血液検査での炎症の数字「CRP」って何ですか?
私も外来でよく使っている言葉ですが、血液検査には「炎症の数字」と呼ばれるものがあります。炎症というのは、その名の通り身体の中で炎のような生体防御反応が起こっているものを指しますが、これを簡便に知ることができる「CRP」という血液検査項目が医療現場で頻用されています。
「CRP」とは
医療機関で血液検査を受けたことがある人は聞きおぼえがあるかもしれませんが、「CRP」という血液検査項目があります。
CRPは、C反応性タンパク(C-reactive protein)の略です。もともとは、肺炎球菌という細菌に感染したときに肝臓でつくられるタンパクとして知られていましたが、原因を問わず体に炎症が起こっていると、血液検査でその数値が上昇することが知られています(図)。
医療現場では、炎症性の病態を把握するために有用な検査であり、血液検査が可能なほとんどの医療機関でCRPが測定可能です。
「CRPが高かった場合、どのように説明しているか」を色々な医師に話を聞いたところ、全員が「炎症の数字が高い」と説明していました。
医療機関や検査機関によって差はありますが、正常値は0.30~0.50 mg/dL以下となっているところが多いかと思います。これは血液1dLあたりのCRPの量を表したものです。正常の人でも0.50~1.00 mg/dLになっていることはザラにあります。
高いと意識され始めるのは、これらより上のラインです。しかし、測定ごとに変動も大きいことから、数字に一喜一憂しないことが重要です。
CRPは感染症以外でも上がる
炎症が起こりやすい病態は、もちろん感染症です。ただ、新型コロナやインフルエンザなどのウイルス性疾患ではCRPは上昇しにくく、肺炎球菌などの細菌感染症では鋭敏に上昇しやすいことが知られています。
その他、関節リウマチなどの膠原病、悪性腫瘍(がん)、外傷などでも上昇することがあります。身体に何かが起こっていることは分かりますが、「CRPが高いからこの病気だ」と明言はできないので注意してください。
医療現場での使い方としては、たとえばすでに細菌感染症と診断を受けている場合、病態がよくなるにつれてCRPの数値は低下していきます(1,2)。
そのため、病気の経過を把握するためにCRPを連続的に測定することは、よく行われています。
医療現場では、総合的に判断している
病態を把握するために用いられる血液検査項目は、CRPだけではありません。炎症の数値には、CRP以外に赤血球沈降速度(赤沈)があり、感染症の患者さんでは、白血球の数や、腎臓や肝臓の機能などの項目もチェックすることがあります。
そのため、CRPは、私たち医療従事者が複数チェックする項目のうちの1つに過ぎないことを理解してもらえるとよいでしょう。
(参考)
(1) 古橋一樹, 他. 日呼吸誌. 2012;1(4):294-303.
(2) Dias RF, et al. BMC Infect Dis. 2023;23(1):276.