京都アニメーション放火殺人事件で犯人とされる男が逮捕されてから1年。いまだに公判前整理手続は始まらず、初公判の目処も立っていない。なぜこうした事件では裁判の開始に時間がかかるのか――。

迅速な裁判は憲法の要請

 もちろん、死刑の宣告を含め、裁判は人の人生を左右するものである以上、早ければそれでよいというわけではない。公平で適正な手続が不可欠だ。

 それでも、時が経つほど正確な事実認定が困難となる。関係者の記憶が減退し、犯行現場なども様変わりするからだ。

 勾留は長くなり、社会の衝撃や市民の関心も薄れる。高齢や体調不良などで被告人が死亡するような事態になれば、有罪・無罪の確定を経ることなく、公訴棄却によって裁判が打ち切りになってしまう。

 だからこそ、憲法も「被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する」と規定している。