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森内俊之九段とバックギャモン

松本博文将棋ライター
(記事中の写真撮影:筆者)

 元女流棋士の藤田麻衣子さん(45歳)は「どうぶつしょうぎ」のデザイナーとしても知られていますが、現在は東京・深川でカフェ「いっぷく」も経営しています。

 そこでは毎日のように、主にボードゲームに関する様々なイベントがおこなわれています。6月15日(土)には「いっぷくギャモン部」が開かれ、バックギャモンをプレイする人が集まりました。そこに登場したのが、森内俊之九段(48歳)です。

 藤田さんがTwitterで、その模様を伝えています。

 森内九段はタイトル通算12期(名人8、竜王2、棋王1、王将1)で「18世名人」の資格も持つ、超一流棋士です。

(2007年、名人通算5期目の獲得で18世名人に)
(2007年、名人通算5期目の獲得で18世名人に)

 森内九段は趣味のバックギャモンでは、2014年の世界選手権で4位入賞を果たすなど、こちらも強豪として知られています。

 タイトル戦の夜には、森内九段がバックギャモンを打つ光景がしばしば見られました。

 こちらは2006年、森内名人(当時)に谷川浩司九段が挑戦する名人戦七番勝負の第5局。対局場は群馬県の伊香保温泉でした。

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 森内名人とバックギャモンで対戦しているのは、観戦記者の椎名龍一さん(通称スカ太郎さん)です。椎名さんも2016年に「王位」のタイトルを獲得した強豪。最近ではYouTubeでバックギャモンの解説動画をアップされています。

 この第5局は谷川挑戦者の勝ちでしたが、次の第6局は森内名人が勝って、4勝2敗での防衛となりました。

 こちらは2008年、森内名人に羽生善治二冠(王座・王将)が挑戦する名人戦七番勝負の第6局。対局場は山形県天童市。前夜祭の後、控え室では森内名人と立会人の森けい二九段がバックギャモンを打つ光景が見られました。

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 森九段は気合十分。サイコロを振る際には大きなアクションで、威勢のよいかけ声が聞かれました。

 名人戦の対局では、森内名人は羽生挑戦者に敗戦。2勝4敗で名人失冠となりました。対局が終わった日の夜。手痛い敗戦の後で、森内前名人はやはり、バックギャモンを打っていました。その時の表情はもう、にこやかなものでした。

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将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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