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主な新興国/米国経済ニュース(7月30日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

ロシアのネット最大手ヤンデックス、共同創業者セガロビッチ氏が死去

ロシアのインターネットサービス最大手ヤンデックスの共同創業者の一人であるイリア・セガロビッチCTO(最高技術責任者)が27日、入院先のロンドン市内の病院で、がんのため、死亡した。48歳だった。モスクワ・タイムズ(電子版)が28日に伝えた。

同氏は先週、脳に腫瘍ができていることが分かり、がん治療のため、ロンドン市内の病院に入院していたが、25日に意識不明の重体となり、脳死を宣告された。しかし、もう一人の共同創業者であるアルカディー・ボロズCEO(最高経営責任者)ら関係者は、奇跡的な回復を信じて、3日間にわたって集中治療室で延命措置を取ったものの、腫瘍は脳膜にも転移したため、延命装置を切るという尊厳死の道を選択せざるを得なかったとしている。

セガロビッチ氏は2000年にヤンデックスをボロズ氏とともに創業し、同年にRu-Netホールディングスから35%の出資と引き換えに500万ドル(約4億9000万円)の資金を獲得し事業拡大に転じ、2001年に米ナスダック店頭市場で新規株式公開し、14億ドル(約1370億円)の資金調達に成功している。ヤンデックスの現在の時価総額は約100億ドル(約9800億円)で、ロシアのインターネット市場の61.7%のトップシェアを握っている。セガロビッチ氏とマリア・イェリィセイエバ夫人との間には4人の子供がいる。

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ルーマニア不動産王パパレカス氏、ロンドン証取でIPO―70億円調達

ルーマニアの不動産王ヨアンニス・パパレカス氏が率いる不動産投資ファンド、グローバルワース・リアルエステート・インベストメンツはこのほど、ロンドン証券取引所(LSE)の新興企業向け市場(AIM)で新規株式公開(IPO)を実施し、5360万ユーロ(約70億円)の資金を調達した。オンラインメディアのルーマニア・ビジネス・インサイダーが26日に伝えた。

グローバルワースはルーマニアや南東欧、中東欧の各国の不動産に投資しており、今回のIPOでは1070万株を1株5ユーロ(約650円)で売り出したもの。調達した資金は主にルーマニア国内の不動産に投資される。グローバルワースは現在、首都ブカレスト市内にある8カ所とティミショアラにある1カ所の不動産の取得に関わっている。

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スズキ、インドネシアで小型車の一貫生産工場建設へ―1千億円投資

スズキ<7269.T>はインドネシアのジャカルタ郊外に、総額1000億円を投じて、小型車生産の新工場とエンジン製造工場を建設する。アンタラ通信(電子版)が28日に外国通信社の報道に基づいて伝えた。

また、ジャカルタ・グローブ(電子版)によると、スズキは新工場では軽自動車「ワゴンR」をベースにした小型車を生産する計画で、エンジン排気量は660ccよりも大きめのエンジンを搭載するとしている。新工場は低燃費エンジンから車体まで生産する一貫工場となり、2014年をメドに操業を開始する予定。同社はすでにインドネシアに同社の現地法人であるスズキ・インドモービル・モーターの自動車工場を保有しており、これが同社にとって2番目の自動車工場となる。

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ベトナム中銀の銀行不良債権回収会社、国際機関から資金借り入れも

ベトナム中央銀行が設立した国営の銀行不良債権買い取り専門会社(VAMC)が先週末、正式に発足したが、VAMCのグエン・フー・トゥイ社長は不良債権の買い取りに必要な資金を国内の公的機関や国際機関からも借り入れる可能性があることを明らかにした。地元金融情報サイト、ストックスプラス(電子版)が29日に伝えた。

同社長は、かなり多くの国際機関からVAMCへの資金融資に関心を寄せているとし、すでに、複数の国際機関の代表と会談したことを明らかにしている。また、地元紙ダンベト(Danviet.vn)によると、VAMCは不良債権の買い取り額が予想以上に多い場合には、中銀はVAMCの授権資本金5000億ドン(約25億円)を増資して資金を調達するほか、直接、民間商業銀行に期間3年の長めの借り換え融資を行うことや、国際機関から資金を借り入れる可能性があるとしている。

不良債権比率が3%以上の銀行はVAMCに不良債権の売却が義務付けられており、VAMCは80兆‐100兆ドン(約4000億‐5000億円)の不良債権を買い取る計画。不良債権の回収比率は20-40%になると見られている。

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米アップル、マンスフィールド上級副社長を解任か―退社は否定

米IT大手アップル<AAPL>のボブ・マンスフィールド上級副社長(ハードウエア・エンジニアリング担当)のプロフィールが同社の公式ホームページから削除されていることが分かった。米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が28日に伝えた。

同氏のプロフィールの削除を取り巻く状況については明らかにはされていないが、同社の広報担当者は、マンスフィールド氏は取締役会のメンバーから外されているものの、アップルを退社しておらず、ティム・クックCEO(最高経営責任者)の下で特別なプロジェクトに従事していると、述べている。

アップルでは過去にも今回と同様、役員人事の刷新のたびに、ホームページから幹部のプロフィールを削除している。マンスフィールド氏自身も昨年、アップルを退社する意向を示していたが、クックCEOに慰留されていた。マンスフィールド氏は昨年10月、スコット・フォーストール上級副社長が解任されたあと、同社のモバイルソフトウエア部門の責任者となっている。

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米スタンレー・ブラック&デッカー、4‐6月期決算は大幅増益―予想上回る

米電動工具大手スタンレー・ブラック&デッカー<SWK>が先週末に発表した13年4‐6月期決算は、最終利益が売り上げの拡大で前年比21%増の1億8710万ドル(約180億円)、希薄化後の1株当たり利益も同28%増の1.18ドルとなった。また、継続事業だけからの利益を示す1株当たり利益は同64%増の1.23ドルとなり、アナリスト予想の1.2ドルを上回った。

一方、売上高は前年比12%増の28億7000万ドル(約2800億円)となった。今年の通期見通しについては、1株当たり利益は従来予想の4.46-4.71ドル、フリーキャッシュフローも約10億ドル(約980億円)のまま据え置いた。また、為替変動や買収の影響を除いた実質の売上高(オーガニックグロース)は従来予想の前年比2‐3%増から同4‐5%増に伸びが高まるとしている。

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ブラジル中銀週報:今年のGDP伸び率見通しを2.28%増に据え置き

ブラジル中央銀行が29日に発表した先週の経済週報「フォーカス・ブルティン」によると、同中銀の委託を受けた民間アナリストが予想した2013年実質GDP(国内総生産)伸び率見通しは、前週予想の前年比2.28%増のまま据え置かれ、下方修正は10週連続でようやく止まった。1カ月前の見通し予想は2.4%増だった。一方、2014年のGDP伸び率見通しも前週予想の同2.6%増のまま据え置かれた。1カ月前の見通し予想は3%増だった。

また、2013年末時点の政策金利の見通しは、前週予想の9.25%のまま据え置かれた。据え置きは4週連続。1カ月前の予想は9.25%だった。2014年末時点の政策金利は前週予想の9.38%から9.25%に引き上げられた。引き下げは2週連続。1カ月前の予想は9.25%だった。次回8月27‐28日の金融政策決定会合時の政策金利(翌日物金利誘導目標)の見通しは、前週予想の9%のまま据え置かれた。据え置きは5週連続。

IPCA(拡大消費者物価指数)で見たインフレ見通しについては、2013年は前週予想の前年比5.75%上昇のまま据え置かれた。1カ月前の予想は5.87%上昇だった。また、2014年の見通しは前週予想の5.87%上昇から5.88%上昇に下方修正(悪化方向)された。1カ月前の予想は5.88%上昇だった。

一方、為替レートの見通しについては、2013年末時点のレアルの対ドルレート(中央値)は、前週予想の1ドル=2.24レアルから2.25レアルに引き上げられた。引き上げは2週連続。2014年末時点の見通しは前週予想の2.3レアルのまま据え置かれた。据え置きも2週連続。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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