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アップルのanimoji商標に関する裁判はスピード和解で終結

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
米国裁判書類

10月23日に「iPhone Xの新機能Animojiの商標権で日本企業がアップルを提訴」という記事を書きました。10月18日に、東京のソフトウェア開発企業EMONSTER株式会社が米国の商標登録に基づき、iPhone Xの新機能の名称であるanimojiに対する商標権侵害訴訟をカリフォルニア連邦地裁に提起したという話です。

この訴訟はどうなったのかと思いちょっと調べてみたら、何と訴訟提起から7日後の10月25日に、当事者の合意により訴訟取下げになっていました(タイトル画像参照)。訴訟の対抗措置としてアップルからEMONSTERの登録商標の取消請求が出されていましたが、これも取下げになっています。

おそらくはアップルからEMONSTER社に対する金銭のやり取りを伴う和解に至ったものと思われますが、どういう条件なのかはわかりません。両社からも特にリリースは出ていないようです(和解の条件に守秘義務が入っている者と推察されます)。

日本ですと事前に協議を十分にしてどうしても埒が明かないと最後の手段として訴訟というパターンが多いですが、米国の場合はまず訴訟提起してから交渉というパターンも普通のようです(それにしても速いですが)。

この訴訟提起のニュースを孫引きで扱った25日以降のニュース記事で、あたかも両社が法廷で争っているかのような書き方をしているものがいくつか見られましたが、実はその時点ではもう裁判は終わっていたわけです。

弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

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