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主な新興国・米国経済ニュース(31日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

米グーグル、米J&Jと先端医療技術分野での提携を協議中

米インターネット検索大手グーグル<GOOGL>は先端医療技術の分野で、米日用品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)と提携したい考えだ。両社とも医療関連の合弁会社を設立するのかを含めて提携のあり方については時期尚早として明らかにしていないが、4-6月には両社は正式に提携で合意できる見通しだとしている。米経済専門オンラインメディア、CNNマネーが先週末に伝えた。

グーグルでは、病院での外科手術を支援するための先端的なソフトウエアを提供する計画だという。これは画像解析ソフトで、患者の血管を際立たせるほか、手術中に重大なことが起きた場合、担当外科医に警告を与えることが可能になるとしている。

J&Jとの提携についてはグーグルの生命科学研究チームとの提携になり、グーグルのロボット工学チームとの提携は予定されていないとしている。生命科学チームは「グーグルX」と呼ばれる研究施設に所属しており、チーム内には血糖値を測定するスマート・コンタクトレンズなどの研究開発に従事している生物学や化学の研究者も含まれるという。

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米独禁当局、たばこ大手レイノルズとロリラードの合併承認で事情聴取へ

米独禁法当局のFTC(連邦取引委員会)は今週、米たばこ2位のレイノルズ・アメリカン<RAI>と同3位のロリラード<LO>の合併を承認するかどうかについて、両社の代表と直接面談して事情を聴取するもようだ。米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が29日に関係筋の話として伝えた。

レイノルズは昨年7月にロリラードを債務承継分含め250億ドル(約3兆円)で買収することで合意している。FTCはこれまで数カ月間にわたって審査してきており、最終承認の採決は今週中にも行われる可能性があるという。もし、賛成多数で両社の合併が承認されれば、米国のたばこ市場は「マルボロ」で知られる売り上げ1位のアルトリア<MO>に次いで2位となる。また、レイノルズの買収後の売り上げは110億ドル(約1.3兆円)余り、また、営業利益も約50億ドル(約6000億円)へ、それぞれ拡大する見通し。

両社では、合併が米独禁当局から最終的に承認されるには、合併後の市場の寡占化を防止する観点から、両社は、「クール」や「セーラム」など5ブランドのたばこ部門を英たばこ大手インペリアル・タバコ・グループに71億ドル(約8500億円)で売却する計画だ。

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三菱自と仏プジョー、ロシア合弁会社PCMAの操業3カ月間停止へ

三菱自動車と仏自動車大手PSAプジョー・シトロエンのロシア合弁会社PCMAは先週末、モスクワ南西部のカルーガ州にある「PCMA Rus(ピーシーエムエー・ルス)」車両組立工場の操業を4月から3カ月間停止し、それに伴い従業員の一部100人を解雇する計画を明らかにした。英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)が伝えた。

PCMAは2010年4月に三菱自動車が30%、プジョーが70%を出資して設立され、「プジョー308」や「プジョー4007」、「プジョー408」、「シトロエンC4」、「シトロエンCクロッサー」、三菱自動車のSUV(スポーツ用多目的車)「アウトランダー」を組み立てており、2012年から本格生産に入った。年間生産能力は12万5000台でフル操業時の従業員数は2400人。

しかし、最近はロシアの自動車市場が低迷していることや、ロシア通貨が昨年だけで40%も急落し海外からの自動車部品の輸入コストが急騰するなど自動車の生産環境が厳しくなっていることから操業停止を決めたとしている。ロシアの2月の新車販売台数は前年比38%減と、2009年以来6年ぶりの最悪の状況となっている。

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スズキ、インドネシアの自動二輪・四輪の生産拡大で1560億円投資へ

スズキはインドネシアの自動二輪・四輪車の需要拡大に応じるため、今後3年間に13億ドル(約1560億円)を投じて生産規模を拡大する計画だ。ジャカルタ・ポスト(電子版)が28日に伝えた。

これはスズキのインドネシアでの提携先である自動車販売大手インドモービル・スクセス・インターナショナルのスブロント・ララス会長が明らかにしたもので、四輪車の新工場の建設や部品の現地調達率の拡大、新製品の開発に充当するとしている。

具体的には、スズキは7億ドル(約840億円)を使って、西ジャワ州ブカシ県のチカランに四輪車の新工場を建設し、小型ミニバン「エルティガ」や低価格で燃費効率が良いローコスト・アンド・グリーンカー(LCGC)「カリムン・ワゴンR」(日本名・ワゴンR)、さらには8月にインドネシア国際自動車ショーで発表する低価格の新型ミニバンの生産も行う。年間生産能力は12万台の予定。

自動二輪についてはブカシ県のタンブン工場の生産能力を年間ベースで18万台増加させる。昨年のインドネシア全体の四輪車販売台数は120万台、自動二輪は786万台だったが、このうち、スズキの四輪車の販売台数は15万4923台で4位、自動二輪は27万5067台で3位となっている。

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ブラジル中銀週報:2015年GDP伸び率見通し、13週連続で下方修正

ブラジル中央銀行が30日に発表した先週の経済週報「フォーカス・ブルティン」によると、同中銀の委託を受けた民間アナリストが予想した2015年実質GDP(国内総生産)伸び率見通しは、前週予想の対前年比伸び率0.83%減から1%減へ下方修正された。下方修正は13週連続。1カ月前の予想は0.58%減だった。2016年のGDP伸び率見通しも前週予想の同1.2%増から1.05%増へ下方修正された。下方修正は4週連続。1カ月前の予想は1.5%増だった。

また、IPCA(拡大消費者物価指数)で見たインフレ見通しは、2015年は前週予想の前年比8.12%上昇から8.13%上昇へ下方修正(悪化)された。下方修正は13週連続。1カ月前の予想は7.47%上昇だった。2016年の見通しは前週予想の5.61%上昇から5.6%上昇へ上方修正(改善)された。1カ月前の予想は5.5%上昇だった。

一方、2015年末時点の政策金利の見通しは前週予想の13%から13.25%へ引き上げられた。1カ月前の予想は13%だった。2016年末時点の見通しは11.5%のまま据え置かれた。据え置きは13週連続。1カ月前の予想も11.5%だった。また、4月28-29日の次回金融政策決定会合時点での政策金利の見通しは13.13%から13.25%へ引き上げられた。1カ月前の予想は13%だった。

為替レートの見通しは、2015年末時点の対ドルレートは前週予想の3.15レアルから3.2レアルへ引き上げられた。引き上げは5週連続。1カ月前の予想は2.91レアルだった。2016年末時点の対ドルレートも3.2レアルから3.23レアルへ引き上げられた。引き上げは3週連続。1カ月前の予想は3レアルだった。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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