「令和」が中国で大量商標登録出願されている件(想定内)

出典:中国商標局ウェブサイト

元号「令和」が決定する前に、既に中国で酒類を指定商品として登録されていた件(これは偶然の一致としか考えられません)については既に書きました。そして、容易に予測されたように「令和」が発表された後に中国で大量の出願が行なわれ始めたようです(参考記事)。

今、検索したところ、中国において「令和」(または、「令和」から始まる)商標は1,289件出願されています(なお、中国は日本と異なり一出願多区分制があまり使われていないので出願件数は多めにカウントされます)。ウェブ掲載のタイムラグがありますので、実際の出願件数はもっと多いでしょう。不正目的の出願とまでは言えませんが、便乗出願であることは否めません。

これらの商標の大半は「却下」されるとの報道もありますが疑問です(なお、正確には、却下ではなく拒絶という言うべきです、「却下」とは料金未納等により手続そのものが受付けられないことを指し、審査の結果登録されなかった場合は「拒絶(査定)」と言います)。元号そのものを拒絶査定とするのは日本の運用であって、中国は関係ありません。不正の目的で出願された商標は登録しないとの条文はありますが「令和」がこれに該当するとは思えません。実際、今まで「平成」は中国で登録されてきました。もちろん、中国商標局が日本に配慮して運用を変更する可能性がないわけではないですが。

これらの「令和」出願が中国で登録されてしまうとどうなるでしょうか?基本的な考慮点は過去記事と同じです。すなわち、日本国内のビジネスには影響しないが「令和」に類似した商標を付した商品を中国に輸出すると差し止めや損害賠償が請求されるリスクがあるということです。

なお、過去記事で一点書き忘れていましたが、たとえば、「令和のささやき」のように、令和+かな(カナ)文字という形式の商標は、中国において「令和」と類似とされる可能性があります。これは、「のささやき」の部分は中国の人にとっては、単なる(シンプルな)図形としてしか認識されないため識別力が弱く、類似判断において重要視されない可能性があるからです。結果的に日本の感覚では非類似と思える商標が中国では類似とされてしまうことがあるので注意が必要です。

日本IBM、ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事、『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 IT系コンサルティングに加えてスタートアップ企業や個人の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています。お仕事のお問い合わせは http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から。【お知らせ】Skype/Chatworkによる特許・商標の無料相談実施中です。詳しくは上記お問い合わせ先から。

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