ノート(180) 総連事件の証人出廷に向けた東京高検検事による「脅し」

(写真:アフロ)

~工場編(8)

受刑73/384日目(続)

弁護士との面会

 この日は、弁護士が会いにやってきた。月2回の教育的指導日であり、刑務作業が丸一日免除されるので、これを狙ってやってくる家族らも多く、面会室は順番待ちとなる。

 刑務作業がある通常の平日でも面会できるが、工場と面会室の往復に要する時間や待ち時間、実際の面会時間を合わせると1時間近く工場を離れるから、他の受刑者に迷惑がかかる。

 しかも、誰かが面会にきたというだけで嫉妬や羨望の眼差しが向けられ、引け目を感じるので、家族らとの間で教育的指導日に面会すると決めている受刑者が多いというわけだ。

 重要なのは、たとえ相手が弁護士でも、被疑者や被告人の立場で行われる「接見」と異なり、あくまで「面会」という形になるという点だ。接見室ではなく、一般の面会室が使われる。

 しかも、接見だと回数制限はないが、面会はその受刑者の優遇区分ごとに月2回とか3回までといった制限があり、弁護士との面会の場合もこれにカウントされる。

 さらに深刻なのは、原則として刑務官が立ち会い、弁護士とのやり取りを記録しているという点だ。接見だと絶対にあり得ない事態であり、これでは弁護士との間で腹を割った本音の話がしにくい。

 法令では、刑務所長が下した措置や刑務所における処遇に関して相談するような場合に限り、立ち会えないこととなっているが、ごく限られた例外にすぎない。

この記事は有料です。
元特捜部主任検事の被疑者ノートのバックナンバーをお申し込みください。

バックナンバーの購入

サービス名

元特捜部主任検事の被疑者ノートのバックナンバー2021年5月サンプル記事

前田恒彦

価格

1,100(記事3本)

2021年5月号の有料記事一覧

すべて見る

15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

注意事項
  • 購入後も記事の提供を中止させていただく場合があります。

    注意事項」を必ずお読みいただき同意のうえ、ご購入ください。

  • 購入後に記事が表示されない場合はページを再度読み込んでください。

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

Facebookコメント

表示

※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対してヤフー株式会社は一切の責任を負いません。

Yahoo!ニュース個人編集部ピックアップ