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FRBの早期利下げ観測後退の背景

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 2月に入り、米10年債利回り(長期金利)が急速に切り返してきた。米長期金利は1日に3.88%に低下していたが、2日に4.02%、5日には4.16%に上昇してきた。

 米長期金利は4.2%あたりがここにきての抵抗線となっていたことから、もしここを抜けてくるとチャート上からは、あらためて戻りをトライする可能性が出てくる。むろん抵抗線を抜けないという可能性はある。

 ここにきての米長期金利の上昇の背景にあるのが、FRBによる早期利上げ観測の後退にあるが、それはFRB関係者からのコメントだけによるものではない点にある。

 FRBのパウエル議長は4日夜(日本時間5日午前)に放送されたCBSニュースの番組「60ミニッツ」で、金融当局として3月以降まで利下げに踏み切るのを待つ公算が大きいと語った。

 ミネアポリス連銀総裁は利下げに動く前に経済データを精査する時間があるとし、シカゴ連銀総裁はインフレのデータをさらに確認したい考えを改めて示した。

 確かにこれらのコメントも影響したことは確かだが、それとともに物価が予想されるほど低下しないのではとの見方も背景にある。

 2日に発表された1月の米雇用統計では、非農業雇用者数が前月比35.3万人増と予想を上回り、11~12月分も大きく上方修正、失業率は12月と同じ3.7%と予想を下回った。これらは米経済の底堅さを示したと受け止められた。

 それとともに平均時給は前月比の上昇率が0.6%と予想以上に伸びた点にも注意が必要となる。また、1月のISM非製造業景況感指数も予想を上回っていたが、個別指数で価格が大きく上昇していた点にも注意すべきか。

 米労働省が1月11日に発表した2023年12月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比の上昇率が3.4%となっていた。FRBの目標とする物価指数である個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)は前年同月比2.6%の上昇となっていた。

 だいぶ落ち着いてはきたものの、2%を上回っている状態にあり、それが今後2%を割り込んでくるかどうかは経済指標などを見る限り、判断は難しい。少なくとも3月にFRBが利下げを急ぐ必要性は見当たらないのではなかろうか。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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