日本でもSTAP特許出願に拒絶理由通知

出典: http://www.denko-do.com/

米国におけるSTAP特許出願に対して非最終拒絶が出ており、それに対してバカンティ教授が宣誓供述書を提出したことについては既に書きました。これに対する米国特許庁からの応答はまだありません。

そして、つい先日の3月7日には、日本の特許庁から最初の拒絶理由(米国で言うところの非最終拒絶)が通知されていました。

それに先立つ1月16日には、第三者からの情報提供(刊行物等提出書)が特許庁に提出されているのですが、その中身はウェブからではわかりません。中身を見るためには600円を支払って閲覧請求を行なう必要があります。誰が出したかはちょっと興味がありますが、情報提供は匿名でもできるため、600円払って匿名だとちょっと癪なのでノーチェックです。この情報提供が拒絶理由に関係しているかどうかはわかりません(情報提供するまでもない話と思いますが)。

拒絶理由通知の方はウェブで中身を見られます。特許情報プラットフォームから経過情報→番号照会のメニューを選び、出願番号2015-509109を入れて、結果一覧から選択後、右上の「審査書類情報」をクリックし、3月7日付けの拒絶理由通知書をクリックすると表示されます。

拒絶の理由は、新規性、進歩性、実施可能要件、サポート要件、明確性、産業上の利用可能性と「全部入り」です。基本的には、米国特許庁の拒絶と同様ですが、特許庁の審査官がそれを参考にしたのか、専門知識がある審査官がやればだいたい同じような結果になるのかはわかりません。

一番興味深いのはやはり実施可能要件、つまり、STAP細胞の実現性の話です。関連部分を引用します。

<実施可能要件1-1:本願の発明の詳細な説明との関係>

一般に、特許出願の明細書の発明の詳細な説明においては、示された実施例の内容が科学技術論文に掲載されることや、同説明の内容に基づいて請求項に係る発明が万人によって高確率で再現されることまでが要されるものではない。しかしながら、特許制度は、新しい技術を開発し、それを公開した者に対し、一定期間、一定条件下に特許権という独占権を付与することにより発明の保護を図り、他方、第三者に対しては、この公開により発明の技術内容を知らせて、その発明を利用する機会を与えるものである。明細書は技術文献としての役割を果たす必要があり、発明の詳細な説明の記載が明確になされていないときは、発明の公開の意義も失われ、ひいては、上記のような特許制度の目的も失われてくることになる。

これを本願の発明の詳細な説明についてみると、その実施例において示された内容は上記両Nature論文と同内容のものと認められるところ、上述の論文取り下げ及び再現実験の結果という事情に鑑みれば、現時点においては、当該論文において確認された現象は、その信憑性については疑義があり、また、再現不可能なものというほかない。つまりこのことは、両Nature論文と同内容の実施例を具体的根拠とする、本願の発明の詳細な説明の内容についても妥当するものであり、実施例における記述自体にかかわらず、外来遺伝子の導入等なしに細胞を脱分化させ多能性細胞を生成し得るという発明の技術内容が、発明の詳細な説明において明確かつ十分に記載されているとはいえないことを意味する。

したがって、外来遺伝子の導入等なしに細胞を脱分化させ多能性細胞を生成することを包含する上記請求項に係る発明について、本願の発明の詳細な説明には、本項冒頭で述べた技術常識にかかわらず細胞をストレスに供するだけで脱分化させ多能性細胞を生成することを実施可能である、といえる程度に明確かつ十分には記載されていない。(以下略)

要するに、書類上はつじつまが合っていても、審査官が発明の実施可能性について十分な疑義を持てば拒絶理由になるということのようです。

出願人は3カ月以内(延長も含めると6カ月以内)に応答が必要です。なお、米国の出願はVCell Therapeutics Inc.という会社に権利が譲渡されているのですが、日本の出願人はブリガム・アンド・ウィメンズ病院のままです(理研が権利放棄しているのは同様です)。