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主な新興国/米国経済ニュース(30日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

米エクスペディア、カーレンタルのオート・エスケープの買収で合意

世界最大のオンライン旅行予約サイト、米エクスペディア<EXPE>が先週、米オンライン・レンタカーのオート・エスケープ・グループを買収することで合意した。米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が26日に伝えた。

エクスペディアは米プライベートエクイティ(PE)ファンドのモンテフィオーレ・インベストメントからオート・エスケープの株式を取得する。買収に関する金銭的条件などは明らかにされていないが、買収は7-9月期に完了する見通しで、オート・エスケープはエクスペディアのカー・レンタルズ・ドットコム事業部門に統合される。これを受けて、エクスペディアの株価は米東部時間の27日午前9時46分時点で、0.87%高の77.68ドルと、値を上げている。

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23-27日のロシアRTS指数、1379.75―反発=BRICs市況

前週(23-27日)のロシア株式市場は、RTS指数(ドル建て)の27日終値が前週比1.6%高の1379.75と、反発した。

週前半は、ウクライナのポロシェンコ大統領が東部での親ロシア派武装グループと政府軍との武力衝突を終わらせるため、20日に和平提案を示したのを受けて、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が24日にウクライナへの軍事力行使の権限の取り消しを議会に求めたことから株式相場は週明けから大幅高となった。しかし、週後半は利食い売りが広がったほか、ウクライナ紛争が鎮静化せず、西側の対ロシア追加制裁の動きが活発化したため、相場は下落に転じた。

週明け23日は、ポロシェンコ大統領の軍への停戦命令や和平提案にもかかわらず、紛争が続いたため、市場では西側による対ロシア追加制裁懸念が広がったが、産油国イラクの内戦激化に伴う原油高が追い風となり、RTS指数は0.76%高となった。24日はプーチン大統領が議会に対し、ウクライナへの軍事力行使権限の付与を取り消すよう求めたことや、オーストリアの石油化学大手OMVがロシア産天然ガスを黒海経由で欧州各国に送るガスパイプライン「サウスストリーム」の建設で国営天然ガス大手ガスプロムと合意したことが好感され、RTS指数は3.8%高と、急騰した。

しかし、25日は利食い売りに加え、ポロシェンコ大統領の和平提案に親ロシア派の武装グループも支持する意向を示したものの、武力衝突が続いたため、また、EU(欧州連合)サミット(26-27日)を控えて市場では対ロシア追加制裁への懸念が強まったことから、RTS指数は2.68%安と、大反落した。26日もEUサミットで追加制裁が決まるかどうか様子見となる中、相場は続落した。週末の27日は、ウクライナの停戦期限の72時間延長に伴いEUがロシアに対しウクライナ東部の紛争収拾のタイムリミットを30日まで延長し、新たな追加制裁を決めなかったことから、RTS指数は0.17%高と、やや持ち直した。しかし、市場では、EUは将来の制裁追加の可能性まで否定しなかったとして、警戒感を緩めていない。

今週(6月30-7月4日)のロシア市場は、海外市場は下期入りして調整局面に入る可能性があり、ロシアもその影響を受けると見られている。今週の主な経済統計は、米国では、6月新車販売台数(7月1日)や6月雇用統計(3日)など。アジアでは、中国の6月HSBC非製造業PMI(購買担当者景気指数、3日)、日本の5月鉱工業生産指数(6月30日)など。欧州では、ユーロ圏の6月インフレ率(6月30日)や5月失業率(7月1日)、ECB(欧州中央銀行)の金融政策決定会合(3日)などの発表が予定されている。

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前週のインド株は3週続落―ガス料金とSQ算出で=BRICs市況

前週(23-27日)のインド株式市場で、代表的株価指数SENSEX指数の27日終値は、前日比0.15%高の2万5099.92と、3日ぶりに反発したものの、週間では20日終値比5.59ポイント(0.02%)安と、3週続落した。前週は政府が天然ガス料金の値上げ延期を決めたことでエネルギー銘柄が下落する一方で、週後半にSENSEXの先物・オプション取引のSQ(特別清算指数)算出を控えて利食い売りが強まった。

週明けの23日のSENSEXは、前々週に引き続き、イラク情勢の悪化で原油価格が高騰するとの懸念が高まり、0.3%安で引けた。インドは原油の80%を輸入に頼っているため、インド経済に打撃を与えるとの見方が強い。24日は原油相場が下落したことや、26日のSQ算出を控えて買い戻しが入り、SENSEXは1.35%高と、反発。25日はSQ算出を翌日に控え様子見となり、また、利益確定売りも手伝って、SENSEXは0.22%安となった。26日は政府が天然ガス料金値上げの3カ月延期を決めたことから、インド国営石油ガス公社(ONGC)などエネルギー銘柄が売られ、SENSEXは0.99%安と続落。週末の27日は3日ぶりに反発した。

今週(6月30-7月4日)の相場に影響を及ぼすと見られる主な経済統計としては、7月1日の6月HSBC製造業PMI(購買担当者景気指数)や4日の外貨準備高(6月28日現在)などの発表が予定されている。

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前週のブラジル株は2週続落―買い材料乏しく薄商いで=BRICs市況

前週(23-27日)のブラジル株式市場は、積極的に買い進める材料に乏しく、全体的に薄商いとなり、27日のボベスパ指数は20日終値から2.71%安の5万3157.3と、2週続落となった。しかし、6月単月では3.74%高、4-6月期で5.44%高、上期(1-6月)でも3.2%高と、依然、堅調となっている。

週明けの23日は、中銀の経済週報「フォーカス・ブルティン」で、2014年と2015年のGDP(国内総生産)伸び率見通しがそれぞれ4週と5週の連続で下方修正されたことで景気後退懸念が強まったことから、ボベスパ指数は住宅建設セクターなど内需関連株を中心に売られ、2週ぶり安値を付けた。24日は消費関連銘柄が買われ反発したが、25日は政府がブラジル国立経済社会開発銀行(BNDES)に300億レアル(約1.4兆円)の資本注入を発表したことから金融株が売られ、ボベスパ指数は1.6%安と、2週ぶりの安値を付けて反落した。

26日は鉄鉱石の国際相場の上昇でブラジル鉱山大手ヴァーレが2.2%高となり、ボベスパ指数も0.2%高と反転上昇。週末の27日はレアル高で輸出関連銘柄が値を下げ、鉄鋼大手ジェルダウが2.8%安、パルプ大手フィブリア・ セルロージも1.6%安となり、ボベスパ指数は2日続落した。

今週(6月30-7月4日)の相場は、買い材料不足から薄商いが当面続く見通し。今後数週間で南半球では夏季休暇に入ることも薄商いの要因となっている。主な経済指標や行事は、6月HSBC製造業PMI(購買担当者景気指数)や6月貿易収支(2日)、5月失業率(3日)などの発表が予定されている。

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ロシアのロスネフチ、英BPと石油・石油製品1200万トンの輸出契約に調印

ロシア最大の国営石油大手ロスネフチは先週末、英石油大手BPと5年間に最大1200万トンの石油と石油製品を代金前払いで輸出する契約を結んだ。ノーボスチ通信(電子版)などが伝えた。

この契約は、数カ月前から両社で話し合われていたが、ウクライナ危機が長期化したため、締結が延期されていたもの。前払いの支払いには世界的な金融機関が関与しており、国際金融市場も対ロシア制裁の対象となっているロシア企業との関係改善に向けた動きとして注目される。ロスネフチのイーゴリ・セーチンCEO(最高経営責任者)は4月に米財務省から制裁対象リストに載せられている。

ロスネフチからの石油・石油製品の輸出は2014年7月から開始される予定で、輸出代金は前払いで15億ドル(約1520億円)になる。BPはロスネフチの主要株主(19.75%出資)で、セーチンCEOは今後もBPとの提携関係を強化していく、と述べている。

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GM、安全性総点検で新たに50万台超をリコールへ

米自動車最大手ゼネラル・モーターズ<GM>は先週末、全世界で50万台超(米国では43万台)の乗用車をリコール(無償回収・修理)したことを明らかにした。

これは今年2月にエンジン始動スイッチの不具合から13人以上が死者を出した260万台のリコール以降、GMは全車両の安全性について総点検を行った結果、今回、新たに4件の追加リコールを発表したもの。大半の46万7000台はトランスミッションのソフトウエアに不具合が見つかった4輪駆動のSUV(スポーツ用多目的車)で、車輪に動力が伝わらなくなる可能性があるという。

他は、3万3000台の2013-2014年型小型車「シボレー・クルーズ」で、エアバッグに不具合が見つかり、最悪の場合、衝突時にエアバッグが膨らまない危険がある。また、4800台が2013-2014年型警察車両「シボレー・カプリス」とスポーツセダン車「シボレーSS」でワイパーに不具合がある。1939台は2014年型スポーツカー「シボレー・コルベット」でサスペンションに不具合が見つかった。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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