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主な新興国経済ニュース(4月24日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

【ロシア‐4月24日】中銀総裁、5月会合でのリファイナンス金利の引き下げを示唆

ロシア中央銀行のセルゲイ・イグナチェフ総裁は22日の政府経済関係閣僚会議に出席し、5月の次回会合で商業銀行への貸出金利であるリファイナス金利(再割引金利)を引き下げられる見通しを示した。ロシアのプライム通信(電子版)などが伝えた。

中銀は今月2日の理事会で、主要政策金利であるリファイナンス金利は現行の8.25%のまま8回連続で据え置いたものの、資金供給のための90-365日の長期の公開市場操作(オペ)金利はいずれも0.25%ポイント引き下げることを決めている。

しかし、同総裁は2日の会合で理事会のメンバーの間で、中銀が民間の商業銀行に資金を貸し出す際に適用される金利を引き下げる覚書を結んでいるとし、利下げの可能性を示唆した。これはリファイナス金利が5月の次回会合で、現在の8.25%から8%に引き下げられると見られている。リファイナンス金利は昨年9月に0.25%引き上げられ8.25%となったあと、据え置きが続いている。

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【ロシア‐4月24日】大統領、景気刺激策の策定を指示

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は22日の政府経済関係閣僚会議で、景気を刺激し経済成長を高めるために必要なあらゆる措置を講じるよう指示した。モスクワ・タイムズ(電子版)などが伝えた。

同大統領は会合で、「ロシア経済の持続安定的な成長を確保するために必要なあらゆる景気刺激策を講じる必要がある」と述べている。同国の1‐3月期GDP(国内総生産)伸び率は前年比1.1%増と、昨年10‐12月期の約半分の伸びに鈍化しており、最近でも経済発展省は今月初めに、今年の成長率見通しを従来予想の3.6%増から2.4%増に下方修正している。

しかし、プーチン大統領は、「この2.4%増の成長率は世界の潜在成長率を下回るもので、こうした低成長率は長い間経験したことがない」とした上で、経済成長を高めるためのインフラ投資は輸送やエネルギーの分野が優先される必要があるとも指摘している。

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【インドネシア‐4月24日】ダイハツ、新工場の稼働に遅れ―税優遇措置待ちで

軽自動車大手ダイハツ工業<7262.T>のインドネシア合弁会社アストラ・ダイハツ・モーターのポンキー・プラボウォ社長は22日に西ジャワ州カラワンで行われた新工場の竣工式で、同社の低価格エコカー「ダイハツ・アイラ」とトヨタ自動車<7203.T>の「トヨタ・アギア」の生産開始が遅れていることを明らかにした。ジャカルタ・グローブ(電子版)が伝えた。

生産開始の遅れについて、同社長は、インドネシア政府による低価格エコカーの販売促進のための税優遇措置の発表が遅れているためとしている。新工場の年間生産能力は12万台で、アイラについては月間3000台の生産を計画している。

同社によると、当初の計画では1月から月産1000台で生産を開始し、現時点では6000台に生産が拡大されていたという。同社のエコカーの1台当たりの価格が1億ルピア(約100万円)とした場合、これまでに最大で60億ルピア(約6000万円)の経済損失を受けたことになるとしている。

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【ベトナム-4月24日】ペトロベトナムファイナンスとウエスタン銀行の合併、株主総会で了承へ

商業銀行への転換を目指しているベトナム国営石油ガスグループ(ペトロベトナム)傘下のペトロベトナムファイナンス(PVFC)と地場の小規模銀行ウエスタン・バンク(フオンタイ銀行)との合併計画は、今週末に開かれるウエスタン・バンクの株主総会で了承される見通しとなった。ベトナム通信(電子版)が23日に伝えた。

PVFCによると、合併後に新設される銀行の授権資本金は9兆ドン(約420億円)になる。合併が完了するまでの間は両行とも通常通りの業務を続けるとしている。また、両行の株主は新設銀行の株主となり、新設銀行は両行の債務や権利を継承する。この合併によって、PVFCは長年の夢だった普通銀行化を達成する一方で、資金調達難に直面していたウエスタンは破たんを回避することが可能になる。

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【ベトナム-4月24日】首相の経済顧問:2013年成長率5.5%増の政府目標達成は困難

ベトナムのグェン・タン・ズン首相の経済顧問を務めているチュオン・ディン・トゥエン元商業相は、同国の今年の経済成長率の見通しについて、政府目標の5.5%増の達成は困難との認識を明らかにした。地元金融情報サイト、ストックスプラスが22日に伝えた。

ただ、インフレの見通しについては、ここ数カ月のインフレの低下は金融政策による効果というよりも国内の需要が依然として緩慢なためだとし、当面のインフレ懸念はないとしている。ただ、内需の低迷は銀行の不良債権の増大と相まって、民間投資を抑制し、製造業の生産活動に悪影響を与えていると指摘している。

また、同国の1-3月期GDP(国内総生産)伸び率が前年比4.89%増となったものの、同氏はベトナムの輸出とGDPを支える農業が同2.24%増にとどまったことを重く見ており、農業は家畜飼料の価格上昇の一方で、食料品価格が低迷し困難な状況にあるとしている。

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【ブラジル‐4月24日】油ガス大手OGX、株価急騰―ルクオイルとの提携協議進展で

ブラジルの大富豪エイキ・バチスタ氏が率いる石油・ガス生産会社OGXペトロレオ・エ・ガスの株価が22日のサンパウロ証券取引所(ボベスパ)の取引で、前日比18.38%増と急伸した。これは同社が経営再建策として、ロシア石油大手ルクオイルに株式40%を譲渡し、資本提携関係を結ぶ協議が前進したとの地元紙フォリャ・ジ・サンパウロの報道を好感したものだ。

複数のメディアによると、OGXはマレーシア国営石油・ガス大手ペトロナスにもツバラオ・マルテロ油田鉱区の開発権40%を10億ドル(約1000億円)で売却する協議も同時に進めている。ルクオイルはここ数年、新油田鉱区の発見が相次いでいるブラジル沖での石油生産に関心を強めている一方で、OGXはリオデジャネイロ沖合のカンポス湾で石油を生産しており、両者の利害は一致している。

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【ハンガリー‐4月24日】中銀、0.25%利下げ―9回連続

ハンガリー中央銀行(MNB)は23日の金融理事会(MC)で、市場の大方の予想通り、政策金利の2週間物預金金利を現行の5%から0.25%ポイント引き下げ、過去最低となる4.75%にすることを決めた。利下げは24日から実施される。

中銀は前回3月の会合で、2月27日と2010年4‐10月に付けた5.25%を下回り過去最低を更新したばかり。市場では0.5%ポイントの大幅利下げを予想する向きもあった。ハンガリー経済専門サイト、ポートフォリオによると、野村証券は今の利下げキャンペーンは4%になるまで続くと予想している。

中銀は2011年12月に7%へ0.25%ポイント利上げしたあと、しばらく政策金利を据え置いたが、昨年8月29日から0.25%ポイントの利下げキャンペーンを開始し、今回4月会合で9回連続となる0.25%ポイントの利下げを決めた。これで合計2.25%ポイント引き下げとなる。

次回会合は5月28日に開かれる予定。 (了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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