iPhone Xの新機能Animojiの商標権で日本企業がアップルを提訴

(写真:ロイター/アフロ)

「”アニ文字”は商標侵害=東京のアプリ開発会社、アップルを提訴」というニュースがありました。

米アップルが11月3日に発売する新型iPhone(アイフォーン)の新機能「Animoji(アニ文字)」の名称をめぐり、東京のアプリ開発企業が商標を侵害されたとしてアップルを米サンフランシスコの連邦地裁に提訴したことが20日分かった。

ということだそうです。原告は東京の企業EMONSTER株式会社ですが、USPTO(米国特許商標庁)の登録商標(第4712559号)に基づいて米国で商標の使用差止めと損害賠償を求めて訴えたものです。訴状をこちらにアップしておきました。

訴状では、原告は「故意の商標権侵害の典型例である」と主張しています。原告は2014年7月にanimojiというアイコン製作用のアプリを開発してApp Storeに登録していた(今でも登録されています)のでアップルが知らないはずはないということです。また、原告によるANIMOJIの商標は2015年3月に登録されています。アップルのAnimojiは人間の表情をアイコンに反映させるという画期的機能ですが、今回は商標権の争いなのでソフトの機能の相違は関係ありません。

アップルはコメントを拒否しているそうですが、当然ながらアクションを取っています。現時点で明らかなのは、原告EMONSTERの商標登録を取り消そうとしていることです(取消請求をこちらにアップしました)。取消請求の理由はちょっとびっくりで、出願人であったEMONSTER INC(EMONSTER株式会社の米国法人)が出願時点(2014年8月20日)で解散済であって法人として存在していなかったというものです。アップルは、商標登録は無効(当然ながら、その後のEMONSTER INCからEMONSTER株式会社への商標権移転も無効)であるだけではなく、出願自体がUSPTOへの詐欺行為であると主張しています。

これは、原告側にとっては痛恨のミスで、最初からEMONSTER株式会社名義で出願していれば何の問題もなかったはずです。商標登録出願はちゃんと米国の弁護士によって行なわれていますが、さすがに出願人の会社が存続しているかどうかまではチェックしなかったのでしょう。

とは言え、仮にUSPTOの登録が取消になっても、米国の商標制度では継続使用さえしていれば登録がなくても商標権(コモンロー上の商標権)は生じます。そして、訴状では当然ながらこの点も主張されていますので、アップルは安泰とはいかないでしょう。

今までわかっている情報から判断する限り、App Storeに登録されているアプリと同じ名前を使ってしまうこと自体がアップルの手落ちという感があります。