2014年12月2日から、東京の気象観測場所が移転します。これによって天気予報に変化も。皆さんに知っておいて頂きたいことを、いくつか挙げます。

なぜ移転?どこに移転?

2日より「東京」の観測場所となる北の丸公園。
2日より「東京」の観測場所となる北の丸公園。

 これまで「東京」の気象観測は、大手町の気象庁本庁の敷地内で行われていました。今後、気象庁本庁が移転する計画があり、それに伴い、将来的に長く観測が持続できる場所へ移転することになったのです。

 新たな観測場所は、北の丸公園。これまでの大手町の観測場所から900mほど離れた、緑豊かな所です。

 たった900mですが、それでも、これまでのビルや道路に囲まれた環境から、緑に囲まれた環境に変わることで、少なからず影響が出てきます。

特に影響が大きいのは最低気温

2日まで「東京」の観測場所だった大手町の気象庁本庁の敷地。
2日まで「東京」の観測場所だった大手町の気象庁本庁の敷地。

 

 これまでの両地点の比較観測によると、移転によって「東京」の特に最低気温が低くなります。

 年平均で、これまでより1.4℃低下。冬に気温が0℃未満になる日は、これまで年平均で5.8日だったのが、20.5日と3~4倍に増えます。また、夏の熱帯夜の日数は、観測値上は減ることになります。

 昼間は暖まった空気が上昇するなどして動き、空気が周囲とかき混ざるため、最高気温は場所による違いが出にくいのですが、空気が動きづらい朝晩の最低気温は、少し離れた場所でも差が出やすいのです。

積雪も観測値上は増加

 最低気温が低くなることで、観測される積雪量も増えます。

 たとえば、今年2月の大雪時は、「東京」(大手町)で27cmの積雪が二週続けて観測されました。この時、北の丸公園では、31cm、39cmの積雪を観測。39cmとなると、関東平野ではかなりの大雪です。

 たった900m離れただけで、これだけ積雪の差が出るのは、雪予報の難しさを物語っているとも言えます。

気候が変わったと誤解されないか心配

明治8年から観測が始まった初代観測場所。今回で4回目の移転に。(気象庁HPより)
明治8年から観測が始まった初代観測場所。今回で4回目の移転に。(気象庁HPより)

 観測場所が変わることにより、「だから何?」「結局どういう影響があるの?」と思う方も多いかもしれません。なので、覚えておいていただきたいことを二つだけ挙げます。

 まず一つは、気候が寒冷化するわけではないということ。この移転の事情を知らないと、東京で0℃未満の日が増えた!気候が変わった!となりかねません。

 将来、観測データを振り返って、「2014年から東京は寒冷化した!」と言い出す人もいるかもしれませんが、その時はそっと事情を教えてあげてください。

 もう一つは、東京の気温を参考にしている方が対象ですが、今後、天気予報での東京の「けさの気温」や「予想最低気温」などは、これまでよりやや低く出ることが多くなります。

 東京の気温を目安に、お住まいの地域の体感を把握している人は、今後しばらく、体感との比較・調整が必要になります。

「近頃の天気は」と言う前に

 気象観測は、昔と今の気象の違いを、あぶり出す役割をします。それをもとに、近年の気象の問題点が把握されます。

 もちろん、純粋に気象状況が変わっている場合もありますが、今回のように移転したり、移転していなくても周辺の環境が変わったりして、気候が変わったように見えるデータが紛れこんでいることは多々あります。

 

 観測データの“飛び出た部分”が注目され、「近頃の天気は」と言われがちですが、観測の環境が変わっている可能性があるということも、頭のどこかに入れておきたいところです。