Yahoo!ニュース

ノート(1) 逮捕2日前、大阪地検特捜部長からの電話

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

~序章(1)

逮捕2日前

 夜半、携帯電話に着信履歴。大阪地検の特捜部長からだった。折り返すと、「自宅でゆっくりしている時に悪いな。検事正から話があるそうやから、明日の午後1時に検事正室に来てくれるか。検事正には部長も同席するようにと言われた。用件は不明や」とのこと。

 日曜日の23時になろうかという時間だったし、翌9月20日は敬老の日だった。地検トップの検事正がわざわざ特捜部の部長と検事をセットで休日の庁舎に呼び出すということ自体、穏当でない。

 ちょうど9日前には、僕が主任検事として捜査の取りまとめを行った厚労省虚偽証明書事件で、担当課の元課長に無罪判決が下っていた。捜査当時は「社会・援護局長」という厚労省の要職に就いていた方だ。

 引責のための突然の人事異動の話か、フロッピーディスクのデータ改ざんの件ではないかと直感した。

この記事は有料です。
元特捜部主任検事の被疑者ノートのバックナンバーをお申し込みください。

元特捜部主任検事の被疑者ノートのバックナンバー 2015年12月

税込1,100(記事3本)

※すでに購入済みの方はログインしてください。

購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。
元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

前田恒彦の最近の記事