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主な新興国/米国経済ニュース(3日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

米ゴールドマン・サックス、ダウ工業株30種平均の影響力トップに躍進へ

米証券大手ゴールドマン・サックス<GS>が主要株価指数であるダウ工業株30種平均に対し最も影響力がある銘柄として、これまで首位の座に君臨していた米クレジットカード最大手ビザ<V>を抜く見通しとなった。米経済情報専門サイトのマーケットウォッチが先週末に伝えた。

これはビザが先週、3月18日から既存の株式1株を4株に分割すると発表したことから、今後ビザのダウ工業株30種平均への影響力が低下しトップの座から20位にまで滑り落ちる見通しとなったもの。ゴールドマンの次は化学大手スリーエム<MMM>、IT・コンピュターサービス最大手IBM<IBM>となる。

ダウ工業株30種平均への価格形成に対する影響力は、ある銘柄の価格変動をデバイザーという除数(0.15571590501117)で除して計算される。ビザの株価を1月29日終値ベースで見た場合、株価が1%上下すれば2.48ドルの価格変動となるが、これをデバイザーで割るとダウ工業株30種平均を15.93ポイント動かすという計算になる。しかし、株式分割後は63ドルとなるため、価格変動が小幅となり影響力が低下せざるを得なくなる。

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米石油シェブロン、今年の探鉱・生産投資計画を13%縮小へ―原油急落で

米石油2位シェブロン<CVX>は先週末に、最近の原油供給過剰による原油相場の急落に対し、原油生産を抑制するため、今年の油田探鉱・生産関連プロジェクトへの投資額を連結会社分も含めて、前年比13%減の350億ドル(約4.1兆円)に削減する方針を明らかにした。

これは英蘭石油メジャーのロイヤル・ダッチ・シェルが前日に同様な理由で、今後3年間の探鉱投資計画を150億ドル(約1.8兆円)縮小すると発表したのに続くもの。1バレル当たりの原油価格は44ドルを下回っており、昨年の平均相場93ドルの半分以下で、2009年3月以来6年ぶりの低水準となっている。

原油相場の急落で、同社が先週末に発表した2014年10-12月期(第4四半期)決算では、純利益が前年比29%減の35億ドル(約4130億円)、1株当たり利益(希薄化後)も同28%減の1.85ドルと、アナリスト予想の1.64ドルを上回ったものの、大幅減益となっている。売上高も同18%減の460億8800万ドル(約5.4兆円)となり、アナリスト予想の358億7200万ドル(約4.2兆円)を上回ったが、大幅減収となった。今年の見通しについても、ジョン・ワトソンCEO(最高経営責任者)は「原油価格の低迷という厳しい経営環境に直面するため、コスト削減や設備投資の削減の努力を進めている」と述べている。

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中国の大公国際資信評価、ロシアのソブリン債格付け「A/A」を維持

米国系の信用格付け大手が相次いで、ロシアのソブリン債の格下げに動く中、中国の信用格付け大手、大公国際資信評価は2日、ロシアのソブリン債の外貨建てと自国通貨建ての格付けをいずれも「A/A」のまま据え置くことを決めた。スプートニク(旧ノーボスチ通信)が伝えた。

また、格付けに対する見通し(アウトルック)も「安定的」としている。大公国際資信評価は、格付けの据え置きについて、「ロシア経済は(原油・通貨安や西側の経済制裁など)外部環境の悪化に直面しているが、一定規模の財政資金の留保や外貨準備高が経済ショックを緩和しており、基本的にロシアの債務返済能力は安定的に維持されている」と楽観的な見方を示している。

これとは対照的に、米国の信用格付け大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は1月26日、ロシアの外貨建ての長期と短期のソブリン債の格付けを「BBB-/A-3」からジャンク級の「BB+/B」へ、自国通貨建ての長期と短期のソブリン債格助も「BBB/A-2」からジャンク級の「BBB-/A-3」へ引き下げるとともに、格付けを引き下げ方向で見直すことになる「ネガティブ」アウトルックとしている。

S&Pは格下げとアウトルックについて、「ロシア経済の成長見通しが悪化していることや、ロシアの金融システムが弱ってきているため、ロシア中央銀行の金融政策が伝わりにくくなっており、今後、中銀は景気も支援しようとしても、ルーブルの下落による物価上昇や西側の対露制裁によって、金融政策の決定がますます困難になる」と述べている。その上で、S&Pは、「もし今後12カ月以内に、外部からの圧力の増大や財政支援の拡大などで財政状況や外部環境が予想以上に悪化すれば、さらに格下げする可能性がある」とも述べている。

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ブラジル中銀週報:2015年GDP伸び率見通し、5週連続で下方修正

ブラジル中央銀行が2日に発表した先週の経済週報「フォーカス・ブルティン」によると、同中銀の委託を受けた民間アナリストが予想した2015年実質GDP(国内総生産)伸び率見通しは、前週予想の前年比0.13%増から0.03%増へ下方修正された。下方修正は5週連続。1カ月前の予想は0.5%増だった。また、2016年のGDP伸び率見通しも前週予想の同1.54%増から1.5%増へ下方修正された。下方修正は2週連続。1カ月前の予想は1.8%増だった。

また、IPCA(拡大消費者物価指数)で見たインフレ見通しは、2015年は前週予想の前年比6.99%上昇から7.01%上昇へ下方修正(悪化)された。下方修正は5週連続。1カ月前の予想は6.56%上昇だった。2016年の見通しは前週予想の5.6%上昇のまま据え置かれた。1カ月前の予想は5.7%上昇だった。

一方、2015年末時点の政策金利の見通しは前週予想の12.5%のまま据え置かれた。据え置きは8週連続。1カ月前の予想も12.5%だった。2016年末時点の見通しも11.5%のまま据え置かれた。据え置きは5週連続。1カ月前の予想も11.5%だった。

為替レートの見通しは、2015年末時点の対ドルレートは前週予想の2.8レアルのまま据え置かれた。据え置きは5週連続。1カ月前の予想も2.8レアルだった。2016年末時点の対ドルレートも2.9レアルのまま据え置かれた。1カ月前の予想は2.8レアルだった。

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米GM、インドネシアに上海汽車と合弁でミニバン工場建設か

米自動車最大手ゼネラル・モーターズ<GM>はインドネシアのジャカルタ郊外に、提携先の上海汽車集団(SAIC)と合弁で、同じく提携している五菱汽車のブランドのミニバンを生産する自動車工場を建設し、インドネシア市場向けだけでなく、周辺国への輸出を目指す計画を進めている。ベトナム紙タンニェン(電子版)などが1日に関係筋の話として伝えた。

両社はすでに工業団地内に自動車工場の建設用地を取得しており、新工場で五菱ブランドの低価格ミニバンを生産する計画。GMはアジアでは中国を初め、インドでもSAICと共同で五菱ブランド車を生産している。

インドネシアの合弁会社は、GMが44%、SAICが50.1%、五菱が5.9%をそれぞれ出資している上海通用五菱汽車(SGMW)が全体の80%、残りの20%をSAICが出資する。GMの出資比率は実質35%となる。

また、アンタラ通信によると、両社はインドネシアの合弁工場に7億ドル(約830億円)を投じ2017年から商業生産を開始する計画で、生産能力は年間15万台となるもよう。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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