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主な新興国/米国経済ニュース(9月26日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

IMF、ロシアの2013-2014年の経済成長率見通しを下方修正

IMF(国際通貨基金)は24日に発表した最新のロシアの経済成長率見通しで、今年のGDP(国内総生産)伸び率を従来予想の2.5%増から1.5%増へ、また、2014年のGDP伸び率も3.25%増から3%増へ、いずれも下方修正した。ロシアのプライム通信(電子版)が伝えた。

一方、経済発展省では今年の経済成長率は1.8%増、来年は3%増と予想している。IMFは、ロシア政府は同国の潜在成長率を高めるよう構造改革と政治改革に取り組む必要があると指摘している。

インフレ見通しについては、IMFは、今年の見通しを従来予想の6%上昇から6.2%上昇へ下方修正(悪化方向)した。来年の見通しについても5.3%上昇と、従来予想の4.5%上昇の物価目標を上回るとした。経済発展省の予想では今年は5-6%上昇、来年は4.5-5.5%上昇と予想している。

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ブルガリア政府、郵便局の銀行利用を検討へ―国営郵便会社救済で

ブルガリアのダナイル・パパゾフ運輸・情報技術・通信相は24日の会見で、経営難に陥っている国営郵便会社ブルガリアン・ポストの全国の郵便局が閉鎖に追い込まれる可能性が高まっていることから、危機回避策として、郵便局を民間商業銀行の営業店舗として利用する方向で銀行界と合意を目指したい考えを明らかにした。地元のソフィア通信社(電子版)が伝えた。

ブルガリアン・ポストはこれまでに政府から200万レフ(約1億4000万円)の金融支援を受けているが、さらに650万レフ(4億4000万円)の追加支援を政府に要請している。このため、ブルガリアン・ポストのプラメン・ペトロフCEO(最高経営責任者)は先週、郵便局をショッピングセンターやハイパーマーケット(郊外型の大型スーパー)などに移転することも検討していることを明らかにしている。

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インドネシア財務省幹部:7-9月期GDP伸び率は5.8%増をやや下回る

インドネシア財務省のバンバン・ブリジョヌゴロ財政政策局長は24日、同国の今年7-9月期GDP(国内総生産)伸び率は前年比5.8%増をやや下回るとの見通しを明らかにした。ただ、10-12月期には財政支出の拡大や世界景気の回復が予想されるため、今年の政府目標である5.9%増に持ち直すと楽観的に見ている。アンタラ通信(電子版)が伝えた。

7-9月期の成長率がやや鈍化するのは、インドネシア通貨ルピア安とインフレ上昇で消費支出が弱まっているためとしている。しかし、10-12月期には再び景気の伸びが加速し、通年では消費と投資に支えられて5.8-6%増になると予想している。一方、中銀は今年の成長率見通しを従来予想の5.8-6.2%増から5.5-5.9%増へ下方修正している。

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ベトナム1-9月期GDP伸び率、5.14%増―政府目標5.5%増は困難か

ベトナム計画投資省が24日に発表した同国の1-9月期GDP(国内総生産)伸び率は前年比5.14%増となり、前年同期の4.73%増を上回った。また、4-6月期は前期比5%増と1-3月期の同4.89%増から伸びが加速したものの、多くのエコノミストは今年1年間の伸び率は政府目標の5.5%増の達成は困難と見ている。地元金融情報サイト、ストックスプラス(電子版)が伝えた。

1-9月期GDP伸び率の内訳は、商業・サービス業が前年比6.25%増、建設業も同5.02%増と堅調を維持したのに対し、農林水産業は同2.39%増と低迷している。

一方、ベトナム統計局(GSO)が24日に発表した9月のCPI(消費者物価指数)は新学期入りや授業料の値上げなどを反映して、前月比1.06%上昇、また、前年比では6.3%上昇となった。

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米GM、社債発行で4500億円調達へ―UAW保有の優先株買い戻しなどで

米自動車大手ゼネラル・モーターズ<GM>は、北米の自動車労組が保有している優先株と社債を繰り上げ償還するため、総額45億ドル(約4500億円)の優先無担保社債3本を発行する。米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が24日に伝えた。

起債するのは、5年債(償還期日2018年、表面利率3.5%)と10年債(2023年、4.875%)、30年債(2043年、6.25%)の各15億ドル(約1490億円)で、払込日は今月27日の予定。

GMは調達した45億ドルのうち、まず、全米自動車労組(UAW)の退職者向け医療保険基金(VEBA)が保有しているGMの優先株(1億2000万株)を1株27ドル、合計32億ドル(約3200億件)で買い戻すほか、12億ドル(約1200億円)を使って、カナダ自動車労組(CAW)の医療保険基金が保有しているGMの社債(償還期日2018年、表面利率7%)も利息を含めて全額繰り上げ返済する。GMはすでにUAWとCAWと繰り上げ償還で合意している。

この結果、GMの優先株は2億6000万株から1億4000万株に減少するが、このうち、米国政府が1億0100万株、カナダ政府が1600万株を保有することになる。また、同社の2014年決算の最終利益は約1億5200万ドル(約150億円)、1株当たり11セント増加する見通し。ただ、半面、2013年7-9月期に優先株の買い戻し費用8億ドル(約790億円)が計上されるとしている。

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米住宅建築大手レナー、6-8月期純利益は39%増―予想上回る

米住宅建築大手レナー<LEN>が24日に発表した2013年度第3四半期(6-8月)決算は、純利益が前年比39%増の1億2070万ドル(約120億円)、1株当たり利益(希薄化後)も同35%増の54セントとなり、アナリスト予想の45セントを上回った。

また売上高も同46%増の16億ドル(約1580億円)となり、アナリスト予想の15億5000万ドル(約1530億円)を上回った。同社のスチュアート・ミラーCEO(最高経営責任者)は、「過去5年間に建築された一戸建てや集合住宅の在庫がかなり減少する中、長期的に住宅需要が見込まれ、先行きは極めて明るい」と述べている。新規受注は件数ベースで前年比14%増、金額ベースでも同32%増となっている。

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ブラジル当局、テレフォニカの携電大手2社の支配認めない方針

ブラジルのパウロ・ベルナルド通信相は24日、電気通信事業の監督機関であるブラジル通信庁(ANATEL)と独禁当局である経済擁護行政委員会(CADE)は、スペイン通信大手テレフォニカがブラジル携帯電話サービス大手4社の一角を占めるチン・パルチシパソエス(TIM)とビーボ(VIVO)の2社を同時に傘下に置くことは認めないとの見通しを示した。地元紙オ・エスタド・ジ・サンパウロ紙(電子版)などが伝えた。

これは、テレフォニカが24日に、TIMの親会社であるイタリア通信大手テレコム・イタリアへの出資比率を一段と引き上げることで両社が合意したことから、テレフォニカがテレコム・イタリアの過半数株主になれば、テレフォニカがブラジル市場で間接的にTIMの経営支配権を握ることになり、VIVOがすでにテレフォニカのブラジル法人、テレフォニカ・ブラジルの傘下企業であるため、テレフォニカがTIMとVIVOを傘下に収め、ブラジル携帯電話市場の50%以上のシェアを握ることになるからだ。

ブラジル当局は、テレフォニカによるブラジル市場の寡占は容認しない方針だ。このため、ベルナルド通信相は、当局の行政指導で、テレフォニカは1年以内にテレコム・イタリアにTIMの売却を余儀なくされると指摘している。その場合、ブラジル当局は、携帯電話市場の寡占化を避けるために、TIMの売却先はポルトガル・テレコムが一部出資し、オイ(Oi)ブランドで知られるテレマール・ノルテ・レステとアメリカモビル、NIIホールディングス(NIHD)の国内大手3社ではなく、英携帯電話サービス大手ボーダフォンや米AT&Tなど外国企業に売却することが望ましいとしている。 (了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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