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主な新興国/米国経済ニュース(10月23日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

ロシア中銀、1日の市場介入額を60億円に半減―変動相場制に向けて

ロシア中央銀行は21日、自国通貨ルーブルの為替変動に対する市場の懸念を緩和するための1日当たりの市場介入目標額を21日からこれまでの1億2000万ドル(約120億円)から半分の6000万ドル(約60億円)に引き下げたことを明らかにした。

介入目標額の引き下げについて、中銀は声明文で、「為替相場の柔軟性を一段と高めることで、2015年までに自由変動相場制への移行を確実にする政策の一環だ」としている。また、「為替相場の変動に対する中銀の影響力を弱めることによって、中銀の金融政策の効果が一段と発揮されて物価安定に寄与する」とも述べている。

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ベラルーシ大統領、ロシア当局へのウラルカリーCEOの身柄引き渡しを示唆

世界最大級のカリウム肥料会社として知られるロシアのウラルカリーのウラジスコフ・バウムガートナーCEO(最高経営責任者)が8月26日に渡航先のベラルーシで、同国の司法当局によって、職権乱用罪などの容疑で身柄を拘束されている問題で、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は21日、バウムガートナーCEOが提携パートナーのカリウム肥料大手ベラルーシカリ―と、合弁会社ベラルーシ・ポタッシュ・カンパニーに与えられた損害を賠償すること条件に、ロシア当局への同CEOの身柄引き渡しを検討する用意があることを明らかにした。ロシアのプライム通信(電子版)が伝えた。

ベラルーシ側は今回のバウムガートナーCEOの身柄拘束事件で、15億‐20億ドル(約1500億‐2000億円)の経済損失を受けたとしている。一方、ロシア側も損失額は少なくとも30億ドル(約2900億円)に上っている。また、ルカシェンコ大統領は引き続き、ロシアと協力してカリ肥料市場への参入を再開したい考えだが、今後、カリ肥料はすべて合弁会社ベラルーシ・ポタッシュ・カンパニーを通して販売することを要求している。これまでは、カリ肥料の80%はウラルカリーの子会社ウラルカリー・トレーディングを経由して販売され、残り20%が合弁会社経由だった。

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インドネシア配管大手アリタ・プリマ、IPO価格を220ルピアに設定

インドネシアの配管・バルブ製造・販売大手アリタ・プリマ・インドネシアは21日、今月29日にインドネシア証券取引所に新規上場するのに先立って、発行済み株式の25%に相当する新株2億7500万株を発行し投資家に売却する計画だが、株式公開価格を1株当たり220ルピア(約2円)に設定したことを明らかにした。ジャカルタ・グローブ(電子版)が伝えた。

カストディアン(有価証券の保管・管理)業務を委託されたインドネシア中央証券保管会社によると、今回の新株売却で、同社は605億ルピア(約5億3000万円)の新規資金を調達する見込み。アリタ・プリマの親会社はマレーシアの産業機械大手ユニメック・グループ。

同社では調達した資金の75%は、西ジャワ州プルワカルタに6工場を建設するなど事業拡大に、また、残りは短期債務の返済に使うとしている。

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ベトナム首相、公共投資拡大のため国債増発へ―成長重視で

ベトナムのグェン・タン・ズン首相は21日、国民議会に対し、政府の2013年と2014年の財政赤字の対GDP(国内総生産)比を従来計画の4.8%から5.3%に引上げるともに、2013年の公的債務残高の上限を同65%に引き上げて国債増発を可能にするよう求めた。地元金融情報サイト、ストックスプラス(電子版)が伝えた。

同首相は、財政赤字は公共投資を確保するために必要だとした上で、2014年の財政赤字は経済改革を推進し経済成長を回復させるために、2013年の水準を下回らないとの見通しを示した。ただ、財政赤字の対GDP比率は2015年以降、徐々に低下に向かうとしている。

また、同首相は政府が出資している企業からの配当金を2013年と2014年のインフラ投資の増額に充てることについても議会の承認を求めた。同首相は2013年の経済見通しについて、今年のGDP伸び率を5.4%増とし、先に議会が承認した成長目標の5.5%増を下回ると予想している。

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米半導体テキサス・インスツルメント、7-9月期減収減益―今期も不透明

米半導体大手テキサス・インスツルメント<TXN>が21日に発表した7-9月期決算は、純利益が前年比20%減の6億2900万ドル(約620億円)、1株当たり利益(希薄化後)も同16%減の56セントとなったものの、アナリスト予想の53セントを上回った。

また、売上高も携帯電話向け半導体製品がスマートフォンメーカー自身による内製化や同業大手携帯電話向け半導体大手クアルコム<QCOM>との競争激化の影響で、同4%減の32億4000万ドル(約3180億円)となり、アナリスト予想の32億3000万ドル(約3170億円)も下回った。ただ、同社は商品構成を見直して、アナログプロセッサや自動車や産業機械などに使われる組み込みプロセッサに生産の重点をシフトしたとしている。

今期(10-12月)の業績見通しについては、売上高は28億6000万-31億ドル(約2800億-3040億円)と予想したが、アナリスト予想の31億1000万ドル(約3050億円)を下回っている。また、1株当たり利益は42-50セントと予想したが、これもアナリスト予想の51セントを下回った。

当期の売り上げが予想を下回ったことに加え、今期の業績も市場予想を下回り弱い見通しとなったことから、同社の株価は21日午後7時53分(米東部時間)時点の時間外取引で、この日の通常時間帯での取引の終値に対し3.15%減の39.7ドルと急落している。

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米映像ストリーミング大手ネットフリックス、7-9月期純利益4倍増

米オンラインDVDレンタル・映像ストリーミング大手ネットフリックス<NFLX>が21日に発表した2013年7-9月期決算は、純利益が前年比4倍増の3200万ドル(約30億円)、1株当たり利益(希薄化後)も同4倍増の52セントとなり、アナリスト予想の48セントを上回った。大幅増益となったのは当期の新規契約者数が130万件となり、売り上げが急増したため。売上高は同22%増の11億ドル(約1080億円)となり、アナリスト予想と一致した。

また、今期(10-12月)の業績見通しについては、1株当たり利益は47-73セントと予想し、アナリスト予想の45セントを上回った。今期中の新規契約者数も当期を上回る160万-240万件になる予想としている。

これを受けて、多くのアナリストは同社の目標株価を200ドル引き上げて350ドルとしたことも手伝い、同社の株価は21日、6.44%高の354.99ドルで引けたあとも、引け後の時間外取引で一時9%以上の急伸となった。しかし、その後は目標株価を超えたため、高値警戒感から利食い売りが強まり、22日午前10時58分(米東部時間)時点では前日比3.23%安の343.54ドルと、前日の上昇分からは半値押しとなっている。

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英高級車ジャガー・ランドローバー、ブラジルに新工場建設を検討中

インド自動車大手タタ・モーターズ傘下の英高級車大手ジャガー・ランドローバーは、ブラジルに自動車組み立て工場を建設する計画を検討している。地元紙オ・エスタド・ジ・サンパウロ紙(電子版)などが21日に伝えた。

同社の中南米部門のフラビオ・パドバン社長によると、現在、ブラジル国内の4州から立地要請を受けているが、2州に絞りこんでおり、年末までに最終決定し、正式に発表したい考えだ。2州がどこかについては明らかにされていないが、サンパウロ州とリオデジャネイロ州が有望視されている。

ジャガー・ランドローバーの投資規模は、すでにブラジルに工場進出しているドイツの高級自動車大手BMWやダイムラー傘下のメルセデス・ベンツの例を見ると、約5億レアル(約230億円)で、年間生産台数も2万‐3万5000台になると見られている。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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