Yahoo!ニュース

高倉監督就任後、国内初お披露目のなでしこジャパン。コスタリカを相手に、そのベールを脱ぐ。(2)

松原渓スポーツジャーナリスト
コスタリカ戦で初お披露目となるなでしこジャパン(C)松原渓

4月9日(日曜日)、熊本県民総合運動公園陸上競技場(熊本)で行われるキリンチャレンジカップで、なでしこジャパンはコスタリカ女子代表と対戦する。

昨年5月になでしこジャパンが高倉麻子監督の下、新体制でスタートしてから、国内で初の国際親善試合になる。日本サッカー協会はこの試合を2016年4月16日に発生した熊本地震の『復興支援マッチ』として、位置付けている。

なでしこジャパンは今年の3月にポルトガルで行われたアルガルベカップを戦い、ポルトガルから帰国してから3週間あまり。時間を空けず、チームとして積み上げつつある土台をさらに強固にする上でも、今回のコスタリカ戦は貴重な一戦となる。

高倉監督就任後、国内初お披露目のなでしこジャパン。コスタリカを相手に、そのベールを脱ぐ。(1)

【監督・選手コメント】

高倉麻子監督(5日練習後)

ーー練習3日目を終えて、手ごたえはいかがですか?

やろうとしていることは、これまでと同じなのですが、プレーの強度とか、細かいところを詰めていきたいと考えています。みんな頭では理解しているので、「やれているつもり」ではなくて、実際に体で表現していこう、と。

昨日(4日)はプレスの強度をトレーニングして、今日(5日)の午前中はラインコントロールをやりました。

これまではなんとなくラインコントロールをして、ゾーン(ディフェンス)で場所を確認しながら守備をしてきましたが、プレーの強度が低いので、全部ぼやけてしまって、(ボールが)獲れませんでした。(ロングボールを)蹴られたら(ラインが)下がってしまい、(プレッシャーに)行ってもボールが獲れないから、行かなくなってしまう。それで、行かなくなるとラインを上げられない、というような状況がありました。(本来は)もっとアグレッシブに、運動量とか強度を保ちながら、90分間、自分たちでやり続けるということを目指しています。自分たちがそういうイメージで守備をやっていると、攻撃も、自然にリズムが良くなるんです。

ただ、一つの大会(アルガルベカップ)を終えて、雰囲気が解けた感じがしますし、いい雰囲気の中で、新しい選手も違和感なくやれていると思います。ようやく、少しチームらしくなってきたかな、と。ボールの動かし方は結構、面白いですし、新しい選手も十分にやれる感じがあります。どう起用していくかは悩みどころですね。

ーーアルガルベカップと比べて、選手のコンディションはいかがですか?

(アルガルベカップは)コンディションの悪さも出てしまいました。もちろん、みんな、サボっているつもりもないのですが、オフ明けでしたから、その時と比べると(リーグが開幕して)だいぶコンディションが整ってきて、体も動いていますね。

ーー今回の試合で、攻守において重視しているポイントを教えてください。

(ボールの)奪いどころを、選手同士が一致させることです。全ての場面で(前からプレッシャーに)は行けないけれど、基本的には90分間プレッシャーをかけ続けたいです。相手が強ければエラーも出ると思いますが、そこで、かわされてやられないような1対1の強さや守備力、それは個の部分でも求めています。あとは、ポジション取りをマメにしていくこと。あくまでも攻撃のための守備ですし、ゴールに近い位置でボールを奪えるに越したことはありません。アルガルベでは、1回追いかけただけで「やっているつもり」で終わってしまいましたが、前線からの守備に関しては、2度、3度追うことを求めています。

ーー中盤の選手にはどのようなことを期待しますか?

中盤は、やはりボールを奪われないことと、その上で前につなぐことです。どのチームも前から強くプレッシャーをかけてくる中で、中盤の選手には一人かわせる上手さを求めていますし、得点力も求めています。対峙してかわすのか、最初のポジション取りでかわすか、というところも「上手さ」です。

MF隅田凜
MF隅田凜

MF 隅田凜(5日練習後)

ーーA代表に初招集されて、雰囲気をどのように感じていますか?

同じ(所属)チームの(日テレ・)ベレーザの選手が多いことで、結構、早く馴染めたかな、というのはあります。その中でも、(熊谷)紗希さんや(宇津木)瑠美さんは、すごく声を出していて、パワフルさが違うな、と感じました。

(横山)久美さんのドリブルの間合いは本当にうまくて、すぐに(マークを)剥がされてしまいました。やっぱり、なでしこジャパンは一人ひとりのレベルが高いなと感じます。

試合の中では展開が速いと実感しています。サイドチェンジとか、サイドに振るボールの精度が高くて、展開するスピードが速いので、(紅白戦では)追いつけない場面が結構、ありました。

ーー紅白戦はボランチのポジションでプレーしましたが、手ごたえを感じた面はありましたか?

(紅白戦の)味方のチームはベレーザの選手が多かったので、いつも通り、という感じだったんですが、もっと攻撃参加したいな、と思いました。

ーーA代表の一員としてはじめての今回の活動の中で、個人としてはどのようなテーマを持って臨んでいますか?

アグレッシブにいくところと予測するところを使い分けて、自分の良さである守備面はアピールしたいです。攻撃面は課題が多いのですが、思い切ってシュートを打つことと、味方と声を掛け合いながらコンビネーションを合わせていきたいと思います。 サイドに散らして相手を動かす中で、チャンスがあれば積極的に縦パスを狙いたいですね。

FW増矢理花
FW増矢理花

FW 増矢理花(6日練習後)

ーーチーム(INAC神戸レオネッサ)ではトップ、代表ではサイドでプレーすることが多いですが、どのようなことを意識していますか?

特に守備の面で、FWとサイドでは違うことが多いので、サイドバックの選手と連携して守れるように意識しています。フォワードとして点を獲ることは絶対ですが、守備面でも頭を使ってできる選手になれれば、もっと必要とされるようになれると思うので、意識したいですね。

ーー今回の合宿ではどのような手ごたえを感じていますか?

高倉監督の体制になって、何回も呼んでもらっている中で、練習の中でも試合の中でも、どういう風にプレーをすればいいのかが分かってきました。そういう意味でも、前回の合宿よりは高いところからスタートできていると思います。

ーー自分で仕掛けるところと、周りを活かすプレーをどのように使い分けていますか?

最後の判断が悪く、自分でいけるところでパスをしてしまうことがあるので、もっと良い判断をしていけば自分も点が獲れるし、味方も点が獲れると思います。自分の積極性も出しつつ、その分、周りも活かしていけるようにしたいですね。スタメンなのか途中出場なのか、ということや、時間帯も考えて仕掛けるようにしています。

ーーシュートのタイミングや、こだわっている形はありますか?

相手やキーパーが読めるタイミングではなくて、ダイレクトのシュートや、難しい体勢からでも打つことを意識しています。まだまだ、シュートの意識は足りないと思います。

ーー今大会の個人的な目標を教えてください。

どのポジションで出てもゴールを絶対に獲りたいですし、攻撃でも守備でも、このチームに貢献したいです。

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のなでしこリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

松原渓の最近の記事