年に通算800勝(412敗、0.660)を達成。「将棋栄誉敢闘賞」を受賞しています。

 2002年。無冠となっていた谷川九段は王位戦七番勝負で羽生善治王位に挑戦。その第1局(7月12日・13日)で羽生王位に勝ち、通算1000勝(532敗、0.653)を達成。「特別将棋栄誉賞」を受賞しています。同賞は2019年現在、9人しか達成者がいません。

 谷川九段は2002年の王位戦で羽生王位を相手に4勝1敗1千日手の成績をあげ、王位復位。翌2003年度には羽生挑戦者のリターンマッチを4勝1敗で退けています。

 谷川九段のタイトル通算獲得数は27期。これは羽生善治九段(99期)、大山康晴15世名人(80期)、中原誠16世名人(64期)に次いで、歴代4位の記録です。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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