鳥貴族vs鳥二郎:商標登録異議申立と裁判の関係について

ちょっと前の記事で鳥貴族による鳥二郎の登録商標に対する異議申立が認められなかったと書きました。この件と裁判の話がごっちゃになっているコメントが見受けられたので基本的な話ではありますすがここで整理しておきます。

鳥貴族は鳥二郎を大阪地裁で不正競争防止法によりロゴ使用禁止と損害賠償を求めて訴えています(参照ニュース)。報道からだと、不正競争防止法ということしかわかりませんが、おそらく2条1項1号でしょう。

2条1項1号 他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為

大きく言うと、1) 鳥貴族の商品等表示が周知、2) 鳥貴族と鳥二郎の商品等表示が同一・類似、3) 混同を生じさせている、の3つの要件が満たされていると裁判所が判断すれば、鳥貴族は鳥二郎のロゴ使用を差止めできます(商品等表示とは商標とだいたい同じものだと思ってください(正確には商標よりも少し範囲が広いです))。

なお、裁判の途中経過情報はネットではほとんどわかりません。判決が出ると裁判所のサイトに判決文が載ることがありますが(載らないこともあります)、途中経過は大阪地裁まで行って裁判を傍聴するか、資料を閲覧(コピー不可)しないとわかりません(基本的に裁判情報はほぼリアルタイムでネットで検索できる米国とはえらい違いです)。

前回書いた記事はこの裁判の話(司法)ではなく特許庁への異議申立の話(行政)です。鳥二郎の商標は2014年の8月に登録されています。商標が登録されているということは、特許庁がいわばその商標を商売で使うことのお墨付きを与えていることになるので、鳥貴族側としては取り消しておきたいと考えるのは当然です。

そして、結果として鳥貴族側の主張は受け入れられませんでした(鳥二郎商標は登録維持)。この後、無効審判、審決取消訴訟等の道はありますがちょっと厳しいと思われます。ただ、特許庁が上記の1) については認めてくれた点は好材料です(逆に2) は否定)。なお、仮に鳥二郎の商標登録を取消しできたところで、それだけでは鳥二郎商標の使用を禁止することはできません(商標登録がなければその商標を使ってはいけないということはありません)。

裁判所の判断と特許庁の判断が常に一致するとは限りませんが1) については裁判所も認めてくれる可能性が高いと思います。2) の商標(商品等表示)の類否判断については裁判所の方が取引の実情を加味してくれる可能性が高いので、あとは、3) の混同が生じているという強力な証拠を示せれば、多少なりとも鳥二郎勝訴の可能性はあります(ただし、和民vs魚民の例(参考過去ブログ記事)を見ても正直厳しいとは思います)。