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主な新興国/米国経済ニュース(2日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

米デボン・エナジー、天然ガス鉱区を2300億円超でリン・エナジーに売却へ

米石油・天然ガス開発・生産大手デボン・エナジー<DVN>は米国内のロッキー山脈やテキサス州、ルイジアナ州など7カ所にある油・ガス田鉱区を米天然ガス開発会社リン・エナジー<LINE>に計23億ドル(約2330億円)で売却することで合意した。

今回の売却は、同社が事業の重点を天然ガスから石油にシフトする一環としており、売却の対象となっている鉱区での現在の生産量は天然ガス換算2億7500万立方メートルで、このうち、大半の80%は天然ガスとなっている。売却は2014年7-9月期(第3四半期)に完了する予定で、今回の税引き後の売却利益は18億ドル(約1830億円)となる。この売却収入を含めて、デボンの2014年の純債務額は40億ドル(約4060億円)以上減少する見込みだ。

デボンの株価は6月30日、0.13%安の79.4ドルで引けたが、その後の時間外取引で、米東部時間午後6時57分時点では0.11%高の79.49ドルと、値を戻している。

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米著名投資家ペルツ氏、ニューヨーク・メロン銀行の株式2.5%取得

米アクティビストファンドのトライアン・ファンド・マネジメントを率いる著名投資家ネルソン・ペルツ氏はこのほど、米カストディアン(有価証券の保管・管理)大手ニューヨーク・メロン銀行の株式2.5%を取得した。これは10億5000万ドル(約1060億円)に相当し、今後、ペルツ氏は同行の企業価値を高めるため、経営陣との話し合いを進めていきたい考えだ。米経済情報専門サイトのマーケットウォッチなどが6月30日に伝えた。

アクティビストファンドは市場では単なる株式保有にとどまらず、経営陣に対して積極的に経営改善を促し株価上昇を狙う投資ファンド。トライアンは今年3月にニューヨーク・メロン銀行の株式を取得したが、6月30日に米証券取引委員会(SEC)に届け出た報告書で初めて、株式取得が明らかになった。同行は今年に入って本社ビルを5億8500万ドル(約590億円)で売却したほか、5月には法人信託部門を売却する可能性を探っていることも明らかにするなど、改革に取り組んでいる。

同行の株価は6月30日、3.45%高の37.48ドルで引けている。

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米PPGインダストリーズ、メキシコの建築塗料大手を買収で合意

世界有数の自動車塗料メーカーである米PPGインダストリーズ<PPG>は6月30日、メキシコの建築用塗料大手コンソルシオ・コメックスを23億ドル(約2330億円)で買収することで合意したことを明らかにした。

PPGのチャールズ・E・バンチ会長兼CEO(最高経営責任者)は、コンソルシオ・コメックスの買収によって、同社が苦手としていたメキシコと中米の建築塗料市場でシェア拡大が可能になる、と述べている。コンソルシオ・コメックスの2013年の売上高は約10億ドル(約1010億円)で、自社製品をメキシコ国内や中米で約3600の小売店、さらには地方代理店などを通じて販売している。1952年の創立で、従業員数は約3900人。

PPGの株価は6月30日、2.99%高の210.15ドルで引けている。

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米パイパー証券、米ヤフーの投資判断と目標株価を引き上げ

米中堅証券パイパー・ジェフリーズは6月30日に、米インターネット大手ヤフー<YHOO>に対する投資判断をこれまでの「中立」から「オーバーウェイト」(ベンチマークがその資産を組入れている割合より、そのファンドにおける組入比率が高いウェイト)に引き上げた。これを受けて、ヤフーの株価が急騰した。米経済情報専門サイトのマーケットウォッチが伝えた。

また、パイパー・ジェフリーズはヤフーの予想適正株価を37ドルから43ドルへ引き上げた。その根拠について、パイパー・ジェフリーズのアナリスト、ジーン・ムンスター氏は、「ヤフーは中国のインターネット大手アリババの株式を取得したにもかかわらず、ヤフーの現在の株価は割安になっている。今後、アリババが新規株式公開を行えば、その価値が正当にヤフーの株価に反映され、ヤフーの株価を1株当たり6ドル押し上げる」と述べている。ヤフーの株価は6月30日、2.57%高の35.13ドルで引けた。

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ルーマニア中銀、政策金利を据え置き―3会合連続

ルーマニア国立銀行(中銀)は1日の金融政策決定会合で、政策金利である1週間物レポ金利を3.5%のまま据え置くことを決めた。据え置きは前回5月会合に続いて3会合連続となる。

また、中銀は金融システム内の流動性を適切に管理するため、市中銀行が中銀に預ける自国通貨建ての預金準備率を12%のまま据え置いたが、外国通貨建ての預金準備率については18%から16%へ引き下げる。引き下げは7月24日‐8月23日までの準備金の積立期間から適用される。

このほか、市中銀行に資金供給するためのロンバート型貸出金利は6.5%、資金吸収のための預金金利も0.5%のまま据え置かれた。

中銀は政策決定会合後に発表した声明文で、「中期的に物価を安定させ、また、金融市場を安定させるため、国内外の経済動向を注視しながら、中銀が取りうる手段を適切に用いていく」と述べている。

次回の金融政策決定会合は8月4日に開かれ、その際に四半期インフレ報告書を公表する予定。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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