葬儀で好きなCDをかけたい場合のJASRACへの対応について

出典:いらすとや

「父の葬儀、流せなかった思い出の曲 著作権の関係は?」という記事を読みました。「葬儀で故人が好きだった曲を流そうとしたら葬儀会社に止められた。」というツイートが元になった話です。

この同じツイートが元になった2月のニュースについては書きました(「葬儀場からも著作権使用料を徴収するJASRACについて」)が、3カ月も経ってからまたニュースとして取り上げられており、新情報もあったことから改めて書くことにします。

今回わかった新情報として「北海道の民謡"江差追分"(どう考えても著作権の保護期間は過ぎています)を流したいと葬儀会社に申し出たが、断られた」ということで、これはひどいですね。葬儀会社も機械的に「客が持ち込んだCDをかけるとJASRACに怒られるのでダメ」と対応しているのでしょう。遺族の方もミュージシャンだそうなので「もうパブリックドメインだから関係ないはずだ」と主張して欲しかった気もしますが、一般的なビジネスの場であればまだしも葬儀の前に葬儀会社とはあまり揉めたくないのが普通と思われますのでいたしかたないでしょう。

なお、念のため書いておくと著作隣接権であるレコード会社の権利(原盤権)には演奏権はありませんので、CDをそのままかける分には著作権のみ気にしていれば大丈夫です。

では、話を一般化して、かけたい曲がパブリックドメインではなくJASRAC管理下である場合について検討してみます。この場合、葬儀場または葬儀会社が既にJASRACと包括契約をしていれば問題ありません(上記記事によるとしている葬儀会社としていない葬儀会社があるようです)。以下、JASRACとの包括契約はないという前提で話を進めます。

まず、遺族側がCD再生機器を用意する場合はどうでしょうか?そもそも、非営利(かつ無報酬・入場無料)である葬儀でのCD再生にJASRACの許諾が必要なのはいわゆる「カラオケ法理」により、演奏(CD再生)の主体が葬儀会社とみなされるからです。「カラオケ法理」適用の基準のひとつとして再生装置の管理性の問題がありますので、遺族側がCD再生機器を用意することで演奏の主体は遺族であり、非営利(かつ無報酬・入場無料)の行為であることから著作権が制限される(著作権法38条)のでJASRACの許諾は不要という主張は可能でしょう。ただ、「カラオケ法理」は拡大解釈される傾向があることもあり、JASARACと揉める可能性は十分にあります。

では、普通にJASRACと契約して所定の料金を払うというのはどうでしょうか?JASRACは音楽の利用を禁止する組織ではありません。金さえ払えば自由に使えるようにしてくれる組織です。BGMに関するJASRACの料金規定を見ると、包括料金(年額または月額)以外に1曲ごとの契約も可能です。

500平米以内の施設であれば、1曲(5分以内)の使用料は2円です!2円のために著作権がどーしたこーしたとかCDはかけられないとか言っているわけです。どう見ても2円回収の事務手続には2円以上かかるでしょう。JASRACも特例として葬儀でCDを1枚かけるような場合の使用料を免除すればよいのにと思います(実際、「露店等での短時間で軽微な利用」等については営利目的であってもJASRACの裁量で使用料を免除しています)。

もちろん、金の問題ではなく手続が面倒(実際にはFAX等で申し込んで後から来る請求書にしたがって支払うだけですが)という話はあるでしょう(葬儀前であればちょっとでも面倒な作業を避けたいのはわかります)。なので、葬儀会社もオプションとしてJASRACの申請代行をオプション料金取ってやればよいのではないかと思います。そもそも、多くの葬儀会社が道案内看板1個5,000円いただきますというような「ビジネスモデル」なので、CD持ち込み料金5,000円としても決して法外ではないと思いますし、遺族の方にも喜ばれるのではないでしょうか?