主な新興国経済ニュース(5月22日)
ロシア経済、景気低迷脱するには3‐5年を要する―クドリン前財務相
ロシアのアレクセイ・クドリン前財務相は20日の下院主催の会合で講演し、ロシア経済の先行きについて、現在の景気低迷の状況から脱し、効率的な経済に転換するためには3-5年の期間を要する、と述べ、当面は景気低迷が続くとの認識を示した。ノーボスチ通信(電子版)などが伝えた。
ロシア経済の見通しについては、エコノミストの多くは悲観的で、GDP(国内総生産)伸び率は今年下期(7‐12月)から来年初めにかけてマイナス成長となり、リセッション(景気失速)に入ると予想している。国家統計局(FSS)が17日に発表した同国の1‐3月期GDP伸び率は前年比1.6%増と、前期(昨年10‐12月)の同2.1%増を下回り伸びが鈍化したが、経済発展省も4月に同国の今年の成長率見通しを従来予想の3.7%増から2.4%増へ、2014年も4.3%増から3.7%増へ、2015年は4.5%増から4.1%増へ、それぞれ下方修正している。
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ポーランド中銀のビニエッキ委員、どんな金融緩和策も景気刺激効果ない
ポーランド中銀の金融政策委員であるヤン・ビニエッキ氏は20日の地元テレビ局TVN・CNBCのインタビューで、「一段の利下げを実施しても投資は拡大せず、景気刺激効果は期待できない」との否定的な見方を示した。地元週刊紙ワルシャワ・ボイス(電子版)が21日に伝えた。
中銀は景気を刺激するため、9日から主要政策金利の7日物レファレンス金利を0.25%ポイント引き下げて過去最低水準の3%にする一方で、最近では、ポーランドを訪問したIMF(国際通貨基金)代表団のジュリー・コザック代表も同国中銀は景気を刺激し経済成長率を高めるため、一段の金融緩和を実施すべきとの見解を明らかにしている。
しかし、ビニエッキ氏の発言は、こうした一段の金融緩和に反対の立場を明らかにしたものだ。同氏はタカ派(インフレ重視の強硬派)として知られる。
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インドネシア大統領、新財務相に投資調整庁のバスリ長官を任命
インドネシアのスシロ・バンバン・ユドヨノ大統領は20日の会見で、今月23日に中央銀行の新総裁に就任する予定のアグス・マルトワルドヨ前財務相の後任として、投資調整庁(BKPM)のハティブ・バスリ長官(47)を正式に任命したことを明らかにした。スシロ・バンバン・ユドヨノ大統領の2期目の政権下では3人目の財務相となる。ジャカルタ・グローブ(電子版)などが伝えた。
新財務相の当面の課題は、財政赤字の抑制となる。ユドヨノ大統領は先月、今年の財政赤字は、燃料補助金を削減しなければ、政府目標の対GDP(国内総生産)比2.4%を上回る3.8%に達し、法律で規制されている3%を超える可能性がある、と警告している。
同大統領は会見で、「我が国の国家予算は健全であり続けなければならない」とした上で、新財務相に対しては、「慎重な財政運営を維持し発展させることを期待している」と述べている。その一方で、同大統領はバスリ新財務相に対し、投資調整庁のトップとしての経験を生かして、投資を拡大し雇用を創出することを期待しているとしている。
他方、バスリ氏は20日、新財務相としての抱負について、「マクロ経済の安定と財政赤字の抑制を優先する」と述べている。また、投資の拡大については、「慎重な財政運営は必要だとしても、投資は経済成長にとって重要だ」とし、財政赤字抑制と投資拡大の両立を目指したい考えを明らかにし
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インドネシアのBIIセンター、来月発行の社債クーポンを7‐8.5%に設定
バンク・インターナショナル・インドネシア(BII)の自動車ローン専門子会社バンク・インターナショナル・インドネシア・ファイナンス・センターは20日、来月に起債予定の1兆5000億ルピア(約150億円)の社債のクーポン(表面利率)を7-8.5%に設定したことを明らかにした。ジャカルタ・グローブ(電子版)が伝えた。
内訳は、3年債のクーポンが7-7.5%、5年債は7.75-8.5%で、6月11‐13日に投資家から募集し、6月19日にインドネシア証券取引所に上場する予定。共同幹事社はRHB・OSKインドネシア証券とキムエン証券、ダナレクサ証券。同社債に対する格付けは、「Baa3」(ムーディーズ)、「BBB-」(S&Pとフィッチ)。同社は社債発行で調達した資金を中・上流階級の消費者向けの新車購入ローン事業の拡大に使うとしている。
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ベトナム銀行セクターの不良債権比率、1‐3月期に低下-政府報告
ベトナム政府は20日に議会に提出した報告書で、国内銀行の1‐3月期の不良債権比率がやや低下したことを明らかにした。地元金融情報サイト、ストックスプラス(電子版)が外国通信社の報道を引用して伝えた。
それによると、3月末時点の不良債権比率は融資全体の4.51%となっている。銀行セクターは昨年9月末時点で不良債権比率は4.93%との推定値を発表しているが、ベトナム中銀の独自調査では同じ時点で8.82%となっており、大きな開きがあった。この点について、エコノミストの多くは銀行セクターの低目の数値は良く見せようという意図の表れであり、実際の半分くらいだ、と指摘している。しかし、それでも、最新の中銀調査では今年2月時点の不良債権額は78億ドル(約8030億円)と、不良債権比率で6%にまで低下している。
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ブラジル政府、自動車の工業製品税30%減税の適用要件を厳格化
ブラジル政府は20日、すでに自動車を現地生産している外国自動車メーカーが2013年から2017年までの5年間に工業製品税(IPI)の最大30%ポイントの減税措置を受けるための資格要件の一つとなっているブラジル国内で実施する製造工程の規定回数を今年から従来よりも1‐2工程増やす方針を明らかにした。ブラジル経済紙バロール・エコノミコ(電子版)が伝えた。
軽商用車の場合は、従来の全12工程のうち6工程が規定回数だったが、今後は8工程となる。トラックは全14工程のうち8工程から9工程となる。また、エンジン生産の場合は全11工程のうち5工程から7工程となる。この新しい規定回数を下回った場合にはIPI減税の適用が得られなくなる。
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ブラジル航空機大手エンブラエル、米スカイウエストから「 E175」40機を確定受注
ブラジルの世界3位の航空機メーカー、エンブラエルは21日、米航空持ち株会社スカイウエストから40機の小型ジェット機「エンブラエル(E)175」の確定受注を獲得した、と発表した。このほか、60機の内示受注(確定受注に振り替えられる受注)と100機のオプション契約などを含めるとスカイウエストからの受注数は最終的に200機に達する可能性があるとしている。
また、同社によると、もし100機のオプション契約が実行された場合の販売額は41億ドル(約4220億円)となり、これは過去最大級の売り上げとなる。初号機は2014年4-6月期に納入される予定。
今年に入ってからの同社の受注数は、1月に米リパブリック航空から「E175」47機の確定受注(オプション契約は47機)を獲得したのを皮切りに、4月には米ユナイテッド航空から30機の確定受注(同40機)、さらにアルゼンチンのアウストラル航空から2機のE190の確定受注(同20機)を獲得している。今回のスカイウエストトの受注分を含めると、エンブラエルは上期(1-6月)だけで合計119機のE175とE190を確定受注したことになる。 (了)