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王位戦七番勝負第5局1日目 豊島将之王位(29歳)が83手目を封じて終了

松本博文将棋ライター
(記事中の写真撮影・画像作成:筆者)

 8月27日。徳島市でおこなわれている王位戦七番勝負第5局▲豊島将之王位(29歳)-△木村一基九段(46歳)戦は1日目を終えました。

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 中盤の難所、83手目で豊島王位が次の手を封じています。

 

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今期初の角換わり腰掛銀

 王位戦七番勝負の戦形は第4局まで順に、横歩取り、相掛かり、矢倉、相掛かり。

 竜王戦挑戦者決定戦三番勝負は第2局まで順に、相掛かり、相掛かり。

 王位戦第5局の先手番は豊島王位。ここで戦形は得意の角換わりとなりました。互いに腰掛銀に組むところは先手、後手ともに同様です。ただし玉の位置は豊島王位が堅城の中に収まっているのに対して、木村九段は中央、中段に構えています。

 角換わりの戦いは、互いに角の打ち込みのスキを作らないようにしながらの駒組となるものです。しかし中盤の早い段階で、豊島王位はあえてスキを作っています。

 木村九段は「誘いのスキ」に応じて、角を打ち込みます。そして互いに馬(成り角)を作り合う展開となりました。

 豊島王位がさほど時間を使わず指し進めていくのに対して、木村九段は要所要所で慎重に考えます。消費時間はやや差がつきました。

 1日目で手数は82手まで進みました。手数としては、比較的多く進んだといえるでしょう。既に中盤から終盤の入口といったところで、一手のミスが勝敗に直結しそうです。

 豊島王位も1時間近く考えて83手目を決めて、封じ手としました。

 明日2日目は9時に封じ手が開封され、豊島王位の83手目が明らかにされて、対局が再開されます。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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