任天堂がマリオコインの音商標権取得を断念

(写真:ロイター/アフロ)

2015年4月1日より始まった音商標の登録制度ですが、今、特許情報プラットフォームで確認したところ既に237件ほどが登録されています。

音商標にも大きく二種類あります。第一は、歌詞(あるいは言葉)として既に識別力がある言葉(「おーいお茶」、「ブルーレットおくだけ」等々)を含む場合です。この場合は、その言葉自体に識別力があるのでほぼ問題なく登録されます。

なお、この場合に、わざわざ音商標を登録するまでもなく、文字商標だけで十分ではないかと思われる方もいるかもしれませんが、文字として書き起こすと類似しないが、音にすると紛らわしいというパターンも理論上はあり得るので、文字商標とは別に音商標を登録する意義はあります。

音商標の第二のタイプは、メロディないし効果音のみのものです。こちらは、原則的には使用による識別力があることを出願人が立証できないと登録されません。大幸薬品の正露丸CMで使用されているラッパのメロディが相当の苦労の末に登録されたことは既に書きました

長期にわたってCMで使用され、多くの人におなじみの、このラッパのメロディですら苦労したということは、メロディないし効果音のみ音商標の登録は相当ハードルが高いということがわかります。

やっと本題に入りますが、先の記事でも引き合いに出した任天堂によるマリオがコインを取る時の「チャリーン」という効果音の商標登録出願(商願2016-014590)が、今年(2018年)の5月15日に出願人の意思により取り下げになっていました(前記リンクも特許情報プラットフォームのデータ抹消によりいずれ消えると思います)。

審査記録を取り寄せて見てみましたが、審査官は「2秒程度の短い音であることからすると、単にゲーム内の効果音として認識されるというべき」と述べ、使用による識別力についても「(CMでの使用は)単に映像の開始又は終了を需要者に注意喚起したりする音、または単なる映像の効果音として認識されやすいというべきです」と厳しい判断です。

ところで、今までに歌詞なし言葉なしの効果音のみで登録された音商標としては以下のものがあります(商標速報botのおかげでSoundcloudで実際の音も聞けます)。

ユニバーサルエンターテインメント(映画ではなくパチンコメーカーです)

インテル

楽天Edy

これらの登録例を見るとマリオのコイン音も少なくともゲーム機とゲームソフトについては登録できても全然おかしくなかったと個人的には思います。