東芝のフラッシュメモリーが米貿易委員会に調査されている理由

(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

「米貿易委員会が東芝フラッシュメモリー調査、特許侵害の可能性で」というニュースがありました。

この見出しはちょっとミスリーディング(記事を全部読めばわかるのですが)で、別に米国政府が自発的に調査に乗り出したわけではなく、台湾の半導体メーカー、旺宏電子(マクロニクス)による、特許侵害に基づく輸入差止めの訴えに応じたものです。

要は一種の特許侵害訴訟のようなものです。通常の訴訟は裁判所に訴えるわけですが、それですと結論が出るまで時間がかかるので、まず貿易委員会(ITC)つまり税関を司る行政機関に禁輸措置を申立てることはたまにあります。主に米国外で生産されている製品であれば、禁輸措置が命じられれば米国内での販売差止めと同等の効果が得られます。

アップル対サムスンの特許訴訟でも、両社ともが相手の製品の輸入差止めをITCに求めました。なお、日本でも特許侵害訴訟の代わりに、または、訴訟と併せて税関に輸入差止めを申立てることが可能です。

ITCのサイトに今回の申立ての情報が出ていたのでリンクを張っておきます。申立て日は3月7日で、特許番号等の詳細情報はまだ公開されていないようです。【追加情報】同日に南カリフォルニア地裁にも訴訟提起されてました(裁判情報提供サービスRPX Search(会員制)へのリンク)。こちらで根拠になった特許の番号は8,035,417、6,788,602、6,552,360です(おそらくITCへの申立ても同じ特許が根拠かと思われます)。

フラッシュメモリー事業を少しでも高額で売却したい東芝にとっては最悪なタイミングですが、まさに最悪であることこそがマクロニクス社にとっては思う壺で、東芝としては仮に徹底的に争えば勝てるとは思っても、尻に火が付いている以上、マクロニクス社のライセンス条件を呑んで早急に和解せざるを得なくなる可能性もあります。一般的に、特許侵害訴訟が、IPO直前や大型新製品出荷開始直前といった一番もめごとを起こしたくないタイミングを狙って行なわれることがあります。エグいと言えばエグいですが、これもまたビジネスの世界なのでしょうがないとも言えるでしょう。