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主な新興国経済ニュース(4月18日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

【ポーランド‐4月18日】中銀、5月の金融政策決定会合で再利下げか

ポーランド中央銀行の金融政策委員会(RPP)のメンバーであるアンナ・ジェリンスカ・グウェンボカ氏は地元テレビ局TVN・CNBCのインタビューで、中銀は早ければ5月にも再利下げを実施する可能性がある、との認識を示した。地元週刊紙ワルシャワ・ボイス(電子版)が17日に伝えた。

同氏は、「金融政策委員会は現在、様子見の姿勢を維持しており、これは1‐2カ月続く可能性がある。しかし、インフレが抑制される見通しがあれば、中銀は再利下げを行う余地がある」と述べている。また、同氏は16日のポーランド通信社(PAP)のインタビューでは、0.25-0.5%ポイントの追加利下げ余地があることを示唆している。

ポーランド中銀は今月10日の金融政策委員会で、主要政策金利の7日物レファレンス金利を3.25%のまま据え置くことを決めたが、7日物レファレンス金利は2011年1月20日から昨年5月10日の会合まで5回連続で各0.25%ポイント引き上げられたが、11月8日の会合で3年5カ月ぶりに利下げに転換。3月の会合での0.5%ポイントの大幅引き下げを含め、5会合連続で引き下げられている。次回の金融政策決定会合は5月7-8日に開かれる予定。

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【ロシア‐4月18日】プーチン大統領、景気刺激策の意向示す―リセッション懸念の中

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は同国の今年の経済成長率見通しが悪化していることから、景気刺激のための追加財政支出を行う意向を明らかにした。ロシアのニュースチャンネルRT(電子版)が16日に伝えた。

これはプーチン大統領が大統領府で開いた政府幹部と経済専門家との会合で明らかにしたもの。会合では、プーチン大統領はドミトリー・メドベージェフ首相とともに、「今の世界的な経済危機は(2008年の危機時に比べると)一段と危機的状況が強まっており、ロシア経済に悪影響が及ぶのは避けられない。ロシア経済の成長は鈍化しており、それが実体経済を縮小させている」とし、ロシア経済の先行きに懸念を示した。

この会合は、先週末、アンドレイ・ベロウソフ経済発展相が今年の経済成長率の見通しについて、政府が景気刺激策を打ち出さなければ、ロシア経済がリセッション(景気失速)になる可能性があるとの認識を示したのを受ける形で開かれた。同省は今年の経済成長率見通しを従来予想の3.6%増から2.4%増へ、また、2014年の見通しも4.3%増から3.7%増へ、2015年も4.5%増から4.1%増へ、それぞれ下方修正している。

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【インドネシア‐4月18日】ノブ・ナショナル・バンク、5月のIPOで新株発行へ

インドネシアのノブ・ナショナル・バンクは5月8日に予定している新規株式公開(IPO)で、新株21億5000万株(増資後の発行済み株式全体の52%)を発行し、8620億ルピア(約90億円)の資金を調達する計画だ。ジャカルタ・グローブ(電子版)が16日に伝えた。

同行はインドネシアの華人財閥リッポー・グループ傘下の銀行で、新株は1株当たり325‐400ルピア(約3.25-4円)になる見通し。これはPER(株価収益率)20.8‐25倍に相当する。引受幹事社は地場のチプタダナ証券。

同行は新たに70店舗を開設し、今年末時点の融資残高を最大で50%拡大したいとしている。リッポー・グループは今年4-6月期中に傘下の銀行やヘルスケア、IT企業のIPOによって、少なくとも3億ドル(約390億円)の資金調達を目指しており、ノブもその一環。

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【インドネシア‐4月18日】鉱山・農園オースティンド、5月のIPOで170億円調達へ

インドネシアのタヒヤ財閥傘下の鉱山・農園大手オースティンド・ヌサンタラ・ジャヤは、事業拡大に必要な資金を調達するため、5月8日にインドネシア証券取引所(IDX)で新規株式公開(IPO)を実施する。同社ではIPOでの株式売り出しによって、最大で1兆6900億ルピア(約170億円)の新規資金を調達したい考えだ。ジャカルタ・グローブ(電子版)が16日に伝えた。

引受幹事社のバハナ証券によると、売り出しは発行済み株式の約24%に相当する9億4000万株で、価格は1株1200-1800ルピア(約12‐18円)。調達額は1兆1300億‐1兆6900億ルピア(約110億‐170億円)になる。

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【ベトナム‐4月18日】計画投資省:4‐6月期GDP伸び率、4.8%増に鈍化見通し

ベトナム計画投資省は、4‐6月期の同国の経済成長率が前年比4.8%増と、前期(1‐3月期)の同4.89%増を下回るとの見通しを明らかにした。地元金融情報サイト、ストックスプラス(電子版)が16日に伝えた。

4.8%増の内訳は、製造・建設業が5.1%増なのに対し、非製造業が5.7%増と高い伸びとなっている。しかし、全体的に4‐6月期の成長率が前期に比べ鈍化するのは、世界経済の回復ペースが緩慢なことや、ベトナム国内の要因として、生産が弱く需要増大も見込めないためだとしている。特に、需要減少が成長率の鈍化の主因だとし、需要の拡大には財・サービスの値下げや雇用創出、給与引き上げなどの対策が必要だとしている。

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【ブラジル‐4月18日】ホンダ、ブラジルで「シビック」と「CR-V」の2万台強をリコールへ―エアバッグ不具合で

ホンダ<7267.T>のブラジル法人、ホンダカーズ・オブ・ブラジルは15日、自社サイトで、2001-2003年モデルの小型車「シビック」と2002年モデルのクロスオーバー車「CR-V」の助手席側のエアバッグに不具合が見つかったとして、週明けの22日からリコール(無償回収・修理)を実施することを明らかにした。

同社によると、自動車が衝突事故を起こした場合、助手席側のエアバッグが必要以上の強さで膨らみ金属破片が飛び散ることによって、運転者や乗客にけがや損傷を与える可能性があるとしている。リコール対象は2万3352台。

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【ブラジル‐4月18日】中銀、政策金利を7.5%に引き上げ―約2年ぶり利上げ転換

ブラジル中央銀行(BCB)は17日の金融政策決定委員会で、最近の急激なインフレリスクの悪化に対処するため、政策金利(セリック)である翌日物金利誘導目標を0.25%ポイント引き上げて7.5%にすることを6対2の賛成多数で決めた。市場の大方の予想通りだった。中銀は2011年7月に政策金利を12.25%から12.5%に引き上げており、利上げはそれ以来、1年9カ月ぶりとなる。

ブラジル地理統計資料院(IBGE)が10日に発表した3月のIPCA(拡大消費者物価指数)が前年比6.59%上昇と、1年4カ月ぶりに中銀の物価目標(2.5-6.5%)の上限と中央値(4.5%上昇)を上回った。このため、市場では中銀は今回の金融政策決定会合で、政策金利を7.25%から0.25%ポイント引き上げて7.5%にするとの観測が広がっていた。また、ギド・マンテガ財務相とアレシャンドレ・トンビニ中銀総裁も先週末、最近のインフレ加速に懸念を示し、政府はインフレを抑制するために躊躇せず必要な措置を講じる考えを示していた。

セリックは昨年8月の12.5%から12%に引き下げられて以降、昨年10月の会合まで10回連続で引き下げられ、下げ幅も計5.25%ポイントに達した。しかし、11月の会合で初めて据え置かれ、利下げサイクルに終止符が打たれ、前回3月会合まで3回連続で据え置かれている。しかし、今回の会合では8人の委員のうち、アレシャンドレ・トンビニ総裁ら6人が利上げを支持したが、アルド・ルイス・メンデスとルイス・ペレイラ・ダ・シルバの2委員は金利据え置きを支持した。

前回3月会合の声明文では、「中銀は次回会合時までマクロ経済のシナリオがどう推移するかを見てから、次の金融政策の戦略を定義する」と述べたことから、アナリストは、中銀は1月会合以降、インフレ見通しが悪化していることから、政策金利の長期据え置き戦略は取らず、早期に利上げに転換する可能性が高まったと見ていた。

今回の声明文で、中銀は利上げを決めた理由について、「高水準のインフレと、とりわけ、広範囲の物価上昇がインフレの強靭性を増すことに寄与した。このため、金融政策で対処することが必要になった」としている。ただ、「インフレの先行きの見通しを取り巻く、国内、主として世界の要因(経済・金融情勢)が不透明であることを考慮し、金融政策は慎重を期す必要がある」とも述べている。

また、17日付の英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)によると、米証券大手ゴールドマン・サックスのエコノミスト、アルベルト・ラモス氏は、「今後、ブラジル中銀は3%ポイントくらいの利上げを目指す金融引き締めサイクルに入ることはなく、むしろ、インフレ率を物価目標の中央値に戻す政策を優先するだろう」とし、「中銀は今後3‐4回の金融政策決定会合を経て、合わせて1-1.5%ポイントの短期的な利上げサイクルに入る」と予想している。

次回の金融政策決定委員会は5月28-29日に開かれる予定。 (了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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