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主な新興国/米国経済ニュース(10月31日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

ロシア石油大手ロスネフチ、TNK-BPの株式10%を2900億円で売却

ロシア石油・天然ガス大手ロスネフチは29日に発表した7-9月期(第3四半期)決算で、同社が昨年、英石油大手BPとロシアの合弁石油大手TNK-BPを550億ドル(約5.4兆円)で買収したのに続いて、傘下に収めたばかりのTNK-BP(現在はPNホールディングに社名変更)の株式9.9%を7-9月期中に、第3者の投資家に970億ルーブル(約2900億円)で売却したことを明らかにした。

また、7-9月期決算では、TNK-BPの買収後の純利益が前年同期の350億ルーブル(約1050億円)から8倍増の2800億ルーブル(約8400億円)となった。ただ、アナリスト予想の2840億ルーブル(約8500億円)をやや下回った。純利益が急増したのは、TNK-BPを買収したあとの資産再評価益1670億ルーブル(約5000億円)が計上されたため。TNK-BPの買収手続きは3月に完了している。

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ポーランドのラファコ、中国2社との協力関係解消―石炭火発建設で

ポーランドのエンジニアリング大手ラファコは、今年7月に中国石油天然気集団(CNPC)傘下の中国石油工程建設公司(CPECC)と同業大手、華北電力エンジニアリング(NCPE)と結んだポーランド南部ヤボジノでの石炭火力発電所3号機(発電出力91万キロワット)の建設で協力協定を破棄したことを明らかにした。

ラファコは、1月にポーランド国営電力大手タウロンから44億ズロチ(約1410億円)で同発電所の建設を落札する際に、中国2社と建設協力協定を結んでいた。しかし、その後、契約条件や下請けをめぐって両者の意見が対立し、協力関係の解消に至ったもの。

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インドネシア配管大手アリタ・プリマ、新規上場で50億円超を調達

インドネシアの配管・バルブ製造・販売大手アリタ・プリマ・インドネシアは29日、インドネシア証券取引所に新規上場(IPO)した。IPOに先立って実施した、発行済み株式の25.6%に相当する新株2億7500万株を投資家に売却し、605億ルピア(約53億円)の資金を調達した。ジャカルタ・ポスト(電子版)が30日に伝えた。

同社では調達した資金の75%は、支店開設や西ジャワ州プルワカルタに6工場を建設するなど事業拡大に、また、残りは短期債務の返済に使うとしている。同社では今後6年間で、500億-600億ルピア(44億-54億円)を投じて、新たに20-30工場を建設する計画。

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携帯電話大手ノキア、ベトナム・バクニン省で新工場の竣工式を開催

フィンランドの携帯電話機器大手ノキアは28日、ベトナム北部バクニン省のハイフォン市にあるベトナムとシンガポールの両国政府が共同運営しているベトナム・シンガポール工業団地(VSIP)に建設中だった新工場の竣工式を行った。ベトナムの声・ハノイ放送局(VOV)が29日に伝えた。

同社は昨年4月から3億ドル(約290億円)を投じて新工場の建設に着手し、6月中旬には工場は完成、最初の製品が輸出されているが、この日、政府幹部らを招待して、正式に竣工式が行われたもの。新工場の敷地面積は6万5400平米。新工場では手始めに、従来型携帯電話の最新格安モデル「ノキア105」を生産し、全体の95%を海外に輸出する計画だ。同工場の年間生産能力は18万台。従業員数は当初は300人体制となるが、将来的には数千人規模に拡大する計画。

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米オキシデンタル、7-9月期増収増益―カリフォルニア事業を会社分割か

米石油大手オキシデンタル・ペトロリアム<OXY>が29日に発表した7-9月期(第3四半期)決算は原油増産と国内原油・天然ガス価格の上昇で売り上げが堅調となったことから、純利益は前年比15%増の15億8000万ドル(約1550億円)、1株当たり利益(希薄化後)も同16%増の1.96ドルとなり、アナリスト予想の1.9ドルを上回った。

売上高は同8%増の64億5000万ドル(約6320億円)となり、アナリスト予想の64億ドル(約6270億円)を上回った。国内の原油価格は13%増と、世界の原油価格の8%増を上回ったことに加え、カリフォルニア州やテキサス州での原油増産投資が売り上げ拡大に寄与している。

また、米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、同社のスティーブ・チェイズンCEO(最高経営責任者)は同日、アナリスト向けの業績説明会で、事業再編計画の一環として、将来、同社のカリフォルニア州の石油・天然ガス事業を会社分割する可能性を明らかにした。現在、カリフォルニア州の原油生産量は89万バレル、また、天然ガス生産量は26万立方メートルで、会社全体の3分の1を占めている。チェイズンCEOはカリフォルニア州の事業分割は新規株式公開(IPO)か、あるいは、同社の株主に新会社の株式を非課税で分配することで実現できるとしている。

同社の株価は29日、1.09%安で引けたが、米東部時間の30日午前10時1分時点で、0.33%高の96.8ドルとなっている。

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米アニメ大手ドリームワークス、7-9月期利益は予想上回る―株価急伸

米アニメ映画制作大手ドリームワークス・アニメーション<DWA>が29日に発表した7-9月期(第3四半期)決算は、今夏に封切られた、世界最速のカーレーサーを目指すカタツムリを描いた新作CGアニメ「ターボ」の売り上げ貢献度が640万ドル(約6億3000万円)と思ったほど伸びなかったことから全体の売上高が急落し、純利益は前年比59%減の1010万ドル(約10億円)と、半分以下となった。また、1株当たり利益(希薄化後)も59%減の12セントとなった。ただ、アナリスト予想の収支トントンを上回った。

売上高は同17%減の1億5450万ドル(約150億円)となった。これは前年同期の売上高が世界的な大ヒット作となったCGアニメ映画「マダガスカル3」で急増したものの、ターボの配給収入がマダガスカル3を下回ったためで、マダガスカル3の売り上げ寄与度は1090万ドル(10億7000万円)だった。

同社の株価は29日、0.9%高で引けたが、純利益がアナリスト予想を上回ったことが好感されて、米東部時間30日午前10時50分時点で、17.15%高の32.59ドルと、2009年4月以来、4年ぶり以上の大幅上昇となっている。

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ブラジル7大都市圏の9月失業率、10.3%―2カ月連続低下

ブラジルのサンパウロ州立データ処理財団(SEADE)と労働・社会経済研究所(DIEESE)が30日に発表した9月の雇用・失業調査(PED)によると、サンパウロやサルバドールなど6大都市と首都のブラジリア連邦特別区の失業率は前月(8月)の10.6%から10.3%に低下した。失業率の低下は2カ月連続となる。国営通信アジェンシア・ブラジル(電子版)が伝えた。

また、9月の7大都市圏地域の労働力人口は2235万4000人で、このうち、失業者数は前月比4万2000人減の231万3000人、また、雇用者数は同13万2000人増の2004万人となった。地域別ではサンパウロ州では8月の10.4%から10%に低下している。

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ブラジル油・ガス大手OGX、破産法の適用を申請―負債額5千億円

ブラジルの大富豪エイキ・バチスタ氏が率いる石油・ガス生産会社OGXペトロレオは30日午後、債務整理をめぐる数カ月にわたった債権者との協議が不調に終わったとして、リオデジャネイロの裁判所に対し債権者からの資産保護を求めて破産法の適用を申請した。国営通信アジェンシア・ブラジル(電子版)など複数のメディアが伝えた。

破産法の適用を申請したのは、OGXペトロレオと傘下のOGXペトロレオ・ガス、OGXインターナショナル、OGXオーストラリアの中核3社。負債総額は51億ドル(約5000億円)で、主な内訳は、ブラジル国外で発行された社債が36億ドル(約3600億円)、下請け業者に対する債務は9億ドル(約900億円)、ブラジル金融大手イタウ・ウニバンコなど銀行に対する債務は3億ドル(約300億円)などとなっている。

OGXは自社のウェブサイトで、年末までの事業継続に必要な運転資金は確保されているが、来年3月まで債務返済には2億5000万ドル(約250億円)の新たな資金が必要になっている、と指摘している。

同社は今月1日に資金繰り難のため、債権者との間で債務の再構築をめぐって協議を進めている中、2022年償還の10億6000万ドル(約1040億円)の社債の利払い期日を迎えたが、予定された4500万ドル(約44億円)の利払いを拒否して以降、米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)や米英フィッチ・レーティングスなど大手信用格付け会社が相次いで同社の格下げを決めるなど、破産は時間の問題と見られていた。

破産法の適用申請を受けて、サンパウロ証券取引所(ボベスパ)は同社の株式の売買を停止した。同社の株価は2010年のピーク時の23.27レアル(約1050円)から30日時点でタダ同然の0.17レアル(約8円)まで99.3%も下落し、時価総額で747億レアル(約3.4兆円)も失っている。30日だけで26%も下落した。今後、OGXは60日以内に裁判所に対し、会社再建計画を提示することになるが、その後、債権者全員が180日以内に再建計画を承認しなければ破産に向けた手続きに移行する。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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