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豊島王位いきなりのハードパンチ、木村挑戦者しのげるか? 王位戦第6局2日目

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 9月10日。神奈川県秦野市鶴巻温泉「元湯 陣屋」において王位戦七番勝負第6局▲木村一基九段(46歳)-△豊島将之王位(29歳)戦、2日目の対局が始まりました。

【前記事】

豊島王位防衛か、木村挑戦者追いつくか 王位戦七番勝負第6局始まる

https://news.yahoo.co.jp/byline/matsumotohirofumi/20190909-00141865/

 木村九段先手で戦形は相掛かり。昨日1日目は後手の豊島王位が軽い形から動いたのに対して、35手目、木村九段は▲7七金と力強く受守りの金を上がって受けました。手の広いところで、豊島王位は長考に沈みます。2時間32分考えて次の手を封じ、1日目の対局が終了しました。

 明けて本日2日目。対局再開に先立ち、立会人の先崎学九段が封じ手を開封します。

 36手目、豊島王位の封じ手は△7六歩。出てきたばかりの木村九段の金に当てて、歩を打ちました。木村九段の構想に真っ向から立ち向かう、決断の一手です。

 対して木村九段は臆することなく金を前に進めます。対して豊島王位は手をゆるめず、木村陣に角を叩き込む、目のさめるようなハードパンチを浴びせました。

 豊島王位から見れば、と金を作って桂を得ることはできるものの、大事な大駒の角を手放した勘定になります。つい先日おこなわれた竜王戦挑戦者決定戦三番勝負第3局では、木村九段が角を捨てる強襲を見せましたが、そちらは豊島王位がしのいで勝っています。

 本局では、豊島王位決断の踏み込みが功を奏すのか。それとも受けを得意とする木村九段十八番の展開となったのか。

 今度は木村九段が時間を使う番となったようです。木村九段はしきりと「いやあ」とつぶやきながら考えます。

 展開は激しくなりましたが、勝負の行方が見えてくるのは、まだまだ先のこと。決着がつくのは、通例では夜になる見込みです。

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将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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