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主な新興国/米国経済ニュース(10月25日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

ロシア、中国との長距離用旅客機の共同生産で年内に設計完了へ

ロシアのドミトリー・ロゴージン副首相は23日、中国との間で進めている長距離ワイドボディジェット旅客機の共同開発計画について、今年末までに新型機の設計を完了させ、来年から具体的な共同生産について中国側と議論を開始したい考えを示した。モスクワ・タイムズ(電子版)が伝えた。

両国による長距離用旅客機の共同開発計画は、ロシア国営の航空持ち株会社ユナイテッド・エアクラフト(OAK:統一航空機製造会社)が2012年から中国の航空機製造大手、中国商用飛機(COMAC)との間で進めているもので、ロゴージン副首相は、新型機の設計はイリューシン設計局が行うとしている。

ロシアが同計画を推進する背景には、ロシアの長距離ジェット旅客機市場の80%が米航空・宇宙大手ボーイング<BA>と欧州航空最大手エアバスによって独占されていることがある。同副首相は、「こうした事態を招いていることに言い訳は許されず、一刻も早く税制されなければならない」と述べている。

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ポーランド国鉄傘下PKPカーゴ、30日にIPO実施―460億円調達へ

欧州2位のポーランド鉄道貨物輸送会社で、ポーランド国鉄(PKP)傘下のPKPカーゴは23日、今月30日にワルシャワ証券取引所で新規株式公開(IPO)を実施することを明らかにした。地元週刊紙ワルシャワ・ボイス(電子版)が24日に伝えた。

また、IPOに先立って、同社は発行済み株式2093万株を1株当たり68ズロチ(約2200円)で売り出すとしている。資金調達額は14億2300万ズロチ(約460億円)となる。小口投資家への売り出しは21日に締め切られたが、機関投資家などの大口への売り出しは23-25日となっている。引き受け幹事は国営金融最大手ペカオ・バンク・ポルスキ(PKO BP)。IPO後もポーランド国鉄が最大株主に変わりはない。

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シンガポール家具・家電小売りコーツ、インドネシアに第1号店舗着工

シンガポール家具・家電小売り大手コーツ・アジアは23日、インドネシアの首都ジャカルタ近郊の西ジャワ州ブカシで、メガストア(大規模小売店)の建設に着手した。これは同社にとってインドネシア第1号店舗となる。ジャカルタ・グローブ(電子版)が伝えた。

建設費用は2000万ドル(約19億5000万円)で、敷地面積は1万3000平米。2014年下期(7‐12月)から操業を開始する予定。店舗ではパソコンから電気製品、さらに家具まで幅広い品揃えとなる。同社ではこうしたメガストアをブカシ以外でも、2015年には、同じくジャカルタ近郊のバンテン州タンゲランにも出店し、さらに5年以内に10店舗を追加する計画だ。

今回のブカシ店の建設費用は今月初めの新規株式公開(IPO)で調達した4400万ドル(約43億円)の資金の大半を充当するとしている。

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ベトナム・ニソン石油精製所が着工―投資額は約9千億円

ベトナム国営石油ガスグループ(ペトロベトナム)が中心となって同国北部タインホア省ニソン経済区に建設する同国2番目の大規模石油精製所の着工式が23日、グェン・タン・ズン首相ら政府幹部や関係企業の代表が出席して行われた。

総投資額は90億ドル(約8800億円)で、建設には石油エンジニアリング大手日揮(JGC)<1963.T>や千代田化工建設<6366.T>も参加する。建設期間中の雇用者数は数千人規模となり、完成後も1000人の新規雇用が創出される予定。

ニソン製油所は日本を含めた多国籍の合弁会社によって運営されるが、その資本構成は出光とクウェート国営石油(KPC)が各35.1%、ベトナム国営石油ガスグループ(ペトロベトナム)が25.1%、三井化学が4.7%となっている。

製油所の敷地面積は400ヘクタールで、原油処理能力は年間100万トン。製品の70%は国内のエネルギー需要に向けられる。第1期工事の完成は2017年で、年間230万トンのガソリンや290万トンのディーゼル油、38万トンのポリプロピレン、90万トンの航空燃料、70万トンのLPG(液化石油ガス)を生産する計画。

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米オンライン証券イートレード、7-9月期黒字に転換

米オンライン証券大手イートレード・ファイナンシャル<ETFC>が23日に発表した2013年7-9月期決算は、純損失が前年同期の2900万ドル(約30億円)の赤字から一転して4700万ドル(約50億円)の黒字となった。1株当たり損失(希薄化後)も10セントの赤字から16セントの黒字に転換した。これはアナリスト予想と一致した。

前年同期が純損失となったのは貸し出し先の破産による5000万ドル(約50億円)の一時的損失を計上したためで、当期はその減益要因が剥落したことや、経費節減(営業経費は前年比6.3%減)、さらには貸倒引当金の減額(前年比73%減の3740万ドル(約40億円))などで黒字に転換している。

一方、売上高は、貸出金・有価証券運用収益の急減(前年比85%減)が響いて15%減の4億1700万ドル(約406億円)となり、アナリスト予想の4億1990万ドル(約409億円)をやや下回った。

この結果を受けて、同社の株価は23日の通常時間帯の取引終了後の時間外取引で一時、終値比0.6%高と上昇したものの、午後7時57分(米東部時間)時点では、終値比3.81%安の16.68ドルと急落している。

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米シマンテック、10-12月期予想冴えず株価急落―7-9月期増益も

米セキュリティー対策ソフト大手シマンテック<SYMC>が23日に発表した2013年7-9月期決算は、純利益が前年比28%増の2億4100万ドル(約230億円)、1株当たり利益(希薄化後)も同26%増の34セントとなった。また、調整後1株当たり利益は50セントとなり、アナリスト予想の44セントを上回った。

しかし、売上高は同4%減の16億4000万ドル(約1600億円)となり、アナリスト予想の16億9000万ドル(約1650億円)も下回った。今期(10-12月期)の業績見通しについては、売上高は16億3000万-16億7000万ドル(約1590億-1630億円)と予想しているが、アナリスト予想の17億9000万ドル(約1740億円)を下回った。また、調整後1株当たり利益は41-43セントと予想したものの、これもアナリスト予想の51セントを大幅に下回った。

これを受けて、同社の株価は23日、2.34%安の24.62ドルとなった。引け後の時間外取引でも午後7時59分(米東部時間)時点で終値からさらに12.43%安の21.56ドルに急落している。

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ペトロブラス、ブラジル・リブラ油田の契約金支払いで燃料値上げを否定

ブラジル国営石油大手ペトロブラスのグラッサ・フォスター総裁は23日、ギド・マンテガ財務相との会談後、記者団に対し、同国南東部サンパウロ州サントス海盆沖のプレソルト(岩塩)層のリブラ海底油田の操業開始前に、政府に対し、“契約締結祝い金(signing bonus)”として支払うことが義務付けられている、いわゆる60億レアル(約2600億円)の契約金の資金調達について、「燃料の販売価格を値上げせずに、60億レアルの支払いは可能」との認識を示し、ガソリンなどの燃料価格の値上げの可能性を否定した。中南米専門の通信社メルコプレス(電子版)などが伝えた。

同社は21日、ブラジル石油監督庁(ANP)が実施したリブラ海底油田の開発権に対する国際入札で、英蘭石油メジャーのロイヤル・ダッチ・シェルや仏石油メジャーのトタル、中国石油天然気集団(CNPC)、中国海洋石油(CNOOC)とともに落札した。しかし、開発にあたっては、5社は政府に対し計150億レアル(約6600億円)の契約金の支払いが求められている。

リブラ油田の原油可採埋蔵量は80億‐120億バレルと推定されており、開発されば世界最大級の海底油田となり、また、数年後にはブラジルは世界10大産油国の仲間入りを果たすと見られている。

ANPでは同油田の探鉱期間は4年間(延長可能)で、その後35年契約で開発が進められ、総額4000億レアル(約17.6兆円)の巨額な資金が投じられると見ている。また、ANPは同油田のピーク時の生産量は日量100万バレルとなり、ブラジル全体の原油生産量も現在の同200万バレルから50%増の同300万バレルに急拡大すると予想している。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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