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決勝トーナメント進出がかかるカナダ戦。ヤングなでしこのパスサッカーは再び輝きを見せるか。(1)

松原渓スポーツジャーナリスト
試合会場で公式練習を行った

【中3日で臨むカナダ戦】

U-20女子ワールドカップ、グループリーグ3試合目のカナダ戦が、本日の現地時間16:00(日本時間15:00)にキックオフを迎える。

日本は前日の19日、会場となるポートモレスビーのNational Football Stadiumで、17:00から1時間の公式練習を行った。

試合は16:00からで、第2戦同様に、強い日差しが照りつけ、30度近いコンディションとなる可能性が高い。

カナダは初戦でスペインに0−5、第2戦目でナイジェリアに1−3と敗れており、決勝トーナメント進出は絶望的である。モチベーションを保つのが難しい状況ではあるが、失うもののない気楽さもある。

4−4−2のフォーメーションを採用しており、球際で駆け引きしてくるというよりは、縦に早く、前線の個のスピードを生かしたサッカーが印象的なチームだ。中でも、スピードのあるFWのGabrielle Carle(背番号10)には十分に注意したい。

日本は第2戦でスペインに0−1と黒星を喫したが、短期間の連戦では、いかに気持ちを切り替えるかが重要だ。スペイン戦後は、チーム全員で、試合の映像で自分たちのプレーを確認し、問題点を話し合ったという。

「スペイン戦ではできたこととできなかったことがはっきりしていたので、動揺もしていないですし、やるべきことは分かっています。スペイン戦では相手の圧力を感じて焦ってしまい、自分たちのサッカーができませんでした。技術的なことだけではなくて、上に行くためには、精神的な強さも大切です。グラウンド上で強いリーダーシップを表現することができれば、この選手たちは非常に良いものを持っているので、必ず上の方に行けると思うのですが、精神的なものはまだ打ち破れていません。この大会を通して、ぜひその壁を壊していってほしいと思います。」(高倉監督)

相手の圧力を真に受けることなく、ひらりとかわすーー。どんな相手にも日本の持ち味を出すためには、技術と同様に、精神面での強さも求められる。それは、今大会で日本の成長が試されるところでもある。

【理想は2点差以上の勝利】

日本が試合を優位に進める上で、先制点は重要なポイントとなる。先に点を取ることができれば、自分たちのペースで試合を進められる可能性が一気に高まる。

カナダ戦は日本がボールを保持する時間帯が多いと予想できるが、万が一流れが停滞した時、変化をつけられる存在としては、FWの上野真実に期待したい。前線でのボールキープにおいて、懐の深さがあり、相手選手との駆け引きにおいても、独特の間合いでFWとしての良さを発揮できる。たとえ、良い流れが来ない状況でも、ワンチャンスでゴールを決められる勝負強さを見せて欲しい。

日本がカナダに勝利し、グループ首位のスペインがナイジェリアに勝った場合は、スペインはグループリーグを1位で、そして、日本は2位で通過し、それぞれ決勝トーナメントに進むことになる。

ナイジェリアがスペインに勝った場合は、勝ち点6で3チームが並び、日本は得失点差で、決勝トーナメントに1位進出する可能性もでてくる。

一方で、日本がカナダに引き分け以下となった場合は、グループリーグ敗退の可能性もある。このような状況ではあるが、カナダ戦ではより多くのゴールを奪って勝利し、決勝トーナメントに向け、弾みをつけたい。

カナダ戦は、20日(日曜日)現地時間16:00(日本時間15:00)キックオフ(フジテレビNEXTで、日本時間14:50~17:15に生中継)。

試合前日の公式記者会見

高倉監督(右から2人目)
高倉監督(右から2人目)

高倉麻子監督

ーー初めてのスタジアムになりますが、いかがでしょうか?

今日初めて新しいスタジアムに来ましたけれども、とても綺麗でしたね。2戦目で残念ながらスペインに負けてしまったので、選手たちも気合が入っていますし、日本の良いところが出せるように、全力でぶつかっていきたいと思います。

ーーグループリーグ第2戦スペイン戦から2日間経ちましたが、改めて試合を振り返って、カナダ戦はどのようなポイントを重視して臨まれますか?

スペインのアグレッシブなプレッシャーに圧力を受けていたというよりは、実際は勝手に自分たちで焦ってしまっていました。自分たちの良さであるパスをつないで、連動してサッカーをしていくということを強く自覚して、そこに立ち返ってカナダにぶつかっていこうと話しました。中盤で隅田選手がしっかりやってくれれば、いいゲームができると思います。

ーー明日のカナダ戦までの3日間、どのようなことを重要視しましたか?

気持ちの切り替えのところでは、選手は意外と早く切り替えてくれました。自分たちがボールを支配して動かしていくというゲームが今までは多かったので、そういうペースでできないと焦ってしまう傾向がアジア予選の時からあったんですが、それが出てしまったかなと思います。そこは話をして、映像を見て、みんな納得しています。相手のプレッシャーの中でも勇気を持って一人かわすとか、ポジションを早く取っていけば、本来の自分たちのサッカーは戻ってくると思います。

隅田
隅田

MF 隅田凜(前日公式会見)

ーーカナダ戦に向けて、ご自身のプレーで最も発揮したいところはどこですか?

スペイン戦では、球際とか、相手よりも先にこぼれ球を拾うという点で負けてしまっていたので、カナダ戦では相手よりも先にボールを拾い、一つ一つ細かいところで相手に勝っていきたいと思います。

ーースペイン戦で日本らしいサッカーができなかった中で、改めて日本らしいサッカーとはどういうものだと考えていますか?

積極的にパスをつないで、人がたくさん関わっていくサッカーです。スペイン戦ではそれができなかったんですが、ポジショニングを1mずらしたり、サポートを早くしていくことができれば、流れるようなパス回しができると思いますし、ゴールに繋げていくことができると思うので、明日の試合はそこを突き詰めたいと思います。

(2)【選手コメント(U-20カナダ戦前日)】に続く

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のなでしこリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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