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主な新興国/米国経済ニュース(12月25日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

インドネシア国営クラカタウと韓国ポスコの高炉が完成、開所式を行う

インドネシア国営製鉄大手クラカタウ・スチールと韓国鉄鋼大手ポスコの合弁会社クラカタウ・ポスコ(ポスコが70%出資)がバンテン州チレゴンで建設中だった高炉がこのほど完成し、23日に、スシロ・バンバン・ユドヨノ大統領ら政府幹部が出席する中、開所式が行われた。地元経済紙ビジネス・インドネシア(電子版)などが伝えた。

これは第1期工事が完了したもので、鉄鋼スラブと鋼板を生産する。現時点の生産能力は年間300万トンだが、最終の第2期工事が完了すれば生産能力は一気に2倍の年間600万トンとなり、国内の鉄鋼生産シェアは60%に達する見込み。投資額は第1期工事だけで26億6000万ドル(約2800億円)だが、第2期工事までには総額60億ドル(約6200億円)にまで拡大する。

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ベトナム2013年GDP伸び率は5.42%増―政府目標下回る

ベトナム統計局(GSO)は23日、同国の2013年GDP(国内総生産)伸び率が5.42%増となったことを明らかにした。これは昨年の5.25%増を上回ったものの、政府目標の5.5%増を下回った。ベトナムの声・ハノイ放送局(電子版)が伝えた。

ただ、各四半期の成長率の推移を見ると、1-3月期は4.76%増だったが、4-6月期には5%増、7-9月期は5.45%増、10-12月期は6.04%増と、徐々に伸びが加速している。

また、2013年GDP伸び率の部門別の結果は、第1次産業(農林水産業)が2.67%増と、昨年とほぼ同じ伸びとなったものの、製造業と建設業は5.43%増と、昨年の5.75%増を下回った。一方、サービス業は6.56%増と、昨年の5.9%増を大幅に上回っている。

ベトナム統計局のグエン・ビック・ラム局長は、来年のGDP伸び率の見通しについて、5.8%増の達成は可能とし、インフレ率については7%上昇の水準を維持する可能性が高いとしている。その上で、同局長はこれらの目標を達成するには、不良債権処理の加速や貸倒引当金の積み増し、脆弱銀行の再編を通じて、銀行システムを改革する必要があるとしている。

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米アップル、チャイナ・モバイルと業務提携―株価急騰

米IT大手アップル<AAPL>が22日夕に中国の携帯電話サービス最大手、中国移動通信(チャイナ・モバイル)と業務提携したことを明らかにしたのを受けて、翌23日の米ナスダック店頭市場で株価が急騰、3.84%高の570.09ドルで引けた。その後の時間外取引でも米東部時間24日午前4時12分時点で23日終値比0.05%高の570.36ドルとなっている。

英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)によると、チャイナ・モバイルの契約者数は推定7億5000万人で、契約者数では世界最大の携帯電話サービス会社として知られる。このうち、3G対応携帯電話の契約者数は約1億7000万人で米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>の約1億人を上回る。

アップルは今回の提携に基づいて、来年1月17日から最新モデルのスマートフォン「アイフォン5S」と「同5C」をチャイナ・モバイルの販売チャンネルを通じて販売するが、タブレット型PC「アイパッド」については、販売開始時期は明らかになっていない。これまで、アップルは中国国内では中規模の携帯電話サービス会社チャイナ・ユニコとチャイナ・テレコを通じてアイフォンを販売しているが、販売シェアはわずか6%と、韓国家電・電子機器最大手サムスン電子などのライバルの後塵を浴び5位にとどまっている。しかし、今回、アップルは超高速大容量通信の第4世代(4G)携帯電話ネットワークの免許を獲得したチャイナ・モバイルとの提携で、アイフォン5Sと同5Cの中国市場での普及が進むと見られる。

この提携によるアイフォンの売り上げの増大効果は数十億ドル(数千億円)になると見られている。カナダの投資銀行RBCキャピタル・マーケッツのアナリストは、アップルの年間売上高は100億ドル(約1兆0400億円)増加すると予想しているほか、米証券大手モルガンスタンレーは、アップルは今年度だけで1200万台のアイフォンの販売増が見込めるとしている。また、米経済専門オンラインメディア、CNNマネーによると、アナリストは、アップルは来年、今回の提携でアイフォンの販売台数が2000万‐3000万台増加すると見ている。

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米ティファニー、通期利益見通しを下方修正―スウォッチへの賠償金支払いで

米宝飾品大手ティファニー<TIF>は22日、通期(2013年12月-2014年1月)の業績見通しについて、1株当たり利益(希薄化後)を昨年11月の前回発表時の3.65-3.75ドルから2.3-2.35ドルへ下方修正したことを明らかにした。

利益を下方修正したのは、オランダの仲裁裁判所が同社に対し、スイス時計大手スウォッチとの提携解消に伴い、4億4950万ドル(約470億円)の損害賠償金の支払いを命じたため、2013年11月-2014年1月期(第4四半期)に2億9500万-3億0500万ドル(約310億-320億円)のコストを追加計上することになったためとしている。同社の株価は23日、0.13%安の90.5ドルで引けている。

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ロシア中銀副総裁、米QE3縮小の影響は軽微―金融政策変わらず

ロシア中央銀行のクセニア・ユダエヴァ第1副総裁は24日の会見で、米FRB(連邦準備制度理事会)が先週、来年1月からの第3弾量的金融緩和(QE3)の段階的縮小を決定したことについて、「米国のQE3の縮小によって、ロシアの金融市場に大きな悪影響が及ぶとは見ていない。従って、金融政策を検討するにあたって、特段、QE3の縮小を考慮する必要はないと考えている。金融政策の目標は2014年末までに物価目標を達成することだ」と述べた。

また、同副総裁は、QE3の縮小によるインフレや為替相場などへの間接的な悪影響については軽微だとし、楽観的に見ていることを示している。一方、インフレについては、ロシア経済発展省は最近、今年のインフレ率の見通しを6%上昇から6.2%上昇へ引き上げて懸念を高めている。

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ブラジル大統領、2014年月額最低賃金の6.78%引き上げを承認

ブラジルのジルマ・ルセフ大統領は23日、来年1月から2014年の最低月額賃金を6.78%引き上げて724レアル(約3万2000円)とする大統領命令に署名した。ブラジル経済紙バロール・エコノミコ(電子版)が伝えた。

これは先週18日にブラジル議会が可決した来年度予算に盛り込まれた最低賃金の引き上げ額と変わっていない。政府は、当初、6.6%増の722.9レアル(約3万1950円)への引き上げを計画していたが、その後、議会が政府案を上回る724レアルに修正していた。来年の最低賃金の引き上げで、年金や失業保険給付、社会福祉給付などの社会保障費は2億5000万レアル(約110億円)の歳出増となる見込み。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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