ツタヤはT-PHONE, M-PHONE, K-PHONE商標で何をしようとしていたのか

(写真:中西祐介/アフロ)

商標登録出願をすると2~3週間後に自動的(強制的)にその内容が公開されます。特許庁で閲覧可能になるだけでなく、J-PlatPat等のWebサイトでも公開されます。また、twitter上には商標公開公報の内容をフィードしてくれる非公式ボット(商標速報bot)もあります。

企業の商標出願公開情報を眺めていると、出願されたのに結局使用されなかった商標も結構あったりします。何に使おうとしていたのか、なぜ、実際の使用に至らなかったのかを推理してみるのも興味深いでしょう。

これに関連して、CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)、要するにTSUTAYAが、携帯電話機等を指定商品としてT-PHONE、M-PHONE、K-PHONEなる商標を出願していたことを知りました。一瞬、A-PHONEからZ-PHONEまで全部出願していたのかと思いましたが、さすがに某氏のようなことはなく出願されたのは上記の3つのみです。

T-PHONEは2015年1月16日に出願され、2015年6月26日に登録されています。一方、M-PHONEとK-PHONEは、いずれも2014年12月26日に出願され、2015年4月に登録査定が出ていますが、まだ登録料が納付された形跡がありません(権利取得を放棄した可能性が高いです)。いずれにせよ少なくとも過去のある時点においてTSUTAYAにはT-PHONE、 M-PHONE、K-PHONEという商標を使用しようとしていた意図があったことがわかります。

周知のとおり、TSUTAYAは既にフリービットとの協業によりMVNOベースのスマホ販売ビジネスを行なっていますが、そこではTONEというブランドが使われています(TONEの商標はフリービット名義で出願されています)。現時点ではT-PHONE、M-PHONE、K-PHONEというブランドが使われている形跡ははないので、おそらくボツになったのではないかと思われます。想像ですが、x-PHONEというネーミング方式自体がちょっと手垢が付いていると判断されたのではないかと思います。

ここで、これらの商標をどういう意味で使おうとしていたかを考えるとちょっと興味深いものがあります。T-PHONEのTはTSUTAYAのTということで確実でしょうが、MとKは何のつもりだったのでしょうか?MはMovieあるいはMusicなのかもしれません。メディア視聴に特化したスマホを考えていたのかもしれません。Kはいったい何なんでしょうか?まさか、K-Popということはないでしょう。「ケータイ」のKであって、従来型携帯電話的なスマホ、いわゆる「ガラスマ」のブランド名として用意していたのかもしれません。

ここでは、単なる個人的興味として書いてみましたが、シリアスな市場調査目的としても競合の商標登録出願状況はウォッチすべき公開情報のひとつと言えるでしょう。

日本IBM、ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事、『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 IT系コンサルティングに加えてスタートアップ企業や個人の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています。お仕事のお問い合わせは http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から。【お知らせ】Skype/Chatworkによる特許・商標の無料相談実施中です。詳しくは上記お問い合わせ先から。

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