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ノート(226) 「指導担当」に昇格 後進の育成が求められる刑務所での作業

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

~続・工場編(19)

受刑301/384日目

取調べの可視化と接見

 運動時間中に他の受刑者と交わした雑談では、司法制度改革の一環として議論が進められていた取調べの録音録画についても話題に上った。

 警察や検察庁で何度も取調べを受け、何通もの供述調書の作成に応じてきた者ばかりなので、実体験を踏まえて率直にどう思うか聞いてみたところ、総じて全面的な可視化に好意的な受刑者が多かった。

 取調べの初日から数日こそカメラを意識し、あいまいな言い回しをしたり、斜に構えたりすることもあるかもしれないが、取調べが進み、録音録画に慣れ、それが当たり前という状況になれば、話しにくさも薄れるだろうとのことだった。

 ただ、共犯者など他人に対して不利となる供述をすることで恨みを買うおそれがある場合や、自分自身のことでもオフレコでお願いしたいようなプライベートに関わる話をする場合など、少なからずためらいが残る場面もあるだろうという。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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