フジテレビがパロディネタにしたTEDの商標登録について

(写真:アフロ)

「フジテレビが27時間テレビで開催したTED、公式ライセンスを取得していなかったとの指摘が相次ぐ」というtogetterのエントリーを読みました。

一応説明しておくと、TEDとは世界中の識者やユニークな体験を持つ人々の講演会を提供する非営利団体です。コンテンツのおもしろさに加えてプレゼンスタイルの良い勉強になるので私もよく見ています。

これのパロディネタをフジテレビの27時間テレビでやったそうなのですが(私は未見)、これがTEDのライセンスを受けていないのではないか疑惑が持ち上がっているということのようです。現段階では事実関係がはっきりしない(ちゃんと裏では話を通してやっているのかもしれません)のでこの件にはコメントしませんが、TEDはイベントのライセンスには厳しいというのは確かそうなので、ちょっと調べてみました。

TEDのサイトのBranding Guidelineを見ると確かに厳しそうです。コンテンツ自身はCCで提供しているのですが、ブランドはしっかりと守ろうという戦略が見えます。これ自体は真っ当な戦略です。

では、当然ながら、TED運営元(TED Conference LLC)は、日本でTEDの商標を登録しているのだろうなと思って調べてみると何と登録がありません。

世界的にはどうかということでWIPOのデータベースROMARINをサーチすると、2011年に米国の登録をベースに国際登録がされており、オーストラリア、中国、韓国が指定国とされていました(韓国では先願があったので拒絶、また米国本国基礎登録の消滅により国際登録一部取消)。いずれにせよ日本は蚊帳の外だったようです。

もちろん、商慣習としてというか業界の礼儀として、商標が登録されていないからといって他人の業務に関するマークや名称を勝手に使ってよいとは限りません。また、商標が登録されてなくてもライセンスをお願いすることは可能です(契約するかしないかは当事者の合意次第です)。しかし、商標が登録されていないと万一勝手に使われた場合の対抗措置が限定的になるのは確かです。なので、ライセンス商売をやる以上は関連する商標は登録しておくのは当然と言えます。

では、TEDがこれから日本で商標登録することはできるのでしょうか?調べると2013年に東和薬品がTEDの文字から成る商標を「セミナーの企画・運営又は開催」が含まれる範囲で登録してました。ということで、本家TEDがもたもたしている間に日本でTED商標をセミナー運営関連で登録することはきわめて困難になってしまいました(東和薬品から商標権のライセンス、あるいは、一部譲渡を受けるという手もないわけではないですが)。さらに言えば、東和薬品がTEDの名称を使ってセミナービジネスをやっても、本家TEDがそれを差し止めることは(不正競争に該当するような態様でない限り)困難です。

2011年の段階で(あるいはそのちょっと後に)日本に出願しておこうとは思わなかったのでしょうか。TEDは非営利団体とは言え、商標登録出願の費用はせいぜい10万円くらいなんですが。