Yahoo!ニュース

藤井聡太七段(17)第91期ヒューリック杯棋聖戦一次予選を突破

松本博文将棋ライター
(記事中の写真撮影・画像作成:筆者)

【前記事】8月22日14時、棋聖戦一次予選決勝▲竹内雄悟五段(31)-△藤井聡太七段(17)戦はじまる

https://news.yahoo.co.jp/byline/matsumotohirofumi/20190822-00139384/

 棋聖戦一次予選「ヘ」ブロック決勝▲竹内五段-△藤井七段戦は16時18分、70手で藤井七段の勝ちとなりました。

 藤井七段は2期連続で一次予選突破、二次予選進出を決めています。

画像

藤井七段、踏み込んで快勝

 先手番の竹内五段は得意の中飛車。対して藤井七段は銀を2枚、中段に繰り出す作戦です。

 竹内五段も美濃囲いの銀を中央に進めます。中央は厚くなるメリットはありますが、自玉が薄くなるデメリットがあります。そのため「勝ちづらい将棋にしてしまったかな」という感想がありました。

両者の駒の利きが盤上中央の天王山、5五の地点に集まったところで、藤井七段が前に出て戦いが本格的な戦いが始まりました。藤井七段が銀を1枚多く捨てる展開なのですが、その代償に桂を成り込んで、むしろ大きな戦果を得ています。驚いたことに、これで藤井七段が優位に立っています。

「踏み込んでいったのが、結果的にはよかったのかなと思います」(藤井七段)

「仕掛けられたところではもう、自信なかったですね」(竹内五段)

 形勢を挽回すべく、竹内五段、歩頭に銀を捨てる奇手を見せます。対して藤井七段は自然に、冷静に指し進めていきます。自陣に侵入した竹内五段の馬を銀で押さえ「少し余せそうな形になったかな」と思ったそうです。

 竹内五段が自陣に攻防の角を放つのに対して、藤井七段が天王山、角の利きに飛を回ったのも気持ちのよい攻防手。

 最後は竹内玉は受けなしで、藤井玉は詰まず、竹内五段が投了しました。終了時刻は16時18分。総手数は70手でした。

 藤井七段はこれで2期連続の棋聖戦一次予選突破となりました。

 前期は二次予選決勝で久保利明九段に敗れています。

画像

「まだ決勝トーナメントまで進めたことがないので、今期はまずそこを目標にやっていけたらなと思います」

 本局が終わった後、藤井七段はそう語っていました。

画像
将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

松本博文の最近の記事