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ヘンリー王子夫妻の商標登録出願に異議申立期間延長請求が乱発

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
(写真:ロイター/アフロ)

ヘンリー王子夫妻が”SUSSEX ROYAL”等王室関連の商標登録出願を行なっていたこと、そして、それに対して第三者が異議申立期間の延長を請求した件については書きました(「ヘンリー王子夫妻の商標登録出願に関する詳細情報」、「ヘンリー王子夫妻の商標登録出願に第三者が異議申立の可能性」)。今確認したら、”SUSSEX ROYAL”(UK3408516)には異議申立期間の延長請求('Notice of Threatened Opposition')が計13件も出されていました。

異議申立期間の延長請求は、この商標登録に異議申立を行ないたいと考えている人が準備的に行なうもので、これにより、異議申立期間の最終日が1カ月延長されて3月20日となります。しかし、何回請求してもこの期日がさらに延びることはないので、1回以上やっても意味がありません。(敢えてリンクは載せませんが)異議申立期間の延長請求自体はウェブから無料で誰でもできてしまうので、いたずら半分に行なった人が多かったものと思われます。なお、正式な異議申立(こちらはちゃんとした書類と所定の料金が必要です)は行なわれていません。今後、この商標登録はけしからんと考える人が身銭を切って請求する可能性もあるので要注目です。

ついでに、SUSSEX ROYALの勝手出願の状況についても調べてみました。TMVIEWで調べると、アルゼンチンで5件、スイスで1件、スペインで1件、米国で2件、欧州連合で1件ヒットしました。中国はTMVIEWでは調べられないので別途調べると2件ヒットしました(意外と少ない!)いずれも、今年の1月の出願です。ヘンリー王子夫妻の商標登録出願の話が出たのが、昨年の暮れなので、明らかに便乗出願と思われます。これらは、ほぼ確実に各国の公序良俗違反的な規定により拒絶になるでしょう。

弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

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