無印良品本家、中国で「無印良品」の商標権侵害により損害賠償と謝罪を命じられる

(写真:ロイター/アフロ)

「“無印良品“商標訴訟で本家・良品計画が中国企業に敗訴確定。賠償金1000万円支払い命じる判決」というニュースがありました。

無印良品を展開する良品計画(東京)が、中国で現地企業と「無印良品」の商標権を巡って争っている問題で、二審の北京市高級人民法院(日本の高裁に相当)は、良品計画の訴えを退け、中国で無印良品の商標権を保有する「北京棉田紡績品有限公司」に賠償金など約1000万円を支払うよう命じる判決を下した。

ということです。この事件については、過去にちょっとだけ書きました(「中国企業が“無印良品”商標にしたことをやり返したらどうなるか」)。中国企業が、日本の周知商標を(まだ中国では有名でないことをよいことに)中国で抜け駆け出願し、登録、本家に権利行使というよくあるパターンです。この過去記事を書いたタイミング(2018年12月)では、一審敗訴で良品計画が控訴するという状況だったのですが、今回、二審も良品計画の敗訴で確定したということになります。

二審判決では、「中国の無印良品店舗やアリババECサイトTmall(天猫)の公式ショップで、権利侵害に是正するコメント(ママ)を発表」することも命じられています。損害賠償はまだしも、本家が謝罪コメント掲載というのはちょっと屈辱的です。

なお、今回問題になっているのは、24類(織物類)に関する登録なので、良品計画側はそれ以外の商品では「無印良品」商標を継続使用できます。また、タオル等については、既に「無印良品」の商標を使用せずMUJIのみを使用しているので、販売中止や在庫廃棄などは不要です。約1000万円の損害賠償は過去の侵害に対するものです。24類以外の商品については、良品計画側が商標権を確保していますので問題ありません。

なお、中国企業の商標登録を将来的に無効にできる可能性はあります。日本の場合ですと、無効審判が進行中の場合には訴訟を中断してくれることが多いですがそうはならなかったようです。ところで、昨年に、良品計画が中国で商品に「原産国:台湾」と表記したことで、中国政府に罰金を課されたという事件がありました。完全に憶測になってしまいますが、このあたりが中国裁判官の心証に影響していると言えなくもないのではと思います。

こういうことを書くと「ポジショントーク」と言われそうですが、やはり良品計画は早め・広めに中国でも出願しておくべきだったというほかはありません。

日本IBM、ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事、『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 IT系コンサルティングに加えてスタートアップ企業や個人の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています。お仕事のお問い合わせは http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から。【お知らせ】Skype/Chatworkによる特許・商標の無料相談実施中です。詳しくは上記お問い合わせ先から。

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