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久保王将VS豊島八段、2011年の熱戦を振り返る

松本博文将棋ライター

 将棋の第66期王将戦七番勝負は、久保利明王将(42)に豊島将之八段(27)が挑戦します。これまで王将位を3期保持する、トップ棋士の久保王将が防衛を果たすのか。それとも充実著しい、若手の豊島八段が悲願の初タイトルを獲得できるのか。注目の第1局は2018年1月7日・8日におこなわれます。

 実は両者の対戦は、第60期、2011年の再戦となります。当時、豊島挑戦者の段位は、六段でした。当時のタイトル戦の模様を、写真で振り返ってみましょう。

 第1局の対局場となったのは、大塚国際美術館。60期を記念して、対局前日、歴代王将が集合しました。

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 左から久保利明、森内俊之、佐藤康光、羽生善治、谷川浩司、南芳一、中村修、加藤一二三、米長邦雄。棋史に名を刻む、錚々たる顔ぶれです。

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 対局がおこなわれるのは、ローマのシスティーナ礼拝堂を模した、ミケランジェロ「最後の審判」が描かれた空間です。写真は、加藤一二三九段。

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 敬虔なクリスチャンとして知られる加藤九段の後ろ姿が印象的でした。

 加藤九段は16歳、六段の時に王将リーグに入るという最年少記録を、いまなお保持しています。元祖神童、と呼ぶべき存在でしょう。

 豊島六段も、将来を嘱望されたホープです。

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 横顔にまだあどけなさが残り、新しい時代の神童、という面立ちをしていると感じました。

 対局の方は、久保王将が先手番で対局開始。

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 久保王将は、十八番の中飛車を採用しました。

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 対局は公開でおこなわれました。

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 中盤で戦いが始まると、久保王将がリードを奪いました。

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 久保王将は豊島六段の粘りを許さずに、そのまま押し切りました。

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 第1局は久保王将の勝ち。以後、七番勝負は第6局までおこなわれ、久保王将4勝、豊島六段2勝で、久保王将防衛となりました。

 あれから7年。2018年、久保王将と豊島八段の対戦は、どのような展開をたどるでしょうか。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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