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主な新興国/米国経済ニュース(12月19日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

ロシア、ウクライナに2.1兆円規模の緊急経済支援で合意

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は17日、EU(欧州連合)加盟問題をめぐって政治・社会混乱が続いているウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ大統領と会談し、ウクライナに対し、当面のデフォルト(債務不履行)を回避するために必要な資金供与とロシア産天然ガスの販売価格の引き下げを含む総額200億ドル(約2.1兆円)の緊急経済支援を行うことで合意した。ロシアのプライム通信(電子版)などが伝えた。

200億ドルの内訳は、直接の金融支援が150億ドル(約1.5兆円)で、ロシアは年金制度を支えるための国民福祉基金(NWF)の資金を使って年内から来年にかけて、ウクライナが発行するユーロ債を引き受ける。残りの50億ドル(約5200億円)相当はロシア国営天然ガス大手ガスプロムがウクライナに輸出するロシア産天然ガスの販売価格を1000立方メートル当たり400ドル(約4万1200円)から268.5ドル(約2万7700円)へ30%強値下げするとしている。ただ、天然ガスの値下げについては、プーチン大統領は「一時的な値下げで、ウクライナとの長期の(経済連携)合意に達することが前提条件だ」と述べている。

また、プーチン大統領は、両国首脳は2国間の関税を撤廃する計画を相互に承認したことも明らかにし、「この関税撤廃が実現すれば、ウクライナの産品がロシアやロシアとカザフスタン、ベラルーシの旧ソ連の3カ国で構成する関税同盟国への輸出が増大する。それによって、ウクライナの企業の設備稼働率が上昇し、雇用も拡大する」とし、ロシアとの経済連携の有利さを強調した。

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東芝、来年から400億-500億円投じインドネシアに家電生産基地建設か

東芝は、現在、欧州と中国で行っているテレビと家電製品の海外生産をインドネシアに移転するため、4億‐5億ドル(約410億-520億円)を投資するもようだ。これはインドネシア投資調整庁(BKPM)のマヘンドラ・シレガル長官が明らかにしたもの。地元経済紙ビジネス・インドネシア(電子版)などが17日に伝えた。

これより先、インドネシアのスレマン・ヒダヤット工業相は15日に、東芝のテレビと家電製品の海外生産のインドネシアへの移管計画を明らかにしていたが、投資額については未定のままだった。同長官は「投資額は4億-5億ドルになる。東芝側はインドネシアに生産を移管するのか、そうでないのかは明確にしなかったが、対インドネシア投資を拡大することは間違いない」と述べている。

また、ジャカルタ・ポスト(電子版)によると、ヒダヤット工業相は、東芝は来年から家電など電気製品の生産基地をジャワ州に建設する可能性が高いとしている。現在、東芝はインドネシアで、液晶テレビとDVDプレーヤー、エアコン、ノートブックPCなどに生産品目を絞って生産している。

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関西電力、インドネシアのタングーPSCと長期LNG契約を締結

関西電力は18日、インドネシア西パプア州沖合で天然ガスを生産しているタングーPSC・コントラクター・パーティーズからLNG(液化天然ガス)を購入する契約を締結したことを明らかにした。

契約期間は、2014年から22年間で、年間最大約100万トンのLNGを購入する。タングーPSCは2009年からLNG生産を開始しており、現在、第3系列の建設計画を進めている。関西電力は、今回のLNGの長期購入契約について、「主要なLNG供給源の一つと位置付けており、今後の当社のLNGの安定調達につながる」としている。

タングーPSCは英石油大手BP傘下のBPベラウや三菱商事と国際石油開発帝石の合弁会社など10社が共同で設立した合弁会社で、第3系列(年間生産量380万トン)の設備が2016年から稼働を開始すればLNGの年間生産量は760万トンから1140万トンに拡大する予定。

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米エクソンモービル、ペトロベトナムと電力・ガス供給プラント建設で合意

米石油大手エクソンモービル<XOM>はこのほど、国営ベトナム石油ガスグループ(ペトロベトナム)と共同で、ベトナム中部に、電力とガスを供給するエネルギープラントを建設することで合意した。オンライン・ニュースメディア「ベトナム・インベストメント・レビュー」が17日に伝えた。

この施設は発電所とガス供給設備からなり、立地点としてはクワンガイ省のズンクワット経済特区にある石油精製所の北東部が有力となっている。投資額は明らかにされていないが、関係者は数十億ドル(数千億円)になると見ている。発電所の出力は当初、150万キロワットでスタートし、将来的には400万-500万キロワットに拡大する計画だ。

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米食品大手ゼネラル・ミルズ、9-11月期利益は予想下回る

米食品大手ゼネラル・ミルズ<GIS>が18日に発表した9-11月期(第2四半期)決算は、純利益が前年比1.5%増の5億4990万ドル(約570億円)、1株当たり利益(希薄化後)も同2.4%増の84セントとなった。また、調整後の1株当たり利益は同3.5%減の83セントなり、アナリスト予想の88セントを下回った。

一方、売上高は同0.1%減の48億7600万ドル(約5020億円)となり、アナリスト予想の49億5000万ドル(約5100億円)を下回った。売上高が減少したのは前年同期に感謝祭の売り上げが含まれていたが、今年の第2四半期決算では感謝祭関連の売り上げが除外されていたため。

また、2014年度通期の業績見通しについては、1株当たり利益は2.87-2.9ドルと、従来予想のまま据え置いたが、為替効果は同社の利益に対し、逆風が吹く恐れがあるとしている。この結果を受けて、同社の株価は米東部時間18日午後3時56分時点で、0.22%高の49.69ドルとなっている。

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米物流大手フェデックス、9-11月期利益は14%増も予想下回る

米物流大手フェデックス<FDX>が18日に発表した9-11月期(第2四半期)決算は純利益が前年比14%増の5億ドル(約515億円)、1株当たり利益(希薄化後)も同13%増の1.57ドルとなったが、アナリスト予想の1.64ドルを下回った。大幅増益となったのは、前年同期はハリケーン「サンディ」の影響を受けて1株当たり11セントの落ち込みとなったが、今年はその影響が剥落したため、反動増となったもの。

また、売上高は同3%増の114億ドル(約1兆1700億円)となったが、アナリスト予想の114億4000万ドル(約1兆1800億円)を下回った。さらに通期の業績見通しについては、調整後利益は8-14%増と、従来予想の7-13%増から上方修正された。この結果を受けて同社の株価は18日、0.45%高の139.72ドルで引けた。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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