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アディダス、Black Lives Matter関連組織の3本線商標出願への異議申立を2日で取り下げ

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
出典:USPTO

「アディダス、"ブラック・ライブズ・マター"商標登録で異議撤回」というニュースがありました。

独スポーツ用品大手アディダスは29日、「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切だ)」運動を推進する団体による商標登録への反対を取り下げたと発表した。

ということで、ちょっと意味がわかりにくい文章ですが、原文を見ると(商標登録への)「反対」とはopposition(異議申立)であることがわかりました(見出しでは「異議」になっているのになぜここだけ「反対」にしたのかは不明です(機械翻訳でしょうか?))。

高価値のブランドを持つ企業としては当然の行動ですが、アディダスは、3本線から成る商標に関してはやたら厳しいことで知られており、2本線や4本線の商標に関しても積極的に権利行使するほどです(参考過去記事1参考過去記事2

問題となった商標は米国出願番号90304243(タイトル画像参照)です。出願人は、 Black Lives Matter Global Network Foundation, Inc.です。Wikipediaによれば、Black Lives Matter Global Network Foundation(BLMGNF)は「Black Lives Matter 運動における継続的な活動活動に専念する、極左の黒人ナショナリスト、反資本主義者の政治ロビー活動組織」ということなのでその営利部門組織ということかと思います。指定商品には、靴は含まれていませんが、衣類(Tシャツ、フーディー、タンクトップ等)は含まれていますので、「3本線警察」のアディダスとしては許容しがたいでしょう。

しかし、今回は、3月27日に、アディダスの登録商標との誤認混同を理由に異議申立を請求した後、わずか2日後に異議申立を取り下げました。仮に異議申立が認容されて商標登録を阻止できてもそれを理由に黒人消費者層を敵に回しては意味がないという経営上の判断でしょう。今後、たとえば、アディダスの商品と紛らわしい形で3本線を使わない等々の落とし所を目指して水面下で交渉が続くのではないかと思います。

弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

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