ヘンリー王子夫妻の商標登録出願に関する詳細情報

出典:英国知的財産庁ウェブサイト

英国ヘンリー王子、メーガン妃夫妻が、英国王室を離脱(ただし、特権はキープ)する意向を表明し賛否を呼んでいます。加えて、自らの爵位を商標登録したとも報道されています。本記事ではこの商標登録出願について解説します。

上記報道および他の報道では、英国メディアを引く形で「商標登録した」と書いてありますが、正確に言えばまだ登録にはなっていません。「審査が完了し、登録前公告となった」状態です。日本とは異なり、英国では登録前にいったん公告が行なわれ、第三者からの異議申立を受け付ける状態になります。2カ月間に異議申立がなければ登録になり、商標権が発生します。

ここで話題になっている商標は“SUSSEX ROYAL”(UK00003408516)と“SUSSEX ROYAL THE FOUNDATION OF THE DUKE AND DUCHESS OF SUSSEX”(UK00003408521)です。出願人は、ヘンリー王子夫妻が管理する財団(Sussex Royal The Foundation Of The Duke And Duchess Of Sussex)です。出願日は、2019年6月21日、指定商品は16類(印刷物)、25類(衣類)、35類(広告等)、36類(慈善事業等)、41類(教育)、45類(カウンセリング等)と広範です。ビジネスする気まんまんのように思えます(王室に関係ない人がこの商標を登録・使用できるとは思えませんので防衛的に出願したという理由は考えにくいです)。

上記の公告日は、2019年12月19日なので、異議申立がないと今年の2月19日に登録になります。現時点で、異議申立の存在は確認できていません。仮に異議申立されるとしたら何が理由になるでしょうか?英国商標法には、以下の規定があります。

words, letters or devices likely to lead persons to think that the applicant either has or recently has had Royal patronage or authorisation,

..

shall not be registered unless it appears to the registrar that consent has been given by or on behalf of Her Majesty or, as the case may be, the relevant member of the Royal family.

大雑把に言うと、英国王室と関係があると誤認される商標(英国王室の承諾があるものを除く)は登録されないというものです。ヘンリー王子夫妻の承諾を得ているのは当然として、彼らが英国王室を離脱する意図を表明していることはどう解釈されるのでしょうか?仮にエリザベス女王がNoと言えばどうなってしまうのでしょうか?このあたりは読みにくいところがあります。

ついでに、英国以外での出願状況を調べてみました。日本および米国での出願は確認できていません(追記:ご指摘を受けましたが、Global Brand Databaseで調べると、英国の出願を基礎としたマドリッドプロトコルにより、オーストラリア、カナダ、欧州連合、米国にも出願されていることがわかりました(まだ国際登録はされていません))。また、EU(欧州連合商標)では、今年の1月9日に、ドイツの個人がかばん類、アルコール飲料類等を指定して“SUSSEX ROYAL“を出願しています。あきらかに便乗勝手出願と思われます。おそらくは公序良俗違反的な理由により拒絶になるでしょう。

日本IBM、ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事、『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 IT系コンサルティングに加えてスタートアップ企業や個人の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています。お仕事のお問い合わせは http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から。【お知らせ】Skype/Chatworkによる特許・商標の無料相談実施中です。詳しくは上記お問い合わせ先から。

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