「4枚替え」で逆転勝利。したたかなゲーム運びで長野を下したベレーザ(2)

試合は気温30℃を超える中で行われた(c)松原渓

6月17日(土)に行われたなでしこリーグカップ第4節、日テレ・ベレーザとAC長野パルセイロ・レディースの一戦は、3-2でベレーザが勝利。

試合終了間際に、ベレーザの鮮やかな逆転劇で幕を閉じた。

「4枚替え」で逆転勝利。したたかなゲーム運びで長野を下したベレーザ(1)

以下、試合後の監督・選手コメント。

【監督・選手コメント】

森栄次監督(ベレーザ)

ーー逆転勝利を振り返って、いかがですか?

ヒヤヒヤしましたが、勝てて良かったです。代表組は(欧州遠征から帰ってきたばかりで)疲れていたので、正直、あまり出したくなかったんです。阪口(夢穂)はフルで2試合(オランダ戦とベルギー戦)に出ていたので、かわいそうだなと思ったのですが、前半で2点を失うことは想定外だったので起用しました。前半のうちに岩清水が1点返して、1-2で折り返せたことが大きかったですね。

ーー(前節から)先発メンバーを入れ替えて、前半はどのような指示を与えて送り出したのでしょうか?

若手には、前からプレスをかけて、高い位置でボールを奪って得点を狙うスタンスを要求しました。とにかくアグレッシブに行けるところまで行け、と伝えて送り出しました。

ーーハーフタイムには4人を入れ替えましたが、どのような意図があったのですか?

前半はシュートが足りなかったですね。今、試合の中では特にシュートを求めています。リーグ戦もカップ戦もそうですが、ボールを回すことだけを意識しすぎて、(シュートを)忘れてしまっているところがあるので。ゴールを決めてからパスを回す、というスタンスでいきたいですね。

ーー横山(久美)選手に決められた2失点についてはいかがですか?

止めるのは難しかったです。今は、相手がボールを持った時に一人ではなく、2人でプレッシャーに行くことにしていて、その場合はどこ(のポジションのマーク)を捨てるか、ということをみんなで共有できるようにしているのですが、2人で行っても彼女は止められませんでした。強いですし、シュートが上手い。こちらが足を出すのを待っていますからね。

ーー若手選手に今後、どのようなことを期待しますか?

今日は半分(45分)だけでも思い切ってプレーしてこい、と話して送り出しましたが、三浦(成美)も悪くない動きをしてくれました。カップ戦は若い選手が出られるチャンスだし、もっと使いたいです。それで、結果が出れば自信もつくと思うので。リーグ戦でも足りないところがあったら交代で入れ込んだり、試合に出ている選手をサポートできるようになればいいな、と考えています。

DF 岩清水梓(ベレーザ/キャプテン)

ーー長野の横山選手への対応については、どんなことを意識していましたか?

横山選手はボールを持たせたら嫌な相手だということは重々分かっていましたし、今日も実際(2点)やられています。だから、その前のトラップの段階で勝負をかけられるところはかけようと考えていました。読みが当たったところもありますし、次につながるような試合になったと思います。

ーー前半終了間際に1点を返しました。あのゴールを振り返ってもらえますか?

リスタートの瞬間に、前に上がっていた場面で目の前にボールが転がってきました。時間帯は考えていなかったんですが、結果的には良い形で後半につながった点になったので、勝利に貢献できて良かったです。

ーーいつもとメンバーを代えて臨んだ中で、前半はキャプテンとしてどのようなことを意識していましたか?

代表選手がいない間に練習をしていましたし、(東京ヴェルディ1969の)ジュニアユースと練習試合もしましたけれど、本番になると、やれないことだったり、(代表組とは)差があることも浮き彫りになりました。その差を埋めていかないとチャンスは作れないと思います。この試合も、後半に代表メンバーに入ってきてもらって逆転できたので。代表メンバーがいない中でもやれることを増やしたいです。

ーー特に、後半はどのような変化があったと感じましたか?

前半は2失点して、下を向いてしまう選手が多かった中で、後半は阪口や田中(美南)が入って、チームの雰囲気を上げてくれました。自分から声を出して周囲を動かせる選手が入ってきてくれたのは大きかったですね。

MF 籾木結花(ベレーザ)

ーー帰国してから中1日の試合でしたが、90分間出場して、いかがでしたか?

(欧州遠征から)帰ってきた日は、試合のキックオフ時間に合わせて(午後)2時に体を動かしたのですが、試合中はまだ時差ボケが治っていない感じがして、体がまったく動かなかったんです。最後のフリーキックの場面しか仕事をしていない感じです(笑)。後半は特にキツかったですし、代表組は同じように体が重かったはずですが、チームメートがカバーしてくれました。

ーー前半はこれまでとメンバーを代えて臨みましたが、いかがでしたか?

この2週間、一度もコンビネーションを合わせていなくて、初めてのフォーメーションだったのですが、実際、前半はいつものようにプレーできず、厳しいところがありました。そこで2失点してしまったのですが、前半のうちに1点返せたことが大きかったです。後半は自分たちのペースでプレーできました。

ーー決勝ゴールにつながった、フリーキックの場面を振り返っていただけますか?

同点の状況で、あの時間帯(後半アディショナルタイム)で、あの場面でしたから、直接狙わないわけにいかないと思っていました。この場面でチームに貢献したいという気持ちが強かったので、いつも通り、壁の位置を工夫して、自分を信じて蹴りました。

ーー疲労が溜まっている中でプレーしてみて、どのようなことが大切だと感じましたか?

きつい時こそ、きついことをすることも必要だと思います。ベレーザのサッカーにとっては、前線の切り替えを早くして、なるべくマイボールの時間を長くすることが、楽になることだと思うので、キツくても続けていかなければいけないと思います。

MF 長谷川唯(ベレーザ)

ーー2点目のアシストを決めました。試合を振り返っていかがですか?

(代表の欧州遠征から)帰ってきて、暑さもある中で、動いてみないとわからないキツさがありました。実際に走ってみたらいつもより息切れしたのですが、後半は絶対に得点につながるプレーをしようと考えて、積極的に仕掛けました。それが、得点につながって嬉しかったです。

ーー前半はベンチからどのように試合を見ていましたか?

前半もみんな頑張っていて、そんなに悪くなかったと思うのですが、点を獲られなければ、もうちょっと押し込めたかな、と。その上で、1点先に入れていればもう少し楽なゲームになったと思いますが、2点目も続けて決められてしまったので。普段試合に出ていないメンバーでそこからひっくり返すというのは難しいと思ったので、前半の最後の時点で準備はできていました。後半はとにかく走ろうと思って、勢いを持って入りました。

ーー後半の立ち上がりは裏のスペースを狙う場面が多かったですが、どのような意図があったのでしょうか?

裏を狙って蹴っていくからこそ、パスをつなぐチャンスが生まれます。前半は中盤でつなぐことができていても、最後のところで崩せていなかったので、まずは相手のディフェンスラインをもっと動かそう、と指示を受けて入りました。終盤、楽にボールをつなげるようになったのは、その戦略が効いたからだと思います。特に後半の初めは、思っていたよりも崩せた部分が多かったので、逆転できると感じていました。

ーー今後、暑さの中でカップ戦を戦う上では、どのような戦い方をしていきたいですか。

暑さの中で、相手にとってベレーザのボール回しは嫌だと思うのですが、ボールを回すのにも運動量が必要なので。その中で、前半のうちに1点を獲れれば良いですし、前半をゼロ(失点)に抑えることも、ベレーザの基本の戦い方だと思います。

本田美登里監督(長野)

ーー試合を振り返っていかがですか?

悔しい結果ですね。試合の流れも悔しい負け方でした。ハーフタイムで相手のメンバーが大きく変わりましたが、それでも後半40分過ぎまでは2-1で逃げ切れていたので。そこで逃げ切るためにも、もう少し戦術を代えたり、メンバーを代えたりすることも必要になってくると思います。ただ、去年だったら0-5で大負けしていたような試合は、今シーズンはなくなってきているので、それは前向きに捉えたいと思います。

ーーハーフタイムにはどのような指示を与えたのでしょうか?

前からボールを奪いに行くことで、横山や泊(志穂)にボールをつなぐという、チームのストロングポイントを活かす狙いはありました。齊藤(あかね)がここ数週間コンディションが悪くなく、前への飛び出しを含めて前でボールを奪えているのは評価してあげたいところです。

ーーゲーム運びで成長を感じる部分はありますか?

去年と違うのは、ディフェンスラインと中盤の2ラインがしっかりとバランスを取っていることです。去年は中盤をダイヤモンドにしていたので、高い位置でプレッシャーをかけにいって点を獲れていた反面、失点も多かったのですが、今年は中盤をフラットにしています。その中で、ディフェンスの選手が、ただ前線の横山にロングボールを入れるのではなく、中盤にボールを入れられるようになり、ボランチの齊藤(あかね)と國澤(志乃)のところでパス交換ができるようになったことも大きいですね。怖がらずに(パスを)繋ごうとトライしていることが良いと思います。

ーーリーグ戦とカップ戦で、戦い方を変えているところはありますか?

うちは、ないです。他のチームはメンバー交代も多くしていますが、うちはいっぱいいっぱいでやっている中で、この成績だから、やはり力のなさを痛感しています。ただ、後半は横山が(ドイツに移籍するため)いなくなるので、それに向けた準備をしていかなければいけないな、と思います。

ーー来週は横山選手の移籍前の国内ラストゲームになりますが、どのような試合をしたいと考えていらっしゃいますか?

いつも通りの試合をしたいですね。センチメンタルになることもなく、できれば、笑顔で送り出してあげたいと思うので、全力で勝ちにいきたいです。

FW 横山久美(長野)

ーー試合を振り返って、いかがですか?

日テレ(・ベレーザ)さん相手に2点を獲ることができましたが、それでも勝てなかったのは悔しいです。3点目を狙っていましたが、2点じゃ足りないんだな、という現実を突きつけられました。

ーー欧州遠征から帰ってすぐの試合でしたが、コンディションはいかがですか?

帰ってきた日から練習をやっていますし、問題ありません。疲れがないと言ったら嘘になりますが、日本でプレーできるのは(今日の試合を入れて)残り2試合なので、1試合1試合を大切にしたいと思っていますし、今日は本田監督からも「90分間出るよ」と言われていました。(試合に)出ないという選択肢はなかったです。

ーー1点目のゴールの狙いを教えてもらえますか?

裏に抜けてシュートをした時に、試してみたんです。「このタイミングで蹴ったら、イワシさん(岩清水さん)がスライディングしてきて、足に当たるな」と。予想どおり、シュートは足に当たってコーナーキックになりました。それで、次のチャンスはキックフェイントを入れたんです。最初にブロックされたシュートがあったからこそ、その後のゴールが決めやすくなりました。

ーー同じような角度から決めた2点目も、1点目と同じ狙いだったのでしょうか?

2点目は、最初にボールを受けた時に、村松(智子)選手と1対1になって、ターンして抜いた時のコース取りが良かったので、いい角度でドリブルができたことが大きかったですね。

MF 野口彩佳(長野)

ーーフル出場でしたが、試合を振り返っていかがですか?

久しぶりの90分間フルで試合に出て、その中で何ができたかということを考えると、まだ課題ばかりです。ただ、まずは90分間試合に出られたことをプラスに捉えたいですね。

ーーチームとして、2点を獲った後はどのような狙いがあったのでしょうか。

守りに入っているつもりはなかったのですが、チームとして意図を統一できていなかったのかな、と思います。先週のジェフ戦(●1-2/6月10日、リーグカップ第3節)も逆転負けだったので、勝っている状況で我慢して守備をするのか、攻撃に行くのか、イメージをしっかり共有することが大切ですね。今日の試合ではプレッシャーに行くところと行かないところをはっきりしようと話していたので、その点はイメージを共有できていたと思います。

ーー左サイドバックの小泉(玲奈)選手との良い連携も見られましたが、いかがですか?

玲奈とは守備の時も攻撃の時も声を掛け合うことを意識しています。話し合いながら、練習と試合の中で、成長していきたいですね。

ーー今後、暑い中での試合は、どのようなことが大切だと思いますか?

長野は涼しくて、夕方の練習ではインナーを着るぐらい、冷えることもあります。普段の練習の中で走り込みなど、良い準備をして暑さ対策をしていきたいです。

DF 木下栞(長野)

ーー前半、ベレーザの植木(理子)選手と対峙する上でどのようなことを意識していましたか?

植木選手は足が速くて、個人技があるので、1対1は粘り強く守ることを意識していました。

ーー終盤は1点リードしている中で、守り切る狙いもあったのでしょうか?

そうですね。2-1のまま耐えたいという気持ちもあったのですが、(88分に)2点目を獲られた時に、負けているような雰囲気になってしまったのが痛かったです。その流れで、3点目も入れられてしまいました。

ーーディフェンス面で、特に力を入れていることはどのようなことですか?

今はラインコントロールのところをすごく練習していて、相手に蹴られるタイミングで(ラインを)下げることを意識しています。でも、気にしすぎて早く下げすぎてしまう時もあるので、上げ下げのタイミングはもっと突き詰めていきたいです。カウンターに行くところと後ろでつなぐところの使い分けは、シーズンの前半戦に比べたらできてきていると思うので、今後はつなぐときのミスを減らして、パスの精度を高めることに取り組んでいきたいですね。

ーー来週の新潟戦に向けての意気込みをお願いします。

(カップ戦は)2連敗していますが、来週はホームで試合ができるので。横山にとって国内最後の試合ですし、しっかり勝って終われるように頑張りたいと思います。

DF 坂本理保(長野/キャプテン)

ーー試合を振り返って、いかがですか?

試合の最初から後手を踏んでしまっていた部分があって、1試合を通してそれを修正できなかったことは課題です。もうちょっと、ボールに寄せたかったですね。先に2点を決められたことは大きかったのですが、前半終了間際にちょっとした隙をやられて(失点して)しまって、それがこの試合の結果をもたらしたかな、と。

ーーベレーザ戦では先制ゴールを挙げる試合も多いですが、昨年までと比べて、内容面で成長している手応えはありますか?

去年よりは、一人ひとりの力がついてきたと感じます。ただ、ポゼッションもうまく使って、落ち着いた試合運びができるようになった反面、躍動感をもってゴールを目指すという点では物足りなさも感じます。パルセイロらしさである『前に、前に』という部分を失いたくないです。

ーー個人的なプレーに関してはいかがでしょうか。

今日の試合では、一本のパスで裏を取ったり、チャンスを作るシーンが少なかったのですが、押し込まれる中でもそのパスを狙っていきたいですし、その瞬間を見極める力をもっとつけていかなければいけないと思います。

ーープレーの予測で、お手本にしている選手はいますか?

熊谷紗希選手(リヨン/フランス)ですね。今までプレーしてきた中で一番、衝撃を受けた選手です。入学当初、(常磐木のサッカー部の監督である)阿部(由晴)先生から、『紗希は2手、3手先を読んでプレーしているから、お前は5手先を読め』と言われました。その時はさすがに『5つも!?』と思ったのですが、熊谷選手のプレーを身近に見て学ぶ中で、2つ、3つ先を予測できるようになりました。一緒にプレーした期間は1年だけでしたが、その間に、今の自分の礎を築けたと思います。キャプテンとしても、いつも明るく、周りを引っ張ってくれました。チームの雰囲気を締めなければいけない時は、みんなに緊張感を持たせるような言葉の選び方が上手かったです。この人についていきたい、と思わせてくれる存在でした。