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ノート(177) 夏場にはスポーツ飲料やアイスの支給も 刑務所で人気の本は?

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

~工場編(5)

受刑69/384日目

「何度倒れても立ち上がる」

 携入本や差入れ本を検査していると、何らかの書き込みをしているケースも多々みられた。ルール違反だが、ほとんどが他意のない記載であり、居室での所持を禁止する事態に至ることは少なかった。

 それでも、特に受刑者本人による書き込みからは、彼らの様々な思いを汲み取ることができた。

 例えば、東京拘置所から移送されてきたある受刑者は、映画の台本の中に手書きで「何度倒れても立ち上がる」と太い文字で記していた。台本の内容とは全く無関係の走り書きだった。

 規制薬物の所持などで実刑になった著名な俳優であり、交際相手の女性が同じ薬物の使用で死に至っていたことから、マスコミで大きく取り上げられ、社会からもバッシングを受けていた人物だ。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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